「電気ウナギって美味しいのかな」ChaO うぼしさんの映画レビュー(感想・評価)
電気ウナギって美味しいのかな
映画館で予告を観て、独特の絵柄と幻想的な雰囲気と人魚の姿がとても綺麗で気になって鑑賞しました。絵柄が独特でとんでもないクセ強作品か、神作品かどっちかに転ぶと思ってましたが案外普通でした。
お化け屋敷で二人を驚かそうとするけど、チャオ(巨大魚)の姿を見て逆にビックリするお化け役や、
出世の為に魚と結婚するなんて信じられないと非難する職場の人間、
魚が街を歩いてるのを見てビックリする女の子等、
まだこの映画を観てない人が読んだらそらそうだろと思うでしょうが、そんな魚のチャオよりもビジュアルや行動が強烈な巨頭人や顔細人、鼻くそ肩つけオジ達が生活してる世界で、そこ気になる?そういう話に持っていきたいなら人間の姿は普通に描けばいいのでは?とか考えてしまい思考のノイズが絶えませんでした。
千と千尋の世界のような所で目の離れた魚顔の主人公と本物の魚がデートしてても私からすると全く違和感ないんですよね。
人間のビジュアルや言動が異様なことに何か理由があるのかと思いながら、色々と共感できないまま物語はズンズン進んでいきます。
主人公とチャオがデート中、はぐれたチャオが中年チンピラーズに絡まれるシーンがありますが、助けにきた主人公が先にチンピラーズに殴りかかったのはビックリしました。主人公の過剰防衛に追い打ちをかけるようにチャオの水の呼吸、水車がチンピラーズに炸裂し、鉄塔か何かに打ち付けられチンピラーズ敗北。その後、今まで魚の姿だったチャオは助けにきてくれた主人公に芯から心を許すことで綺麗な人魚の姿になります。その後、警察沙汰にはなりません。
巨頭記者に主人公が追われるカーチェイスシーンでは、発明家の友達が開発したミニカー爆弾で巨頭記者の車は大破し、崖から落ちそうになる所でカットされますが、多分落ちて絶命してます。これも過剰防衛と言われれば否定できません。
無理やりストーリーに展開をつけようとしてキャラの言動にも無理が生まれたような違和感を覚えながらも、徐々に登場人物に感情移入できはじめ、終盤で伏線を回収し、物語は丸く収まります。
そして、エンディングで黒いN-BOXから爆音で漏れ聞こえてきそうな倖田來未の曲が流れました。私はこのときに、あ、この映画は細かいことを考えずに、心の中でウェイウェイ言いながら、ノリと勢いだけで観ればいい映画なんだと感じました。
予告で見た、水の中に映る幻想的な美しい人魚姫の姿がとても儚げで綺麗で印象的だっただけに、少し悲しくなりましたが、これが期待を超えるような名作だった場合に、私はきっとチャオに恋をしてしまい、中学の時に綾波レイやアスカに恋をしたときと同じような病にかかっていたのかもと思うと、すぐに現実に立ち返れたこの作品は、これはこれで良かったのかもしれません。

