「任侠(ヒーロー)道」ニンジャバットマン対ヤクザリーグ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
任侠(ヒーロー)道
日本製作でアニメーションのバットマン。
それだけでも目新しいが、そこに“ニンジャ”をプラス。バットマンがニンジャに…!
…というブッ飛び設定で、もっと多くの人に知って貰いたいくらい知る人ぞ知る一部のファンや見た人の間で熱狂的な支持を受けたその名も『ニンジャバットマン』!
まさかの続編見参!
面白かった前作だが、見たのが数年前なので細かい所は覚えておらず。
安心なされ。
ゴリラ・グロッドが発明した時空装置によって戦国時代にタイムスリップしたバットマン。そこには戦国大名となったジョーカーらヴィランが。バットマンは忍者修行を積み立ち向かう…。
…という概要さえ押さえておけばOK。
歴史改変を阻止し、現代のゴッサムシティに戻ってきたバットマンたちだが…、
そのゴッサムシティがヘンだ…?!
異常気象発生。ヤクザ豪雨。
…え? 何だって…?
ゲリラ豪雨なら知ってるけど、ヤクザ豪雨って…。ヤクザが空から降ってくる訳じゃあるまいし…。
空からヤクザが降ってきた!
この異常過ぎる異常事態にバットマンはジャスティス・リーグに連絡を取るが、連絡が取れない。
さらに世界地図から日本列島が消えた。いや、消えたのではない。巨大な空中浮遊島としてゴッサムの上空に。ヤクザ豪雨の発生源。
一体、何が起きているのか…!?
開幕数分だけで色々ツッコミや聞きたい事が山ほど。
一つ分かっているのは、歴史改変を阻止して戻ってきたはいいが、どうやらここはアメコミお馴染みのあの世界らしい。
その元凶である“日本”へ向かうと…
敵襲。グリーン・ランタン…?
さらに、アクアマンやフラッシュ…?
が、よく知る彼らとは違う。
ピンチを助けたのはワンダーウーマン…?
そのワンダーウーマン風によると、ここは“ヒノモト”。ヤクザがヤクザを治める国。
ワンダーウーマン風は、大鷲天女の大阿柰。尼曽根一家の姐さん。
しのぎを削る大勢力は、鋼ノ一家。親分は、闇悪。
ヤクザの国となった日本で、見た目も能力も同じだがヤクザとなったスーパーヒーローたち…ジャスティス・リーグならぬ“ヤクザリーグ”が繰り広げる奇想天外ヤクザ・アクション!
これに蝙蝠一家はどう立ち向かうのか…?
ニンジャの次はヤクザだ!
海外受けを狙ったような安直な発想だが、どうしてどうして、前作同様…いや、前作以上のハイテンションと面白さと絶妙さ。前作から続投のクリエイターチーム、恐るべし…!
まず、ネーミングセンスに唸った。“尼曽根”とか“鋼”とか。
キャラ名も秀逸。大阿柰、闇悪、他にも緑光の是鹿、水龍の亜朝、韋駄天の針亥…。いちいち誰が誰とか、英語名ふりがなを付けなくても分かっちゃう。
このネーミングセンスは、『クレヨンしんちゃん』原作者・故臼井儀人氏に匹敵!
これが海外で作られていたらピンと外れのおバカ映画になっていたかもしれないが、ちゃんと日本人が作ったからこそ、なかなか本格的、気合いの入ったヤクザ映画/任侠映画風になっている。オマージュもたっぷり。
“極妻”風の大阿柰。義理人情を重んじる。
姐さん気質も格好良さもぴったりのワンダーウーマン。あ、大阿柰姐さん。任侠映画風MVも。
闇悪はインテリヤクザ風。ポジション的には今回のヴィラン。
スーパーマンがヴィランとは意表突くが、勿論ただの悪役じゃない。真の極道を貫く。
江戸っ子気質の亜朝、風神の如き是鹿、針亥はヤクザになっても超速&お喋り。各キャラの個性も立っている。
対するバットマンもロビンらファミリーで。一瞬戦隊ヒーロー風になったり、バットマンが若い仲間に対し冷静なツッコミ役なのもユニークだけど、他の面子忘れてたよ。
意外なお助けも。宿敵ジョーカー! 今回出番は少しだったけど。ハーレイ・クインは奮闘。大阿柰姐さんに惚れ惚れ。
にしても、極道スーパーマンがこの異常事態を仕組んだ黒幕…?
黒幕はいた。鋼ノ一家の大親分、ラーズ・アル・グール。
ゴリラ・グロッドのと似たような時空装置で幾つもの次元を折り紙の如く重ね、作り上げたのがこの世界。
狙うは、ゴッサム。闇悪にあちら(ゴッサム)は腐れ外道のヤクザが支配し、堅気の衆たちが苦しめられていると吹聴。
おのれ、極道の風上にも置けん! 真っ当気質の闇悪を騙し、こちらの世界もあちらの世界も支配しようとするズル賢い奴。
蝙蝠一家と尼曽根一家連合対鋼ノ一家。
ジャスティス・リーグ版シビル・ウォー…?
バットファミリーvs各ヒーロー、ワンダーウーマンvsアクアマンなど夢の対決も。
バトル最大の見せ場は、やはりバットマンvsスーパーマン。あの対決が再び…!
極道になっても超人のスーパーマンに、バットマンはどい闘う…?
彼らの事をよく知っているからこそ、弱点も分かる。
頭脳やガジェットやバットファミリーのチームプレーを活かした忍法○○の数々!
日本アニメーションならでの高クオリティーによる迫力のアクション、ガジェットの数々も見所。ヒーローアクション映画としての醍醐味も充分。
闘いの中で、バットマンは闇悪に訴える。
お前とよく似た男を知っている。その男は、自分を犠牲にしてまで人々を助けた。
一般の人々の為になるのと堅気の衆に迷惑をかけないのとは通じるものがある。
お前にも分かる筈だ。お前にもその男と同じ意志がある。
闘いの中で、各ヒーローたちは目覚める。
ケジメを付けるヤクザとしての自分、弱きを助け悪しきを挫くヒーローとしての自分。
真の極道、義理と人情を重んじる任侠(ヒーロー)道を行け。
強烈インパクトとして前作だったけど、面白さでは本作。
バットマンやヒーロー映画好き、ヤクザ映画好き、アニメ好きやエンタメファンなら見逃す理由はナシ!
斬新奇想天外な和製バットマン、また続けて欲しいけど…、
ニンジャ、ヤクザと来て、次のインパクトある設定は難しいかな…?
サムライじゃニンジャと被るし、ニンジャバットマン対カイジュウとか…?