劇場公開日 2025年5月16日

ノスフェラトゥのレビュー・感想・評価

全61件中、41~60件目を表示

4.0ゴシックホラーの力作

2025年5月20日
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鑑賞方法:映画館

いまさら「吸血鬼ドラキュラ」か、とも思ったが、これが、ゴシックホラーの力作だった。
このストーリーの一部だけで一本の映画になっているものが過去に多数あるくらいで、全体となるとどうしても端折った部分が多くなるし、エンタメ的な盛り上げもないので、一般受けはしないだろう。
しかし、当時の雰囲気を忠実に再現し、闇を効果的に使った画面が素晴らしく、撮影賞、美術賞などで、アカデミー賞候補になったのも頷ける。リリー・ローズ・デップほかの出演者も力演。
見終わって、みっちり、疲れた。

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ファランドル

3.0残念。映像美はまあまあ

2025年5月20日
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鑑賞方法:映画館

ストーリーがあんまりにもストレート。
昔のお化け映画のようで飽きてくる。
主人公が悪夢ばかり見てるのでどれが現在なのかだんだんわからなくなるしどうでも良くなってくるし。

いつも巻き込まれて酷い目に遭う印象のニコラスホルトと、なんかいつもマッドサイエンティストのウィレム・デフォー。あてがきかな?

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ユウコ

3.0素晴らしい世界観なのに凡庸

2025年5月20日
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鑑賞方法:映画館

ビジュアルや世界観の完成度はかなり高く、面白くないはずがないと思えるのに単調で残念な出来になっている。
展開が散漫で盛り上がらず、役者たちも熱演なのに表面的で感情移入出来ない。
ホラーなるもの、その内包されたものに恐れおののきたいのに、様式美で感じ取る造りになっていて私の好みではなかった。

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ケージ

4.0愛の犠牲が悪を滅ぼす

2025年5月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

『F・W・ムルナウ』の〔吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年)〕のリメイク。

同作には『ヴェルナー・ヘルツォーク』による1979年のリメイク版があり、
自分はこれを「東京ドイツ文化センター」で1983年に観ている。

「ヴェルナー・ヘルツォーク回顧展」だが、
主演の『クラウス・キンスキー』のあまりのはまり役に加え、
ヒロインは撮影当時24歳の『イザベル・アジャーニ』。
息を飲むほどの美しさを観たい故だろう、
同イベントでは、他作品よりも真っ先にチケットが売り切れていた記憶。

直近の
やたら血しぶきが飛び散る{スプラッター}や
ありえない場所からモンスターや殺人鬼が出て来る
鬼面人を驚かす{ホラー}とは
かなり毛色の異なる{ゴシックホラー}。

原典のストーリーや雰囲気を忠実になぞることで、
懐かしくも恐ろしい気配に満ちた一本に仕上げている。

とりわけ影を使った演出が秀逸。

カーテンに「ノスフェラトゥ」の影は映っても、
風で翻った場所に実体はいない。

精神的にちりちりとした恐怖に
身が縮む感覚。

とは言え、そもそもの設定に新しさが無いことへの不満はある。
合理的な考え方で神秘を認めようとしない
『フリードリヒ(アーロン・テイラー=ジョンソン)』の存在くらいか。

〔ドラキュラ(1979年)〕での伯爵は、
陽が当たらない場所なら昼間でも平気で行動し、
信心を持たぬ者が持つ十字架など、
反対に燃やしてしまう強靭さが新機軸。

どうやって対峙するのだろうとの期待が
今までにないサスペンスを生んだ。

翻って本作での魔物は
オールドスタイルの「ノスフェラトゥ」。
退治の方法は分かり易い。

なので、カテゴリーらしい、
美醜やロマンスと怪奇をどのように盛り込むかがミソ。

チェコでロケされたと聞く、寒々しく陰鬱な景色。
1800年代半ばのドイツの街の猥雑な喧噪。
伯爵が住む、荘厳ではあるものの
廃墟のような城の佇まい。

モノクロに近い色味ながら
何れも美しい。

聖女の献身を見せる『エレン』。
最後は欲に溺れ、自分を見失ってしまう『オルロック伯爵』。
共に孤独な故に結び付いた関係性は
忌まわしくも悲しい。

とりわけ、後者で尊大さや孤高の中に、
寂寥を感じさせた『ビル・スカルスガルド』の演技は特筆もの。

前者の『リリー=ローズ・デップ』も
白眼を剥き、四肢を震わせ麻痺をする力演は遜色なし。

が、ヒロインの美しさの面では
どうしても先作の『イザベル・アジャーニ』と引き比べてしまう。

勿論、記憶が美化をしているかもだが。

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ジュン一

3.0映像の美しさしか良い所が...

2025年5月19日
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鑑賞方法:映画館

驚く

パンフレットより抜粋↓
「ロバート・エガース監督は、当時の建物や衣装など細部まで“本物”にこだわり抜き、そのリアルさは第97回アカデミー賞®で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門にノミネートされた。」

上記触れ込み通り、衣装や調度品、建築などのアイテムが本当に素敵で、
映像の迫力と美しさが際立っていた。

ただ、自分が見いだせた良い所はそれくらいだった。。

まず、ジャンプスケアって言うのかな?
怖い顔とともに爆音「ドーン!!」でびっくりさせるシーンが結構多くてうんざり。
鑑賞することにエネルギーを使わされた割には、
ストーリーの盛り上がりどころが分かりづらく、
ヒステリックなヒロイン(ノスフェラトゥ憑依時ではなく素の状態込みで)にも共感しづらいので、
鑑賞後に得るものがスカスカという印象。

アイテムと映像の美しさで大きく加点して、☆3という感じ。

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Omi

3.0雰囲気は抜群にいいのに…

2025年5月19日
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怖い

難しい

ホラーは苦手なのですが、予告の雰囲気に惹かれ、ゴシックホラーなら多少マイルドな描写なのではないかと思い、公開初日に鑑賞してきました。

ストーリーは、不動産業者トーマス・ハッターが、老朽化した城の売却をしたいという大口契約のため、遠方に暮らすオルロック伯爵のもとに商談に向かい、そこで恐ろしい目に遭う一方、残された妻エレンは不安から夫の友人宅で過ごしていたが、彼女もまた悪夢にうなされるようになるというもの。

ホラーではありますが、とりあえず思ったほど怖くなくてホッとしました。冒頭のジャンプスケアがいちばん怖かったかもしれません。ゴシックホラーとしても、雰囲気たっぷりの演出やエレンの妖しく美しい魅力が花を添えています。中でも、影の演出が印象的で、カーテンに映る実体のない影、街を飲み込むように伸びていく影など、登場人物や観客の心のざわつきを情景描写で巧みに演出しています。

こんな感じで雰囲気は抜群にいいのに、残念ながらストーリーにはいまひとつ惹きつけられません。終始絵面が暗いのは物語の性質上しかたないのですが、誰が何をしているのかがよくわからず、夢と幻覚と現実の境界線も曖昧で、少々わかりにくかったです。加えて、抽象的で説明的なセリフの多さに撃沈してしまいました。

仕事帰りに「ガール・ウィズ・ニードル」に続けてのハシゴ鑑賞であったため、集中力が持続しなかったせいもありますが、イマイチ乗れなかったのは残念です。機会があれば、きちんと覚醒しているときに改めて観たいと思います。

キャストは、ビル・スカルスガルド、ニコラス・ホルト、リリー=ローズ・デップ、アーロン・テイラー=ジョンソン、エマ・コリン、ウィレム・デフォーら。

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おじゃる

2.0重厚。だが全っ然面白くない。

2025年5月18日
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丁寧で重厚感あり切実。
だが全っ然面白くない。
邦人だからか、
私は西洋人の言う神への冒涜の罪を
実感出来ない、を改めて確認。

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きねまっきい

1.5劇場を選ぶ?

2025年5月18日
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単純

2021年度作品の「ライトハウス」が良かったので観賞しました。

ゴシック映画の特徴として電気のない時代を再現すべく8割方は自然光だけでの撮影をしているのだろうと思えます。

映画のほぼ全編が夜を舞台なのでとにかく暗い。

スクリーンを凝視しないと何が行われているのか解りにくい場面が多い印象でした。

この「ノスフェラトゥ」は内容、演技うんぬんより凝視か先立つ作品でした。

ドルビーシネマなら凝視をしなくて済んだでしょうか?

上映時間133分は長くて苦痛すらありました。

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クロレッツ

2.5正直期待外れ。面白くありませんでした。

2025年5月18日
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「ウイッチ」「ノースマン」のロバート・エガーズ監督による吸血鬼映画ということで大変期待をしていたのだが。
そもそもこの作品は1922年のドイツ映画のリメイクで、ブラム・ストーカーの原作を下敷きにはしているものの、その後、ハリウッドで量産されたドラキュラものとは系統が異なる。だから魔物の属性としてはヴァンパイアではなくノスフェラトゥ(病災という意味に近いらしい)だし、ドラキュラ伯爵ではなくオルロック伯爵と個人名はつけられている。折角、美男俳優を使いながら耽美的印象はゼロで魔人っぽいというか牛鬼みたいでカッコ悪い。
22年版は観ていないのだが、資料にあたった限りでは「カリガリ博士」などと同様、表現主義の作品である。要するに、人間の内面にあるもの、特にこの作品の場合は「不安」ということになるのだろうか、を映像で表現(サイレントなので音声はない)した映画である。この「不安」の背景には西ヨーロッパや北ヨーロッパの人が抱いている東欧への恐怖感がある。伝染病、シオニズム、異端者、流民なと。だから光と影、おどろおどろしいセット、恐怖、驚愕に歪む役者の表情などが強調される。それらの手法がホラー映画の嚆矢としても位置づけられる作品でもある。
繰り返しになるが22年版は観ていない。でも筋書きを読んだ限りでは本作はかなり忠実に再現をしているようにみえる。でも、100年前の映画をかたちだけなぞってそれが面白いはずがあるか?と思ってしまう。この100年の間に、映画作品は、人を怖がらせるだけでなく、不安にさせる、不穏な状況を印象づける様々なテクニックを積み上げてきた。私はあまりホラーは詳しくはないが、例えばこの作品でも「シャイニング」を思い起こす様なシーンがあったりする。積み重ねで映画は発展してきた。だから無意識に模倣したりするわけだ。じゃああなたも自分の作品で何か新しいアイデアなり表現に挑戦してみなさいよ、後進に何か残しなさいよと私は思うわけでそこが何もこの作品では感じられなかった。

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あんちゃん

3.5ムルナウ

2025年5月17日
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美しい映像で堪能できた
でもところどころ、?と思う部分があったり、ラストはF・W・ムルナウ監督版の方が良かった

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m m

3.5全編、モノクロと思ってました。

2025年5月17日
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オープニングからルーマニアまでは没頭しましたが、この後からお尻が痛くなりました。
後半に、描けての展開が面白く無い。
ハーマン・プロの吸血鬼が好きな私には合わなかったみたい。
正統派で映像に凝る監督の作品でした。
IMAX版が有るみたいですね。ちょっと、見たいです。

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おさむ

3.5技法の宝庫

2025年5月17日
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怖い

知的

「ウィッチ」に始まり、「ライトハウス」や「ノースマン 導かれし復讐者」といった作品群が一部のカルト・ファンから狂信的な支持を得ているエガース監督がまたまたとんでもない怪作を生み出してきました。
映画史に名を残している傑作「吸血鬼ノスフェラトゥ」をオリジナルの解釈を加えて完全リメイク。
これまたカルト映画の仲間入りが確定しそうな作品となっておりました。

基になった映画自体は「吸血鬼ドラキュラ」の原作者に許可を得ず、F.W.ムルナウがドイツで監督した非公式作品。
要するに二次創作です。
それも完コピに近い代物なので、著作権侵害で訴えられた曰く付き代物なんですが、言わずもがな破棄されず残ったフィルムにより最初の吸血鬼映画としてだけでなく、表現方法の宝庫としての価値を見出された作品として君臨し、今に至ります。

そんな作品が基なので、エガース監督もあらゆる媒体を作品の表現に活用。
白黒を彷彿とさせる発色を抑えた映像は勿論、音や影を使って様々な効果を生み出しておりました。

音では部屋を去る伯爵の足音と閉まる扉の音だけで部屋に残されたトーマスの不安を煽っておりましたし、子供部屋から聞こえてくる子供たちの泣き叫ぶ悲鳴だけで母親に恐怖と絶望を与えておりました。
無声映画のオリジナルでは出来なかった表現方法を巧みに活用して空間的な広がりを演出しておりました。

影の演出はもっと明確で、姿はないがカーテンに浮かび上がる伯爵の影だけで存在を表現したり、手の影だけで扉を開ける演出に用いたりと様々な形で影を利用していました。
特に夜の街を蹂躙していく手の影は秀逸です。
この影の演出もまた、フィルム感度の問題で夜間に撮影ができず、真昼間を夜として描いていたオリジナルでは出来なかった演出のひとつです。

この様に映画製作の面で発見する楽しみに充ちている作品。
ホラーとしては怖い演出が少なく、物語としてもオリジナルの域を出ていないといった問題点を抱えてはおりますが、カルト映画として熱を帯びてくる要素は多分に含んだ作品だと感じました。

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かもしだ

3.0ずっと盛り上がらない

2025年5月17日
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2025年劇場鑑賞148本目。
エンドロール後映像無し。

ノスフェラトゥにウィレム・デフォーが出ると聞いて、あれ?と思ったのですが、2001年にシャドウ・オブ・ヴァンパイアで1922年の映画のノスフェラトゥ役の役者を演じるというややこしいことになってます。2000年に1922年の映画を全力で再現している怪作となっていて、印象が強いのですが、その印象が強すぎるのもあってこの映画いまいち・・・。ちなみにデフォーはドラキュラでいうヘルシング教授の立ち位置の役ですが、なんか頼りになりそうで全然頼りにならない・・・。あなたハゲヅラかぶるだけでノーメイクでノスフェラトゥいけるんだからそっちやらせてもらいなさいって。
そもそもオリジナルがドラキュラの雑なパクリで、原作者のブラム・ストーカーにしっかり訴訟起こされてしっかり敗訴してしっかりオリジナルネガ全焼却処分されているというそっちのやり取り映画にした方が面白いのできたのでは?と思いました。

とにかくずっと面白くなく、怖くもないしエロに振り切れてもないし(吸血行為が性行為のメタファーとする作品も多い)何より最後の展開がそうならないよう全力を尽くすから面白いんじゃないの?

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ガゾーサ

3.0不動産業

2025年5月17日
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最後は、エレンに救われた。

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完

3.5体当たり演技

2025年5月17日
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悲しい

怖い

興奮

正にゴシック・ホラーという感じの作品。
主演女優がヌードあり、変顔ありの体当たり演技で凄い迫力です。
最も原作に忠実と言われたコッポラ監督の「ドラキュラ」(1992)もそうでしたが、吸血鬼ドラキュラのテーマは愛なんですね。

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koji

4.0ゴシックホラー、満足。

2025年5月16日
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最近のバンパイアものとは違うゴシック感たっぷりな吸血鬼もの。ドラキュラ屋敷に乗り込むわけでもなく、ペストも絡めてじわじわ犠牲者が増えていくのも恐ろしい。やっぱり中世のヨーロッパ感ってゴシックにあうなー。過去の2作品もどんなものか見たくなった。

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peanuts

3.570点ぐらい。リリー=ローズ・デップ

2025年5月16日
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鑑賞方法:映画館

1922年作『吸血鬼ノスフェラトゥ』のリメイクってことですが、1979年にも『ノスフェラトゥ』としてリメイクされてるんですよね。

今回で、2回目のリメイク、トータル3作目、だと思うけど、僕は1922年のオリジナルしか観てません。

シンプルでオシャレな1922年作オリジナルが好きで、待ち受けにしてたぐらいなので、このリメイクは不安だったんだけど、それなりに楽しめました。

別モノになってるけど、コレはコレでって感じ(笑)

シンプルな1922年作オリジナルの方がいい(笑)

1922年のオリジナルが久しぶりに観たくなったのと、まだ観れてない1979年の初リメイク作も観なくては…

本作は、リリー=ローズ・デップがハマってまして、白目むくわ、ヨダレたらすわ、女を捨てたような怪演、彼女の覚悟や役者魂を感じた。

ルーマニアが舞台なので、ゲーム『バイオハザード ヴィレッジ』みたいな風景が出てきて、おお!と思いました(笑)

好みの問題でネガティブっぽいことも書いたけど、ゴシックホラーとしては完成度が高いです。

迷ったら観ても損しないと思います。

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RAIN DOG

3.5『鉄の杭じゃダメ』らしい。

2025年5月15日
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鑑賞方法:映画館

19世紀ヨーロッパを舞台にしたコスチュームもの。相当に凝った撮影、美術、衣装、メイクで、クソ真面目に仕立て上げたゴシックホラーの秀作。流石に褒めたポイントはオスカーノミネートされていた。吸血鬼伝説の原点的なストーリーで、伸びた犬歯やニンニクなどの後世にドラキュラ映画で発明されたツールは出てこない。どちらかというと、少女の夢想で眠りを覚まされた悪魔が戻ってくるというお話。ヒロインはジョニー・デップの娘さんらしいが、残念ながら適役だとは思えない。

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t2law

4.0怪奇映画の源流に殉ずるような昂揚が満ち溢れている

2025年5月12日
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鑑賞方法:試写会、映画館

「いにしえのゴシック・ホラーが、パンデミック後の現代に忽然と甦った」――思わずそんな言葉が浮かんだのは、ノスフェラトゥのもたらした大量のネズミがドイツの港町にペスト菌をまき散らすという一連の描写を本作で見たからだ。

かつてムルナウ監督の無声映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』は、「スペイン風邪」が世界に吹き荒れた(1918~19)後の1922年に封切られた。それから百年余の時を経て新型コロナ収束の翌年、2024年にこのリメイク作は公開された。そのことになんらかの奇縁を求めたくなるほど、どこか次元を超えて繋がるモノが本作からは感じられるのだ。

かねてより古典映画に傾倒するロバート・エガース監督が無上の歓びにうち震えながらこれを撮ったであろうことは、想像に難くない。あるいはそんな本作に斬新さは見いだせないかもしれない。がしかし、リリー=ローズ・デップが吸血鬼に身を捧げたかのごとく、「怪奇映画の源流」に殉ずるような昂揚がここには満ち溢れている。

なにより特筆すべきは、全編35ミリフィルムで撮影されたという映像美だろう。注目ポイントは大きく分けて2つ。
1つ目は、西洋絵画のような質感にこだわり抜いた画作りだ。時代設定が1838年だからか、風景描写などはフリードリヒに代表される19世紀ドイツ・ロマン主義絵画を模したかのように見える。また室内描写では、さらにそこから遡るレンブラント、フェルメールらの時代、17世紀バロック絵画のような気品と冷やかさが画面を覆う。

なお、シーンによっては照明機材を使わず、蝋燭や松明の炎だけを頼りに撮影されたのだとか(たしかキューブリックの『バリー・リンドン』もそうだった)。その眩惑的な効果は一目瞭然だ。さながら蝋燭の炎の揺らぎに呼応するかのように、物語の行方も夢うつつにたゆたう。クラシカルな映像美は、その背後に潜む恐怖とエロスの交錯をも仄めかす。

2つ目は、古典映画への偏愛を意識させる撮影上のこだわりだ。たとえば室内の壁に伸びる影を捉えた表現主義風ショットなど、擬古典的なカメラワークがそれにあたる。また、北ドイツの街並みの俯瞰夜景や運河からの眺望があえてセット然としていたり、降り積もる雪の描写でCGを使わず、実際に「擬似雪」を降らせているところなど、1940年代ハリウッド黄金期の映画を想起させる。“アメリカの夜”で生み出された不穏な月明かりの夜景も、こうした例に含めてよいかもしれない。

ここで出演者にも少し触れておこう。まず憑依されたヒロイン役のリリー=ローズ・デップは、凡百のホラー映画と一線を画し、痙攣した奇異な所作のうちにも優美さを忍ばせる。陽射しに映える素肌は眩しく、死に至るエクスタシーを見事に体現する。もちろん、舌をぐにゅうと異様に長く伸ばす(これはCGじゃなく本人の舌らしい)など、目がテンになるショットにも事欠かない。

対するビル・スカルスガルトのノスフェラトゥは、前例のないバーバリアンな吸血鬼像を打ち立ててみせる。異様な長身に豊かな口髭を蓄えて毛皮を身に纏い、あたかも辺境の民間伝承の底流から召喚されてきたかのよう。その風貌はまるで山賊の頭目だ。噛みつく仕草も、「首筋からちゅうちゅう吸う」のではなく、「かぶりついた胸元からゴクゴク飲み干す」といったワイルド路線に。この優雅なドン・ファン風から粗野な辺境伯タイプへのイメチェンは、好みが大きく分かれるところだろう。
もう一つ気になったのは、立ち居振る舞いがややぎこちなく見えること。ことに終盤、リリー=ローズ・デップと対峙するシーンなど、もっと自然な強靭さが出てもよかった。迫力ある大スクリーンで見直すと、また違った印象を受けるのかもしれないが。

ヴァンパイアハンターの老教授を演ずるウィレム・デフォーは安定の演技。燃えさかる炎を背に叫びながら仁王立ちする姿など、フランケンシュタイン博士さながらマッドサイエンティストの一面を覗かせて秀逸。

リリー=ローズ・デップの新夫役を演じるニコラス・ホルトは、前半のトランシルヴァニアの旅で見せるハンパない怯えっぷりが大きな見どころだ(ホルトくん、契約書はよく読もう、そして気安くサインしないこと。知らない文字で書かれた条文など論外だよ…)。

このように本作は、過去のドラキュラ映画を細部ではモダンにアップデートしながら、一方で吸血鬼をダシに古典映画への憧れをてらいもなく語る。なんでもCGだらけのファストフード的な映画制作の時代に背を向け、映画を追い続けることの快楽を映像に刻みつけてみせる。このような映画こそ劇場の大スクリーンと極上の音響で見るにふさわしい。ぜひ再見したいし、一夜限りのIMAX上映とか実現しすれば駆けつけたいのだが…。

以上、試写会にて鑑賞。

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いたりきたり

3.0因果応報

Kさん
2025年5月7日
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《試写会にて鑑賞》

リメイク版『吸血鬼ノスフェラトゥ』
美しいゴシックロマンスホラーを堪能。
ジャンプスケアありの不気味さに釘付け。
登場人物たちの愛の貫き方が深い…!
そして流石はジョニデの娘です。
リリー=ローズ・デップの怪演が見事!
白目になるところがとくに良かったです。
ウィレム・デフォーの存在感も圧巻でした。
映像、美術、衣装、メイクなどがどれも
素晴らしくてアカデミー賞にノミネート
されたことに深く納得です。
実際に2000匹ものネズミを用意した
シーンもしっかりと見届けてきました。
特典のステッカー嬉しかったです。
本日はありがとうございました。

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K
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