「幸せとは、ふと訪れる安堵が充満した感情のことだと思った」岸辺露伴は動かない 懺悔室 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せとは、ふと訪れる安堵が充満した感情のことだと思った
2025.5.23 一部字幕 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(111分、 G)
原作は荒木飛呂彦の同名漫画
ヴェネツィアにてある男の告白を受けた露伴を描くミステリー映画
監督は渡辺一貴
脚本は小林靖子
物語の舞台は、イタリアのヴェネツィア
交際文化交流のためにイタリアを訪れた岸辺露伴(高橋一生)は、予定を前倒しにして、ヴェネツィアを訪れていた
次作のための取材を兼ねてヴェネツィアを散策していた露伴は、そこで自身のファンを名乗るスリ(Nicò Sordo & Moreno Corà)に絡まれてしまう
盗難を無事に交わした露伴は、二人を能力にかけ、彼らの記憶を読み取っていく
そこには、マスクについて描かれたページがあり、彼らが持っていたものが盗難品であることがわかった
その後、露伴が散歩を続けていると、本物の仮面を売っている店を見つけた
中に入ると、そこには若い仮面職人のマリア(玉城ティナ)がいて、盗まれた仮面を返すことになった
一方その頃、イタリアで合流するはずだった編集者の泉京香(飯豊まりえ)は、予定の会場にて、主催者のロレンツォ(アンドレア・ベッラチッコ)と打ち合わせに入っていた
露伴がヴェネツィアにいると聞いて怒り出した京香は、その足で露伴を置くことになったのである
映画は、その後散策を続けていた露伴が、ある教会の中にある懺悔室に足を踏み入れる様子が描かれていく
その部屋が懺悔室と知らなかった露伴だったが、仕切り越しに座っていた男(井浦新)は、露伴を神父だと思い込んで告解を初めてしまう
男の名は水尾と言い、彼はかつて旅行でこの地を訪れていたが、窃盗に遭って、現地で働かざるを得なかったと言う
そして、そこでソトバ(戸次重幸)と言う浮浪者に遭遇し、食べ物を恵んでほしいと言われてしまう
水尾の言葉を受けた浮浪者は荷物運びをするものの、よろけて階段下へと転落死してしまう
そして浮浪者は、水尾に対して「幸せの絶頂の瞬間に、お前を絶望に落としてやる」と言う呪いをかけた
それ以降、浮浪者の怨念は水尾を陰で支えながら、彼が幸福の絶頂に至る瞬間を待ち望んでいくのである
映画では、告白する男はマスク姿であり、露伴の再現映像は別の人物にて再現されていた
実のところ、水尾は浮浪者の呪いから逃れるためにあるシナリオを描いていて、その際に起こったことを後悔していた
懺悔室で語られるのは、呪いを回避するために代役を立てたことだったが、浮浪者はそれを看過していた
姿も名前も変えた水尾は田宮と名乗り、次々と成功を収めていく
そして、娘(マリア・M)を授かり、幸せの絶頂を迎えてしまう
物語は、その娘が成長し、仮面職人のマリアとなっていることが暴露され、彼女にはロレンツォと言う婚約者がいることが判明する
そして、その結婚が実の父親の手によって失敗へと導かれようとしていたのだが、そこで露伴の能力が役に立っていく
露伴は、独自に結婚を阻もうとする輩を特定し、ヘヴンズ・ドアの能力にて、そうならないように書き込んでいた
それらが結実するのがラストの教会での顛末であり、物語は幕を下ろすのである
本作では、オペラの「リゴレット」が引用され、劇中でもそれを演じるシーンが登場する
ものすごく有名なオペラなので知っている人もいると思うが、それを知っていたらラストのネタバレは読めてしまったりする
かと言って「リゴレット何?」では厳しいと思うので、気になる人は「結末部分」だけ指で隠して、起承ぐらいまで読めば良いのではないだろうか
いずれにせよ、全編ヴェネツィアロケが行われていて、多くのイタリア人俳優たちが参加している
基本的に短編にオリジナル要素を加味してボリュームアップしているのだが、個人的にはそこまで改悪とは思えなかった
それよりも、高橋一生演じる露伴を受け入れられるかが鍵となっていて、やっぱり実写でやると変だよなあと思ってしまう
個人的に好きなのは、露伴と京香のズレた掛け合いなのだが、それがあまり多くなかったのは残念だったなあ、と思った
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