「兄貴の拳が一番堅い」ベテラン 凶悪犯罪捜査班 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
兄貴の拳が一番堅い
◉笑わせた後に現場写真
メンバー5人がタップを踏みながら歩き出すシーンの後に、捜査本部で目を背けたくなる遺体写真が大写しになる。おふざけと現場写真を平然と繰り返すと言う、エグ味の強い筋書き。この調子で、はみ出し刑事チームと連続殺人犯の対決が展開していく。
◉ドチョル刑事の真情
連続殺人犯であるヘチは、罪状に見合った報いを受けず、軽い罪で逃げ延びている犯人に正義の斧を振り下ろす。仕事人シリーズと重なるし、八丁堀が裁けない奴らを始末する「十手無用 九丁堀」である。古い。
だがしかし、根底に如何なる正義感があろうとも、シリアルキラーである以上、己の満足心が先行した結果に過ぎないと見なして、ドチョル刑事は命懸けで追う。
更に許し難いものは、「正義」をもてはやし次のターゲットまで要求する世情と、煽るネット民だ。ドチョルはもう、見境いなく怒る。おまけに俺の息子を虐める奴まで現れて!
アクションが打撃・蹴り技・関節技がぶつかって逃げ場のない大迫力であるのに対して、主演デカがひたすら真っ当に突き進むのみ。しかしドチョル(ファン・ジョンミン)の紅潮した生真面目な顔に魅力があり過ぎて、引き込まれました。
◉犯人の隠し方
登場した瞬間、パク・ソヌ(チョン・ヘイン)は間違いなく怪しいことに気づくのだが、ヘチの影武者から協力者や模倣犯まで現れる。金目当てのユーチューバー「正義部長」までも協力者候補になって、クライムサスペンスの綾の作り方が上手過ぎる。
パクがトイレに何かを隠して、親子3人を殺害した犯人がそれを使って脱走、更に犯人の所在の情報をパクが握っていたと分かっても、私はパクはあくまでヘチの協力者と騙されていました。
何度も命を失いかけた父が、虐めの地獄から生還した息子と、延びたカップ麺を啜る。ラストは本当に気持ち良い脱力感。

