「この物質的支配からの卒業。 身の回りの色んなもんは捨ててもYouTubeチャンネルは捨てないのね。」ミニマリズム 本当に大切なもの たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5この物質的支配からの卒業。 身の回りの色んなもんは捨ててもYouTubeチャンネルは捨てないのね。

2025年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

知的

寝られる

“ミニマリズム“という生き方を実践する人々の姿を通して、現代の消費主義的社会に啓蒙を促すドキュメンタリー。

ミニマリズムを世界に発信するインフルエンサー、ジョシュア・フィールズ・ミルバーン&ライアン・ニコデマスが製作した作品。
監督のマット・ダベラもミニマリストの様で、この3人は後に『今求められるミニマリズム』(2021)というドキュメンタリー映画を製作、それは2022年度のデイタイム・エミー賞で「Outstanding Directing Team for a Single Camera Daytime Non-Fiction Program」にノミネートされるなど高い評価を得た。

『今求められる〜』はNetflixで配信されており、本作『本当に大切なもの』もかつては同サービスで鑑賞する事が出来た様なのだが、いつの間にかラインナップから削除されてしまった。
前々から観たいと思っていたのに…どうすればいいのよ😢と途方に暮れていたのだが、なんとYouTubeのミニマリスト公式チャンネルにアップされている事を知り急ぎ鑑賞。自動翻訳機能を使いながら、何とか観終える事が出来ました。…ミニマリストでもYouTubeチャンネルは所持していて良いんすね。

『今求められる』ではジョシュア&ライアンコンビはミニマリストとしてすっかり大成しており、そんな彼らの人生にクローズアップしたドキュメンタリーとなっていたのだが、本作ではまだ海の物とも山の物ともつかない、駆け出し時代の姿がカメラに収められている。
彼らのトークイベントツアーの様子を縦軸に、そしてミニマリズムを体現する人々の証言を横軸にして、広告に毒されたアメリカン・ドリームの欺瞞性を暴き出し、より良い人生を送る為のガイダンスを示す。

ミニマリズムとは要するに「無駄遣いするな!」という事である。本当に必要なものだけを買い、必要のないものは捨てる。身軽になれば心も軽くなる、というヤツです。
この考え方自体は新しいものではなく、誰もが親から耳にタコが出来るくらい言われてきた事のはず。それがここまで注目を集めるというのは、如何に現代に物が…というよりコマーシャルが溢れているかの証左に他ならない。
「サステナブルな社会の実現」なんて言葉は洒落臭く聞こえてるが、このまま世界のエントロピーが増大していけば近い将来破裂してしまう事くらい、どんなバカにだってわかる。プラカードを掲げてデモ行進をするのは確かに憚られるが、無駄な物を買わないとか要らないものは処分するとか、そのくらいの事は1人1人が意識して行うべきだよね。

ミニマリズムの思想には共感する。まぁ本やCD/レコード、Tシャツは溜まる一方なのだが、それはもうしょうがない。許して下さい!
ただ、このドキュメンタリーに出てくる人間の胡散臭さってのは一体何なのでしょう…。みんな目が異様にキラキラしていて怖い。
思うに、ジョシュア&ライアンにしろ他のミニマリストにしろ、みんな基本的には金持ちなんですよね。現役時代はン十万ドルの年収を貰っていたとか、そんな人たちばかり。「私たちはミニマリズムで幸せになりました❤️」なんて言ってるが、普通に考えて、めちゃくちゃ預金があって、尚且つ自由時間も沢山ある、そんなん幸せに決まってるだろっ!ミニマリズム関係ねーじゃん!!

安定した収入を捨てミニマリストになったジョシュア&ライアンだが、おそらくインフルエンサーとしてサラリーマン時代以上の年収を稼いでいる。これ単に、楽して大金を稼ぐ方向に人生の舵を切り直したってだけの事なのでは?
耳に心地よい言葉で大衆を煽動し、その利益で私腹を肥やす。これって世に溢れる企業コマーシャルと何が違うんでしょうか。アピールするものが物質から思想に変わっただけじゃんね。
第一、ミニマリズムを説く本を売ってるような奴を信用する訳ねーだろっ!!まずその本を捨てろ!!

たなかなかなか