「正直期待外れ。面白くありませんでした。」ノスフェラトゥ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
正直期待外れ。面白くありませんでした。
「ウイッチ」「ノースマン」のロバート・エガーズ監督による吸血鬼映画ということで大変期待をしていたのだが。
そもそもこの作品は1922年のドイツ映画のリメイクで、ブラム・ストーカーの原作を下敷きにはしているものの、その後、ハリウッドで量産されたドラキュラものとは系統が異なる。だから魔物の属性としてはヴァンパイアではなくノスフェラトゥ(病災という意味に近いらしい)だし、ドラキュラ伯爵ではなくオルロック伯爵と個人名はつけられている。折角、美男俳優を使いながら耽美的印象はゼロで魔人っぽいというか牛鬼みたいでカッコ悪い。
22年版は観ていないのだが、資料にあたった限りでは「カリガリ博士」などと同様、表現主義の作品である。要するに、人間の内面にあるもの、特にこの作品の場合は「不安」ということになるのだろうか、を映像で表現(サイレントなので音声はない)した映画である。この「不安」の背景には西ヨーロッパや北ヨーロッパの人が抱いている東欧への恐怖感がある。伝染病、シオニズム、異端者、流民なと。だから光と影、おどろおどろしいセット、恐怖、驚愕に歪む役者の表情などが強調される。それらの手法がホラー映画の嚆矢としても位置づけられる作品でもある。
繰り返しになるが22年版は観ていない。でも筋書きを読んだ限りでは本作はかなり忠実に再現をしているようにみえる。でも、100年前の映画をかたちだけなぞってそれが面白いはずがあるか?と思ってしまう。この100年の間に、映画作品は、人を怖がらせるだけでなく、不安にさせる、不穏な状況を印象づける様々なテクニックを積み上げてきた。私はあまりホラーは詳しくはないが、例えばこの作品でも「シャイニング」を思い起こす様なシーンがあったりする。積み重ねで映画は発展してきた。だから無意識に模倣したりするわけだ。じゃああなたも自分の作品で何か新しいアイデアなり表現に挑戦してみなさいよ、後進に何か残しなさいよと私は思うわけでそこが何もこの作品では感じられなかった。
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