「互いの愛を確信して関係が終わる。パーカーがそれを語る。必見!」FEMME フェム ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)
互いの愛を確信して関係が終わる。パーカーがそれを語る。必見!
ジュールス(ドアァグの黒人)がプレストン(タトゥーの白人)に見事復讐を果たした。
めでたし!
のはずはない。
ジュールスがプレストンに近づくのは大変なリスクがあった。
ジュールスがプレストンにハッテン場で再会した時、あの暴力が頭によぎらないはずがない。
映画を観るものにとって、ハッテン場でジュールスがどのような感情でプレストンに近づいたのかは謎である。
その謎が見るのものを興奮させる。
最初の時点で、復讐という計算づくで近づいた、と見るのはつまらない。
それは衝動だったのだ。
暴力とセックスのヒリヒリした重ね合わせが、二人にとって大きな快楽だった。
すぐにでも暴力に転びそうな危うさ。
プレストンの悪仲間がそのヒリヒリを増大させる。
プレストンが自分を愛し始めたという確信が芽生えた後に、ジュールスの復讐が始まり出したのだと思いたい。
自分の身体とプライドを傷つけた相手を愛するために、ネガが必要だったのだ。
SはサービスのS Mは満足のМ
立場の逆転は何の不思議でもない。
逆転の後にプレストンはジュールスを本当に愛し始めたのだ。
逆転した時のプレストンの表情の見事なこと!
ドラァグクイーンの復活(誕生日)でジュールスは黄色い偽ブランドのパーカー(部屋から逃げ出す時、プレストンが返せよといったパーカー)を刻んで衣装にする。
プレストンが本物の黄色のパーカーを贈る。
プレストンは路上で泣く。
ジュールスは血だらけのパーカーを着たまま、贈られたパーカーを抱く。
二人は自分自身の気持ちが本物であることに気付いて、二人の関係は終わる。
なんという切ないシーンであることか。
パーカーという「物」に語らせるやり方は俳句だ。
これぞ映画というもの。
画像をアップできなかったのは復讐は目的でなく関係を続けるための手段だったということ。
ルームシェアの二人もよい。
サプライズでプレストンをパーティに呼ぶ同居人の男。
それを「これがあなたの目的だ」となじる女。
全員の感情は複雑でクリアカットに語れない。
さすが英国。
追伸
やる気もないのにジュールスはハッテン場にいった。
これはなかなかノンケには理解できないだろうと思う。
ジュールスはドラァグの格好の時、プレストンに色目を使われている。
再会した時、自分はこの男のタイプだと、やれる相手との値踏みがあった。
でも、自分がボコボコにされたドラァグクイーンだとバレないかという恐怖もあったはず。