劇場公開日 2025年4月11日

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「何のための正義か?現代社会における暴力の在り方に、雨の中スライディング!」ベテラン 凶悪犯罪捜査班 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5何のための正義か?現代社会における暴力の在り方に、雨の中スライディング!

2025年4月12日
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もっと自警団側にも感情移入・共感できる余地を与えて「正義とは何か」を掘り下げた作品になるかと(最初のほうでは少し)思ったら、全くそんなことはなくてただの処刑人だった。続編として、例えば『犯罪都市』シリーズや『コンフィデンシャル/共助』とは違う立ち位置でのパワーアップの仕方。良い殺しも悪い殺しもない、殺しは殺しだ。ドチョルの発言も前フリで、それは暴力シーンを楽しむ観客にも問いかけられている。
画の作り方やアクションシーンなど上手い監督らしい娯楽性と社会性。つまり、個人的にはどハマりはしなかったり、ましてや自分の人生を変えるような作品にはならないけど、何かしらどこか笑いと一緒に心の何処かも引っ掻かれるような、スッと消化しきれない"クセ"があるというか。無論、(往々にして雨の中で)懸命に走るオジサンと(往々にして張り込み中など休憩返上で食べる)カップ麺という、韓国映画らしさも注入!終盤の展開、ラストシーン。かと思ったら何だよその終わり方〜。じゃあ直ぐに続編作ってな?
最初こそ自警団もどきヘチ側の気持ちで「これは単に面白いなどと片付けてはいけない作品になりそうだ」という気持ちで観ていたが、結局そっち行く?…みたいな残念さ、予期せぬ転がり方だけど、まぁそうなるわなとも。本当の意味で主義主張や、己の正義があるわけではなくて、結局のところスキャンダラスなことに群がるマスによって消費されるためだけにこの歪んだ時代が生んだ愉快犯に過ぎない社会問題からSNSやYouTubeなどネット社会らしい処刑執行人へ。あゝ、皮肉。現代らしいテーマではあるけど、もっと踏み込んでほしかった気もした。

P.S. 最近健康に気を使った食事をしているからカップ麺なんて全く食べていなかったのに、本作と『コンフィデンシャル : 国際共助捜査』のせいで無性に食べたくなって買ってしまったよ…。あゝ、無念。

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とぽとぽ