ロザリーのレビュー・感想・評価
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ハンデにも負けず健気に頑張る!
先天的多毛症という女性が、持参金目当てに結婚した夫との間に生まれる感情を描くストーリー 。
多毛で、すぐにしっかりとしたヒゲが蓄えられてしまうというハンデを負った主人公。
19世紀のフランスじゃあ、このハンデはキツイ。
獣扱いというか、不浄というか…
ただ、(気にしてはいるものの)出来るだけ明るく振舞おうと頑張るヒロインの健気さが、もう…
そんな彼女と接するうちに、変化していく夫の心情が描かれている。
けどね、彼女のキュートな表情やファッション、“ヒゲ”のアクセントすらもだんだん可愛くみえてくる。
見ながら、ヒロインに思わずエールを送ってしまう。
…ハンデにも負けず健気に頑張る、この構図、どこかで見たような…
そう、これは少女マンガの王道でした !
彼女が握りしめ信仰している〈聖ヴィルゲフォルティス〉って誰だろう?
調べてみたら、
聖ウィルゲフォルティスは父親に急き立てられたイスラム王との望まない結婚を避けるため、純潔の誓いを立て、自身の美しさが失われるよう祈ったと伝えられている。
奇跡的に彼女の顔からひげが生えたことで婚約は破棄され、彼女の父親は十字架上に磔にしたという。
そんな背景を持つ、ヒゲの女性の聖人だったのね。
ひたむきに愛を求めた一人の女性の物語。凄く良かったです。
試写会にて一足先に見せて頂きました。
すごく良かったです!何より主人公ロザリーが魅力的。夫役のブノワ・マジメルは流石名優、繊細な演技でした。
多毛症で髭の生えた実在の女性の自叙伝を元に作られたと聞いて差別や偏見と闘う映画かなと思いましたが、これは一生懸命に愛を得ようとした一人の女性の物語であり、夫婦の素敵なラブストーリーでしたね。
生まれつき多毛症のロザリー。父と二人で隠れるようにして生きてきたが田舎町のカフェ店主アベルと結婚することになる。ロザリーは髭を剃り病気を隠したまま結婚。一方アベルは借金まみれで持参金目当てでロザリーと結婚。ロザリーの秘密は初めての夜にばれ、アベルはロザリーを拒絶する。
一方のアベルの秘密もしばらくしてロザリーは知ることとなりカフェに客を呼ぶため自分の髭を利用することを思いつく。夫は反対するがこのままでは住む家も無くなると決行。意外なことに髭のロザリーは村人に受け入れられ店は大繁盛、ロザリーに友達もできる。ロザリーが明るく自然なのが素敵だ。
アベルは徐々にロザリーの純粋で真摯な愛に次第に魅かれて行ったが依然として彼女を受け入れられないでいた。ロザリーは拒絶されたままで辛い思いをしているが、一方で生まれて初めて髭を隠す必要もなくなり本当の自由を得たロザリーは幸せも感じていた。
2人は順調に借金を返済したがそれを気に食わないものがいた。借金の形に店を取り上げるつもりでいた領主である。差別的な態度と言葉をロザリーに浴びせ、ロザリーが男だというデマを流す。デマは次第に村人に変化を与え皆がロザリーを避けるようになる。孤立するロザリーをこれまで彼女を拒絶してきたアベルがかばう。二人の愛の行方は如何に……?ロザリーは愛を幸せを掴めるのか?
この映画の本質は差別や偏見と闘う話ではない。切ないまでに愛を得ようとした一人の女性の物話であり、夫婦の愛の物語である。すごく良い映画でした。二人のお互いを思いあう姿が素敵でした。名優ブノワ・マジメルの繊細にして重厚な演技は見事でした。ロザリーはとても魅力的に演じられていて村人に受け入れられたことに違和感が無くとても素敵でした。
愛に生きた人
髪の色に合う青いドレスに青い花の髪飾り。
彼女は自分に似合うおしゃれを知っててとてもキレイな人。
価値観は住む場所によって全く変わるんだから、違う場所に旅に出ても良かったかもしれないけど、この場所で彼に認められたかったんだろな。
他人は変えられないから、自分を変えて生きてたけど、自分らしくいられる場所を見つけたと思って頑張ってみたのに、やっぱり他人は変わらなかった。
価値観を変えられるのは自分だけ。
そして変化を望まないタイプの人は、彼女によって変えられた村が嫌で彼女への憎悪は日々増幅していくのがしんどかった。
彼女が子どもが欲しいと思った理由が忘れられない。
愛を求めて愛のために生きる人だった。
彼に愛されますように、の祈りが沁みる。
自分の運命を受け入れてありのままに生きていく。
(オンライン試写会は全てネタバレ扱い)当時のフランスの事情に詳細があっても良かったか
今年110本目(合計1,652本目/今月(2025年4月度)13本目)。
いわゆる普通の意味でのドキュメンタリー映画ではないですが、この人物は実在した人物をモチーフに取っているため、あることないこと描くことはできず、その意味でドキュメンタリー映画的な要素もある映画です。
近現代のフランスという、比較的人権に関して寛容であったそのフランスでさえも、病気に対する偏見がかなり残っており、そのことが一つ、もう一つは結婚後の2人の生活・かかわりが主なテーマになってきますが、当時のフランスの人権感覚や法律の話題など、やや発展的な内容も登場します。
日本でも珍しい病気のようで、問題提起型の映画か?というと微妙だし、正規の公開日であるらしい5/2というGW真っ盛りの状況で多くの上映や観客が期待できるか?というと微妙なところではありましょうが(というより、今週の金曜日からの映画、コナンが24枠とか無茶苦茶すぎる…。GWも15枠とかやってそう。大半の映画はGWもここで枠(放映数)が少なくなりそう)、それでも当時のフランスの人権感覚等、観て教養になった点は大きかったです。また、フランス映画らしく、最後まで結末を完全に描ききらずに個人で考えてね、というフランス映画の王道らしい展開になっていた点は良かったところです(どうしてもドキュメンタリー映画の要素はあるので、史実通りには進みますが)。
なお、フランス映画でCANAL+協力の映画ではありますが(冒頭参照)、例の不思議な旋律のCANAL+はなし。残念でした(あれもあれですごく好き)…。
特に気になる点までないのでフルスコアにしています。
決して派手な映画ではないと思うし、GWに映画館に行こうかと思って本映画をチョイスするのはやはり限られた方になると思いますが、おススメです。
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