「クスノキ」長崎 閃光の影で ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
クスノキ
戦後80年というのもあり、当時を綴った映画が多く公開されていますが、長崎の原爆にフォーカスを当てた作品は珍しいなと思い鑑賞。
「か「」く「」し「」ご「」と「」で一目惚れした菊池日菜子さんが出演していたのもきっかけになりました。
当時の状況を鮮明に描きつつ、とても残酷な描写をしっかりやっており、日常が非日常に変わる瞬間の恐ろしさがひしひしと伝わってきました。
被害者の怪我や病状はどストレートに映しており、欠損描写はもちろん、ガラスが目に入って目の見えない妊婦だったり、足を切らなきゃいけない患者は麻酔もそこそこにギザギザ刃でギコギコ切らないといけないというのは映ってないにしても看護婦たちの目線と唸り声だけでも肝が冷えました。
朝は元気だと思ったら、夜には一気に病状が進行して死んでしまったり、水を飲むと死んでしまったり、遺体は近くで直に焼くといった生々しい現状もしっかり映されます。
実際にこのような事が行われていたと思うとより生々しいです。
ストーリー的には看病がメインなので大きな動きは無いですが、少しメロなドラマを加えるためにテンポがぐねってしまっていたのはもったいなかったです。
そんな事する前に看病するべきでは…?と思ってしまいましたが、映画的には仕方ないかなと思ったり、当時あの場所にいたら大切な人との再会って感動的だよなとも思いました。
映像面はそこまでお金かかってないんだろうなって感じの映像で、灰なんかのモロ合成しました感はちょっと笑ってしまいましたし、基本的には建物内とその付近でのシーンが多いので背景の変わらなさは惜しいなと思いました。
7万人以上の死者が出ているというのがエンドロール後に出てきますが、今作は限定的な範囲のみの被害しか映されていないので深刻さが少し足りないかなと思いました。
NHKでの特集のようにも思えましたし、学校の授業で観るとなるととても良いものなんですが、あくまでも映画館というところでは映像面は満足できる出来ではなかったです。
一通り落ち着いて普段の生活に戻り、それでも戦争の残り香は消えない中で、小さな希望を紡いでいくラストはしみじみするものがありました。
節目の80年、戦争を実際に体験した人も少なくなってきてしまっている中で、この様に語り継いでいってくれる作品が多く生まれていって欲しいなと思いました。
10年前とはまた色々状況が変わってきたんだなと改めて感じました。
鑑賞日 8/2
鑑賞時間 15:50〜17:50