ノスフェラトゥのレビュー・感想・評価
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ホラー映画は映像芸術たり得るのか
見終わって何からケチを付けたらいいか迷うぐらい、不満がいっぱい。
元来ホラーファンではないからそんな感想になるのだろうが、そもそも恐怖とグロテスクをはき違えている昨今の風潮にも疑問を感じる。
グロテスクな過剰表現があれば年齢制限がかかり、露出や性表現へのハードルも下がる。その結果、作品のマーケットをおのずから狭めていることに、なぜ考えが至らないのだろう。
ベースとなったF・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)は本作以前にも幾つもの派生作品を生み出している。
ドイツ表現主義の傑作として名高いオリジナルは過去に一度観ただけだが、やはり評価の高い1978年版のリメイク『ノスフェラトゥ』はヘルツォークのDVD-BOXを持っているので、何度も観ている。自分と同じくジャンル的には門外漢でも本作に興味を持って見る人はたくさんいるだろう。
1978年版の映像は美しい。そして、オリジナルもモノクロ、無声ながら陰影を強調した表現美が好評を得たが、残念ながら自分には本作で美しいと思える場面は見当たらなかった。
作中に『エクソシスト』(1974)を思わせる場面があることからもR・エガース監督がホラー好きなのが窺えるが、ジャンルを越えて広い映画ファンの視線に曝されることへの認識が乏しかったことが残念。
1978年版でも踏襲されたオルロック(ドラキュラ)伯爵の容貌に、本作は大幅に変更を加えている。その全貌が分かるまで結構引っ張るが、その割には造形にインパクトを感じない。
一昔前のナチ・ギミックのプロレスラーみたいな容姿にはグロテスクとは別の嫌悪感が湧いてくるし、誤解を生じるロマの扱いも含め、作り手の底意を勘繰りたくなる。
1978年版のリメイクは作品として高い評価を得た一方、動物虐待を巡って強い批判を浴びたことでも有名。
同作には直接的な虐待シーンはないが、本作には遠慮なく登場する。
CGであっても人権侵害が許されないのと同じく、もっと配慮が必要だったのではという思いが募る。
近世の衣裳を忠実に再現したことが評価されオスカーにノミネートされたことはあとから知ったが、若い出演陣の動きがぎこちなく、うまく着こなせていないように思える箇所が散見できる。黒澤明が監督だったら、みんな何時間歩かされただろうと、観賞中つい想像してしまった。
途中まで冷めた目で見がちだったが、フォン・フランツ教授の登場で、あらためて作品に惹き込まれる。
演じたのはベテラン俳優ウィレム・デフォー。とばっちりだが、彼にも文句が。
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)の演技が高く評価されたのに、最近はヘンな役ばっかり。
「オスカー欲しくないのか、このアゴ!」と言いたい。
ホラー映画であっても映像芸術たり得ることは、ムルナウのオリジナルやドライヤーの『吸血鬼』(1932)が証明している。
そのことは、CGで表現出来る時代であっても同じ筈。
本作は果たして…。
あくまで門外漢の意見なので的外れかも知れないが、ムルナウの表現主義の名作が露悪趣味にリメイクされたことを一般の映画ファンはどう受け止めるべきだろうか。
久々にどっぷり引き込んでくる上質ホラーだった! キャラも世界観も濃...
そのまんま、現代に蘇るゴシックホラー!
ゴシックホラーっていいけど、古い映画ってやっぱり今の映画と比べると洗練されてないので観るの辛かったりするやん、そんな中、ゴシックホラー見たい欲を満たしてくれて尚且つ現代的な表現のこの映画、めっちゃ好き。感動した。
ストーリーについてはもう、ブラム・ストーカーが作ったあの吸血鬼ドラキュラを色んな人が色んな形にこねくり回し続けてる定番ストーリーなので、概ねご存知の展開なのに、伯爵の屋敷に囚われの身となったら、あああって心配になるし、次々犠牲者が出たら悲しくなるし、唯一対抗出来そうな教授とか出てくるとワクワクしちゃう。
字幕だと控えめだけど、しっかり英語ではプレイグと呼ばれてるので吸血鬼と言うよりは存在そのものが厄災みたいな、悪魔というのも少し違うし、呼び名通り疫病。街が、人が侵食されていく。ノスフェラトゥはこうでなくっちゃ、が全面に出てるw
衣装に小物、セットも凄いし、配役も素敵だし、造形全般が眼福。しかもロバート・エガース得意の彩度を落とした映像がすごく合う。長回しの緊張感とか没入感も、怖さを引き立ててくれる。
こういう感じで次はフランケンシュタインの花嫁とか観れたら凄く嬉しいです!作って!
あの古き良きゴシックホラーを現代的に再構築して魅せて頂けるの本当に幸せですね。感動して涙が出ちゃう。とっても美しい世界観だった。ストーリーの解釈も良かった。女性の扱い、あの時代の女を見下した感じを出しながらも、強い女性を描いてるのがとても今風で好き。
【パンフレット 990円 A5表紙込み40頁】
表紙が見た事ない特殊紙で革風だった。カッコイイ。そこに彩度低い伯爵のシルエット。表紙カッコよすぎる。中のデザインは特筆するとこはないけど無難な感じ。写真結構色々あって良かった。読み応えはそれなり。装丁のせいで高いのかなと思ってしまう。
内容は劇中カット写真数ページ、あらすじ、キャストコメント、監督紹介&コメント、コラム、スタッフ紹介、写真数ページ、プロダクションノート4頁、衣裳デザイナーコメント&衣装紹介やばいもっと見たい。特殊メイク解説、コラム2本目。オフショット、クレジット、テルマがゆく!の広告1頁。おしまい。
大人の夜のディズニー
ノスフェラトゥの声に既聴感。
……ジャバ・ザ・ハット……?
40年くらい前から擦られた異形。擦られた変態オヤジ。
なんかもうディズニーリゾートのアトラクション程度の恐怖テンプレ。
こうなると英語ってのも一種のハンディキャップである。
ノスフェラトゥだけは東欧テイストにしておきたかったんだろうけれど、どうもアトラクションぽさが抜けない。浦安にありそう。
衣装とセットとロケは頑張ってる。
が、その鳩はなんだったんだろう。
急にギャグ。台無し感がハンパない(笑ったけど)。
この映画だけではないが、例えばリングの松嶋菜々子が夜の別荘で一人でビデオ見てたり、なんでここであなた一人になっちゃうの?なんで一人にされちゃうの?って映画(などのドラマ)は多い。なんで?
なんかね、ご都合主義を超えた都合を感じずにはいられないのである。
学者先生(中川家兄)から夫氏からみんなしてつるんで奥さん置いてっちゃう。
やっちゃってくださいと言わんばかりなんだが。
まぁ、冒頭から「この映画はセックスですよ」と大人にはわかるように注釈を置いといてくれてるだけ親切か。
マニアックに拘り過ぎ
本作はカラーながら、意図的にモノトーンのシーンが多く挿入されていました。
特にベタ黒=漆黒の使い方や、カメラワークが印象的で。
これは、吸血鬼=人間に疫病と死をもたらす不死の悪魔であり、オルロック・ノスフェラトゥを闇の支配者として描くためだと思いました。
そして、1838年(おそらくリメイク元の『吸血鬼ノスフェラトゥ』合わせの設定かな?)当時の美術、衣装、建築様式などに拘りまくっていて、相当にマニアック。
全体に映画というよりアートっぽくて、一般の映画ファンには今の時代にどうなのかというくらい画面作りさえ古臭さを感じる部分もありました。
面白いというよりは、めちゃくちゃこだわってて、金がかかってる、というのを茫然と見てたみたいな133分でした(つまらなくはない)。
映像を堪能出来る
25-064
雨天順延
少し『エクソシスト』
おれは絵だけで白飯三杯いける。
楽しみにしてたエガースのノスフェラ。
リメイクだし、エガースだし、話は期待してない。
なるほど杭じゃなくてそれかい、、女怖いわ。
出演者は皆んなノリノリで頑張っている。
リリーローズデップもネズミに乗った黒い伯爵様とリアル恋人の間で狂気と恍惚を演じ切ったと思う。衣装も今回素晴らしかった、とくに青いやつ。
ビルスカルスガルドはイケメン悪役もクリーチャーも実に良い。ただ黒い伯爵様としては少し喋り過ぎではないかと思った、まあ脚本の問題ではある。
伯爵のデザインはなかなか地理的、歴史的にしっくりくるもので、今回はコウモリ依存ではなく鼠(ペスト、黒死病)で推してきたのも新鮮だった。
エガースが愛してる世界はクラシックな世界の美術なので、HMIもLEDもないデイライトと蝋燭の灯りである。美しい物も、醜い物も全ての物がフィルム上で溶け合ってしまう暗さが美しい。
良すぎゴシックホラー
美しい、あまりに美しすぎる
めちゃくちゃ良いゴシックホラー。
影の使い方がすごく良いし、ノスフェラトゥが映るシーンはモノクロに近く彩度を落としてるのもよい。
衣装もすんごくお洒落で素敵なものばかりだし、全編通して芸術点が高すぎる。最高。
個人的にはホラー映画としては大して怖くはないけど時折ジャンプスケアが挟まるのがうーんてなるのとノスフェラトゥがもう少しかっこよかったらもっと良かったかもしれない…いや、美女と異形みたいな感じでそれはそれでめちゃくちゃ良いんですけどね。
あとはリリーローズデップの演技が凄かった。本当に取り憑かれてるのではと思わせるような表情でゾッとしてしまった。
ウィレム・デフォーも最高でした。ちっちゃくて非常に可愛かった。
とにかく映像美の作品です
法令遵守な吸血鬼
エガース監督は前作もビジュアル重視でしたが、今回も衣装、メイク、美術装置、撮影は一級品でした。ただ、ストーリーや語り口が伴いません。ベタで冗長な展開で盛り上がりに欠けました。
ムルナウやヘルツォークを真似る必要はないのですが、ビジュアルのおどろおどろしさをもう少しストーリーにも反映して欲しかったです。
エレン夫妻がフリードリヒ邸から退去するくだり。「彼は病気なのよ、それでも出て行けと」「今まで献身的に世話してきたじゃないか、あまりに無礼だろ」。これって、現代のアメリカ社会にはびこる(アメリカに限らず全世界かも知れませんが)、リベラル層の分断や移民問題を暗に示しているのでしょうか。結局エレンは最後わが身を犠牲にし、一方フリードリヒ一家も悲惨な憂き目にあってしまいます。
オルロック伯爵は、あれだけ血を吸って人を殺める一方で、契約書にはえらいこだわる。規律意識が高いのはドイツ人気質なのかな(トランシルバニアだからルーマニア人か)。
ドイツなのに・・・
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