「動画クリエイターならではのアニメ映画になかった演出の数々!」遠井さんは青春したい!「バカとスマホとロマンスと」 みはるさんの映画レビュー(感想・評価)
動画クリエイターならではのアニメ映画になかった演出の数々!
YouTubeショート動画からの映画化。
普段は1分前後のおもしろ動画を、どう1本の映画にするのか…
導入では、いつもの動画の感じで吹き出しと静止イラストで進み、そこから吹き出しを投げ飛ばしてアニメになって動き出しオープニングへ。オープニング曲は、ヤバイTシャツ屋さんのこやま氏。軽快な曲に、キャラがダンスを見せる。
本編は、思った以上のストーリーの中に、笑いがふんだんに入っており、前半は、小ネタがテンポよく展開する。
キャラも個性的で、それぞれの見せどころもある。何より、主人公ジェルとヒロイン遠井さんの二役を 原作者で制作総指揮のジェル(すとぷり)が担当しているのも注目したい。
動画クリエイターが豪華声優陣との共演。その声優陣に引けを取らない演技をしている事にも驚く。
サタン登場シーンの映像は制作陣の力作か?と思わせた。
また、演出に、画面から出てくるような表現や、映画館の観客に話しかけるシーンは、ただ観ているだけでなく、その世界に入ったような気持ちにさせられる。
さらに、アニメ映画にも関わらず、実写シーンがあるのも注目してほしい。そこに、芸人のアントニーを起用し、そのままの名前も言ってしまう。笑わずにはいられない。
後半はシリアスパート。ネットでのリアルをストーリーに入れ、在り方を考えさせらる。
YouTuberやインフルエンサーが身近になった現在、炎上や掲示板での悪口、誹謗中傷をストレートに表現しており、スマホでお手軽になったインターネットを使う上で、ネットリテラシーを考えるきっかけに、是非、小中高生にも見てほしい映画であった。
ストーリーのラストは、辛いことがあっても、「未来であの時あんな事あったね」と青春になればいいね…と振り返っており、学生時代は遠い昔の自分の過去を振り返るきっかけになった。あれが青春だったのかと少し甘酸っぱい気持ちにさせられた。
エンディングは、前山田健一(ヒャダイン)氏。歌唱はジェルが所属するグループ、すとぷりが担当する。エモい曲かと思ったら、突然イケイケに。
エンドロールも、普通にはない個性が爆発!
エンディング映像もジェルの楽しませたい気持ちが詰まったものに仕上がったのではないだろうか。
笑いあり、涙ありの前代未聞の演出もある一作だと思う。この夏、一度は是非、劇場で観てみて欲しい。