8番出口のレビュー・感想・評価
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原作プレイ済!追加アプデも!
最近の原作ゲームや漫画が未完結の状態で勢いあるうちに実写化やろうみたいなのが多い中、ゲームとして完結+劇場販促に際して怪異追加までしてくれた作品の映画化。
以下ネタバレあり
良かった所
・おじさんが原作そのままだった。
悪かった残念だった所
・主人公が二宮でない方が良かった。
・走ったらする所もあるのに喘息待ち設定(子供もそれっぽい描写あったから関連付けの為の設定?)
・最近のホラー映画に言えるがBGMやSE爆音にして反射的にびっくりさせようとするのはやめた方が良いと思う。
・改悪、元々30分くらいで終わるゲームを無理矢理伸ばしてるのでゲーム内の設定が悪い意味で変わってしまっている。
・怪異以外の同じく空間に迷ったプレイヤーが複数になった為、異変があったら戻るが曖昧になってしまった所がある。
・別れた子との間に子供が出来てそれを知る前に満員電車で赤ちゃんが泣いててキレてる人を見て見ぬふりをした事による罪悪感や別れた子の妊娠を聞いて精神が不安定になった為異変に巻き込まれたと言う設定で8番出口以外の話でも一本作れると思うので8番出口である必要がなかった。
やっぱり原作改変して正解だった映画はほぼないですね。
8番出口と言うプレイしてもしなくても見る機会の多かったゲームに旧ジャニタレ使って初週で売上伸ばそうとした感じの出来栄えでした。
おじさんにそんなことが…
あのゲームが映画化ということで気になって鑑賞しました
蛍光灯が灯る無機質な白い地下通路を、ひとりの男が静かに歩いていく。いつまで経っても出口にたどり着くことができず、何度もすれ違うスーツ姿の男に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気づく。そして男は、壁に掲示された奇妙な「ご案内」を見つける。「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から、外に出ること」。男は突如として迷い込んだ無限回廊から抜け出すべく、8番出口を求めて異変を探すが……。
というのがあらすじ!
ゲームの内容をどのように映画化したか気になりましたがうまくできてたと思います
どうやって95分もと思いましたけどまさかおじさんの話が描かれるとは思わなかったです笑
迷い込んだ人間で8番出口で出なかったから住人になってしまいましたね笑
おそらくおじさん視点のときに歩いていた女子高生もルールを無視したから住人になってしまったのかも?
そして子供はおそらく迷う男の子供なのかなと思います
迷う男が見逃してしまっている異変を見つけてたしいいアシストをしてましたね!
少年はたぶん出られたと信じたい…
迷う男に関してはまた同じ場面に出くわしてたけどまさかまだ出られていないっぽい?
8のときに出てなかったような気もする🤔
それに8番のりばというゲームもあるみたいだし…
電車を降りたときに8番出口になっててどうか出られていることを願ってます
あと喘息の設定はどこにいった?笑
途中から全然発作も起きてなかったし…笑
ゲームは実況をみてたぐらいでしたが楽しめました!
8番のりばももしかして映画化したりするのでしょうか?
面白い映画をありがとうございました😊
先に原作ゲームをプレイか動画で確認したほうが良い
鬼滅や国宝等と中々豊作の今夏だけど、またしても傑作がでてきた。原作ゲームを知っている方々はご存じだろうけど、非常にシンプルでプレイ時間は下手すると30分も満たない短編ゲームものだ。ストーリーもオチも無いゲームをどうやって1時間半ものの映画に仕上げたのかと思い、映画館に足を運んだのだけど、圧巻の一言だった。
まずは主演の二宮の演技が良い意味で痛々しすぎた。喘息持ちで元恋人のデキちゃった発言でメンタル崩壊寸前の主人公が「8番出口」の中に迷い込んで絶望感を味わう姿がとにかく胸を抉っていく。原作ゲームは非常に淡々とした雰囲気の中で何も言わない主人公目線(プレイヤー)が進行しているけど、映画では感情を持った主人公が只管絶望感に押し潰れないように足掻いて脱出する物語だ。そして、怪奇現象である8番出口もまた映画では感情を持つ主人公、または映画特有の他の登場人物に対して、1番触れてほしくない、あるいは偽りの希望を抱かせて、絶望感を合わせてくる。8番出口は迷い込んだ者の弱みに付け込んだ変異で迫ってくるのだ。それがまた視聴者に容赦ない絶望感を抱かせてくる。兎に角、没入感が凄まじくあっという間の1時間半だった。
ゲーム以外では今作の監督が執筆した小説版があるらしいんだけど、自分のオススメとしては原作(直接プレイかプレイ動画視聴)→映画→小説という流れが良いと思う。なぜならば、映画の内容は程よく自分で考察する余地があり、まずは自分である程度考察して小説で答え合わせをするのがオススメだ。あるいは敢えて小説を見ずに自分なりの答えを見出したままで自己完結するのもまた一興だとも思える。
欠点と言えば、明確な説明は無く、謎が解明されたわけではないから、ハッキリとした答えを求めている人に対しては不向きの作品だろう。それが賛否両論の要因の一つかもしれない。しかし、明確な答えが存在しているものは大した存在ではないと思う筆者にとっては定まった答えはノイズでしかない。謎だからこそ8番出口は超常的な現象に足り得ており、傑作だと確信している。
ちなみに1番騒がれている歩く男こと「おじさん」も凄い。何が凄いかというと本作最大級のネタバレになるため、実際に見て確かめてほしい。少年やその他のキャストも説明が難しく、ネタバレにつながることから以下同文。原作にお馴染みの変異はいくつか再現され、映画特有のアレンジも加えられており、絶望感が与えられるようなタイミングで発生させていることが憎い演出となっている。さらに映画オリジナルの変異もいくつかあり、その中には登場人物に合わせた悪意のある変異であることから、それも実際見て確かめて欲しい。ネタバレ厳禁で自分の目で確認しなければ、カタルシスを二度と味わえなく後悔すること間違い無しだ。
僕には理解できなかった
原作のゲームはYouTubeの実況プレイ動画で見たことがあります。
異変を探しながら8番出口に辿り着くというだけで、ストーリーや登場人物の設定はなさそうだったので、どんな映画になるのか気になっていました。
登場人物の過去とか人間関係とか、ドラマ的な要素での楽しみは、感じませんでした。
喘息の吸入器を持った主人公が、彼女から妊娠を伝えられていただけで、「どうする?」という問いかけに、映画の最後では病院へ行くと答えるようになった心境の変化はあったのでしょう。
けど、彼の元々の性格、彼女とどんなことがあったのか、ドラマ的な要素を構成する部分が弱くて、それが面白いとは言えない。
ゲームでおなじみのおじさんが、脱出を試みる側になっていたのは少し新鮮に思ったけれど、なぜ迷い込んだのか、どんなことを思っていたのか、何のために外へ出たいのか、キャラクターとしての存在がなくて、”あのおじさん”が外へ出ようとしているというだけでした。
子供も、いったい何だったのか。
ドラマ的な面白さはない。
ゲーム的な、「ああ、何か見落とした。悔しい!」とかいう心の動きも、映画を見ていて感じませんでした。
ひたすらに、とにかく奇妙な世界でした。
あの奇妙な感じを楽しめる人達というのが、世の中にはいると思います。
そういった人には、面白い映画かもしれない。
ただ、僕には楽しめませんでした。
それと、映画の評価とは全然関係ないんだけど、地下鉄で泣いている赤ちゃんと母親に怒鳴りつける男性。
あれは腹が立ちましたね。
赤ちゃんが泣くのは当然のことですから、赤ちゃんの泣き声は我慢できます。
でも、いい大人が、赤ちゃんが泣いているなんて当たり前で腹を立てる理由にもならないようなことで大声でわめき散らすのは、我慢できないほど不快でした。
この少子化の世の中で、子供は国の宝です。
社会全体で、温かく見守っていかなきゃいけない。
子供の親だけに、子供の責任を押し付けて苦しめるなんてことは許されない。
だのに、「母親なら黙らせろ」ですって?
「お前が黙れ」と思いました。
なぜ、あんな満員の大勢人が乗っている電車で、誰1人赤ちゃんと母親を守ろうとする人がいなかったのか。
本当に、不快で仕方がない。
とりあえず、映画の評価としては、僕は楽しめなかったり、意味も理解できませんでした。
役者二宮和也と監督さんは凄い。
まず、ゲームが原作なんだけどストーリーも何もない物。
バイオハザードやスーマリなんていうゲームのようなバックストーリーや世界観のない原作を映画として纏めた監督の手腕と二宮和也の演技には拍手喝采。
でも中身が何もない作品です。
悪い作品では無いし、破綻もして無いです。
でも点数付けたら2.5くらいかな。
演出面で主人公がどんな奴なのかを表してるシーンがあるが、それを最後のほうでセリフで喋らせたのは減点かも。
ただ子供を出汁にするのはどうなんだろう、赤ちゃんの泣き声を不快に感じるような演出は不快だな(笑)
私が劇場で思ったことですが、結構親子で来てる方が居られました。しかし小学生にはちょっと辛かったろうなと。
8番出口、それは「誰か」を見つめる勇気
「8番出口」の世界観を見事なまでに映像化しています。主演のニノと小松菜奈さんの演技もさることながら、特にすばらしいのは、おじさんの存在感です。ゲームの中からそのまま飛び出してきたかのようなリアリティがあり、その姿がゲームの記憶と映画の物語を強く結びつけ、作品への没入感を一層深めてくれました。
映画の序盤で描かれる、ニノの視点(満員電車で泣く赤ちゃんとお母さんを誰も助けない)や、おじさんの視点(女子高生に「日常こそ地獄」と言われる)は、まるで出口の見えない人生のループを象徴しているようです。
しかし、8番出口を脱出した後のラストシーン。主人公のニノが、まるでそのループを断ち切るかのように、満員電車の中で自ら行動を起こそうとするラストシーンがシンプルで素敵でした。
「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」というゲームのルールは、ただ通路を行き来するだけの単純な物語に見せかけて、私たちに人生のヒントを与えてくれます。この映画が教えてくれるのは、人生の停滞(ループ)から抜け出し、自分にとっての8番出口(希望)を見つけるためには、大切な人をしっかりと想い、考え、みつめて、行動することこそが大切な人の笑顔になり、それが自分自身のエネルギーにつながるということです。
ポスターの一枚、エッシャー(エッシャーといば、だまし絵)というひびきが、単なる通路のループではなく、多層的な世界観を暗示するアクセントとなっています。
二宮さんの喘息という設定が最後までどういう意味を持つのか掴みきれませんでしたが、それでも何か深い意味があると思わせる、素晴らしい作品でした。
見るに堪えない、ことはない作品になってはいる。
いい点
途中から飽きるであろう設定を見事に展開して見せてくれた。売れてるワンシチュエーションゲームを映画作品として90分持たせるため、人間ドラマの要素を絡めたのはよかったかな。
良くない点
残念、おっさん視点になってから俄然面白展開を期待したが、広げた風呂敷が全然たためてない。おっさん出口成功したのに、またふつーに歩いてるし。(子供が手を引いて止めようとしたのはなぜ?)
第三章「女子高生」があってもいい流れだが特にこの展開は生かされず。いろんな人が迷い込んでは、内なる悩みの解消につながる迷宮でした、的な妄想もしたが。もしくは誰かを犠牲にしないと出れません的なバッドエンド方向とか。
そもそも論だが、クリア簡単じゃね?っていう。なんか毎回変化あるんだから、とりあえず戻ろ、みたいな。あと命がかかってないし。見た目怖系な事が起きても、戻れば綺麗な地下道でしょ、と。スリル感はなかったな〜。洪水のときは自動的に戻してくれるじゃんって見てた。時間制限的にニノの喘息設定があったが、後半うやむや。
キューブやソウを引き合いに出すチューバーもいたが私的には全然。世にも奇妙な物語で30分くらいが丁度良いのでは。世間では売れてるらしいので、今後に期待したい。
脚本と俳優の演技に敬意を
8番出口のゲームとしての異質さと秀逸さについてはここでは割愛する。しかし、あのストーリー性のないゲームをどのように映画に落とし込むのかという点に興味を惹かれて視聴した。
まず、ループする地下道に迷い込んだ人間が異変を見逃さないように気をつけながら8番出口を探すというシンプルなゲームを、途中ダレる箇所はありながらもよく95分も持たせたなというところを評価したい。それを支えるのが、ひとえに俳優陣の安定的な演技力だろう。特に、歩く男を演じた河内氏の怪演たるや、彼なくしてこの作品は成り立たないと言える。また主演として、見るからに優柔不断でうだつのあがらなそうな男を演じる二宮氏の演技にも敬意を表したい。
ストーリーは別れた恋人から子供が出来たと告げられ、産むか産まないかの選択を迫られる男の話で、それ自体は単純でよくある、悪く言えば捻りのないストーリーと言える。しかし本作の主軸は「8番出口を求めてさまよう」ことにあるので、それ以上に話を壮大にされても困るというもの。ある意味単純で分かりやすいストーリー軸が妥当である。
結論から言えば、映像や台詞、仕草からテーマや心情を読み取ることを好む層には良作だが、エンタメ的な娯楽作品を求めている層には駄作である。また、テーマの重さから、子供が観るにはあまりおすすめできない作品である。
【8番出口の存在意義】
特筆すべき点は、なぜ人は8番出口に迷い込むのかを描いていたことである。これ以降は個人的な解釈となるので、ご留意いただきたい。
8番出口とは、現実世界で重大な決断に迫られた時、目を逸らしたい、あるいは逃避したいと願う人間が迷い込む内省世界である。
主人公の逃避行動は随所に散りばめられている。
電車内で泣く赤ん坊に男が怒鳴り散らしている場面。怒鳴る男に不快さと憤りを感じながらも、結果主人公はイヤホンをして不快な状況をシャットアウトしている。また、元恋人からの電話に応答する場面では、重大な決断を迫られた際に電波の状況が悪くなり、声が聞き取れなくなっている。これは重たい選択を無意識に避けたいという深層心理の現れと言える。現実から目を逸らしたい。そのような心情が8番出口という内省世界を作り出し、迷い込んでしまったのだ。
8番出口が主人公が作り出した世界であるなら、ロッカーから赤子の泣き声が聞こえる異変やネズミの異変がゲームでは出ていないこともうなずける。ゲーム内で8番出口をさまよう男と、本作の主人公は別人だからである。ロッカーの異変では子供を捨てることの罪悪感を。ネズミの異変では中絶を選ぶことの罪悪感をそれぞれ暗示している。
【主人公の喘息という設定の妙】
主人公の喘息という設定がノイズであるという意見もあるが、これは必要な演出であったと思う。8番出口という場所が直視したくない現実と向き合い、なんらかの決断を迫る儀式とするのなら、その現実と向き合うには多大な負荷をともなうからである。
極度のストレス負荷によって喘息の症状が悪化するのは自然であり、そのため序盤の主人公は発作に苦しみ、事あるごとに吸入器で症状を和らげている。これはある種の自己防衛的な行動である。その後、主人公は嘔吐し、背負っていた荷物を投げ捨てている。これは自己防衛を止め、現実と向き合う決意を固めたというメタファーとなっている。
後半にかけてどこか吹っ切れたかのような、晴れやかな様子すら見せるのは、苦しみから解脱し、悟りの境地に至っているからだと解釈できる。
【歩く男の物語】
視点が主人公から歩く男に入れ替わった瞬間。なるほどこう来たかと舌を巻いた。不気味な怪異に思えた歩く男もまた、8番出口に囚われさまよっていたという掘り下げは明快であった。
8番出口がそれぞれが作り出した内省世界だと仮定するなら、歩く男もまた逃避したい現実を抱えている人物の一人である。男の逃避したい現実は、歩く女子高生の台詞で推察できる。「毎日満員電車に揺られて、同じ日の繰り返し。可哀そう」これは間違いなく男自身が常日頃思っていたことであり、直視しなければならない現実であった。このまま会社勤めで一生を終えるのか、あるいは会社を辞めてどこか別の場所で再起するのか迷っていたのかもしれない。
【なぜ少年は、歩く男に話しかけなかったのか】
ここでは少年に対する、歩く男と主人公の態度について対比する。
歩く男は少年に対し、何度も「なにか(異変が)あったら言ってね」と声をかけている。これは一見少年を尊重しているように見えるが、実際には自身で決断したくないという逃避行動の現れである。
逆に、主人公は少年に判断をゆだねることはなく、積極的に異変に立ち向かおうとする姿勢を見せた。
さらに男は、異変の前に立ち止まる少年を顧みることなく、彼の手を無理やり引っ張って進む。そうした結果、0番に戻るという現実に直面し、怒りを露わにした。しかし、嘔吐し、荷物を捨てた主人公とは対照的に、男は再び鞄を拾い、明らかに無理をした笑顔を作って少年に向き合った。この行動から、歩く男はまだ、現実と向き合い解脱するという境地には至ってはいないことが分かる。
一方主人公は、立ち止まる少年に気付き、結果異変を発見した。現実と向き合い、解脱し、苦しみから解放された結果、立ち止まって物事を直視する余裕が生まれたからである。
少年が話しかけるか話しかけないかのトリガーとは、解脱へ至っているのかそうでないかにかかわっているのかもしれない。
歩く男は最終的に、現実から目を逸らしたまま少年を振り切って逃避することを選んだ。そのため、彼は永遠に8番出口をさまようことになったのだ。歩く女子高生もまた、同様の手順を辿ったのかもしれない。
【少年の正体と意味】
作中での答え合わせ(未来の描写)の通り、少年の正体は主人公の子供であった。
「父親には会ったことがない」という少年の言葉をそのまま捉えるならば、この少年は主人公が見て見ぬふりをした(逃避した)世界から来たということになる。しかし、そうなれば逃避を選んだ結果8番出口から出られなくなった男の例と矛盾しているため、別の可能性を考えるべきだと思う。
少年もまた、逃避したい現実と直面しさまよっていた。それは母親との関係である。
なぜママとはぐれたのかという主人公の問いかけに、少年は「ママに探してほしくて」と答えている。これは幼い反抗心のようでもあるが、現実の母親は少年を顧みれていない状態であると言える。
それは少年が今まさにお腹に宿っている魂であり、母親自身もまたあらゆる現実に直面し子供のことを顧みられないでいるのではないだろうか。そのため、生まれるべきかそうでないか、少年もまた迷っていたのかもしれない。であれば、父親には会ったことがないという発言もうなずける。
【残念な点・分からなかった点について】
いくつか残念だった点を挙げていく。
まずは結末について。
最終的に主人公は8番出口を出ることになったのだが、出た先で冒頭の電車のシーンに戻る。8番出口を出られた主人公は、見て見ぬふりを止める(逃避しない)という結末を演出したいのは理解できるが、あまり効果的でないように思った。なぜなら主人公は、水の異変から少年を守るという行動を経て、父親になる決意を固めて8番出口を出ているはずである。
ループ世界から抜け出した後にまたループするというのは拍子抜けでもあるし、8番出口を出た結果が母子を助けられなかった後悔を払拭するというものなら、自身の子供うんぬんの話はまるまる要らないものになってしまう。
もう一つは、異変が起こりすぎていることだろう。8番出口の醍醐味は、むしろ異変が起きない状況にこそあった。数々の異変を見逃して0番に戻されてきた経験を持つプレイヤーは、回を追うごとに疑心暗鬼になり、異変が起きていない状況に恐怖を感じていたのだ。その描写が、エッシャーの絵の中に蟻がいたのか?と疑問に思ったそのシーンのみで、それもあっさり解決してしまったのが残念だった。
最後はテーマが重すぎる問題である。8番出口は有名実況者たちの動画の影響もあり、若年層を中心に爆発的なヒットをもたらしたゲームであった。何を隠そう筆者も小学生の子供と連れたって映画館へと足を運んだ。しかし蓋を開けてみれば、別れたばかりのカップルが子供を産むか産まないかというストーリーテリングであり、大変気まずい思いをしたのである。
子供が内容を理解したとは言えないが、親としては妊娠出産というテーマについてはもっとポジティブな発信をしてほしいのが本音だ。製作者側はもう少しターゲット層に合わせたテーマを模索するべきだったかもしれない。
分からなかった点は、なぜ水の異変が津波を思わせる演出に変わったのか。しかしそれはノベライズにて補完されているらしい。
もう一つは黒猫の存在意義。こればかりはいくら頭を捻っても全く分からなかった。
タイトルなし(ネタバレ)
地下鉄。
30代と思しき冴えない男性(二宮和也)。
乗車口に立って、聴いているのはラベルのボレロ。
離れた席で、泣き止まない乳児を連れた女性が、会社員から叱責されている。
彼女(小松菜奈)から電話が入る。
重要な内容だが、電波状態が悪く、途切れ途切れになる。
改札を出て、同じような地下通路を歩いていくが、出口にたどり着けない・・・
といったところからはじまる物語。
ゲームの映画化。
脱出系エンターテインメントか、『CUBE キューブ』のようなSF要素のあるスリラーか、そんなところだろうと思って、当初、鑑賞予定はなかった。
が、食指が動いたのは、川村元気監督、というところ。
彼の製作作品は、作家性よりも一般受けしそうな要素を盛り込んで、薄味になることが多く、肌に合わないことが多かった。
ですが、初監督作品の前作『百花』が大いに気に入った。
エンターテインメント要素、一般受けより、自身のこだわり。
そんな感じがした。
本作も『百花』と同音異曲。
心の迷宮に陥る話。
先にあらすじとして、冒頭部分を詳しく描写したのも、早々に脱出系エンターテインメントでないことが、ここでわかったから。
で、すぐに想起したのは、諸星大二郎の漫画『地下鉄を降りて』。
あちらでは、冴えない中年サラリーマンが地下鉄を降りて、いつもと違う経路で迷ってしまう話。
制度的行動からの逸脱、だった。
対して本作、同じ通路を通るが、通り抜けるときに「異変」に気づくかどうか。
異変がなければそのまま進み、異変に気付けば引き返す。
異変があるにもかかわらず突き進むと、振り出しに戻る(つまり、ひどい目に遭う)。
現代における、繰り返しのような毎日における生き抜き方みたい。
ま、それはサブメタファー。
メインのメタファーは、あくまでも心の迷宮。
踏ん切りを着けるまでの逡巡。
エンターテイメント作品を期待していると、最後は「あれれ」となるだろうし、つまらないと感じること請け合い。
なお、映画をおもしろくするのは、常々、「前進する運動性」と「反復」という二律背反的要素だと思っている。
本作、同じところを進んでいるとはいえ、迷宮の中を前進することで運動性を確保している。
当然にして、反復のおもしろさも有している。
しかしながら、同じところであるがゆえに、反復も度が過ぎると運動性を失ってしまう危険がある。
本作、ギリギリのところで繰り返しを逸らしていて、作劇的にも上手いなぁと思いました。
川村元気、監督作品の方がやっぱり良いね。
なお、巻頭巻末に登場する地下鉄駅、上下2段式のホームの様子からみると、東京メトロ副都心線・東新宿駅とみたが、いかがかしらん。
違和感
ループするゲームの世界観は崩れていなくて良かったが、ニノの喘息設定は微妙。短時間に何回も吸入はしないし、中盤からは吸入なしでいけてた。必要か?
新しいのは、おじさんのように誤った選択をして死亡フラグが立つと、永遠にループする世界から抜けれないのは新たな発見。
あと、異変が同時に3つも起こるのはどうだろう。(停電、換気口が外れる、異生物が走り回る)
その中でも津波(ゲームでは赤い波)の異変は、サイレンまで鳴って、東日本大震災経験した私には全く配慮がないと思った。津波経験した人は見れないよ。
最後、ニノは波に流されたのに、また7番から始まっていたのは?と思った。
それでも、最後はニノが一歩踏み出すところが描かれていて、全体的にまとまっている印象かな。
日常の異変
この作品は、日常の異変に気付きそれに向き合うまでの物語だと感じました。
映画冒頭、主人公は泣き喚く子供にキレるサラリーマンを見てみぬふりをしてボレロを再び聞き始めます。主人公はこの行為を8番出口に入ってからも悔やみ、そんな人間が父親になる資格があるかと葛藤してしまいます。
恐らくこれこそが8番出口に入った原因でありこの問題を解決しないことには、一生あのループが続くということかなと思いました。8番出口の異変の数々は、主人公の内面の恐怖を具現化したものであり決して観客を脅かすだけの舞台装置にはなっていません。いくつもの内面の恐怖に向き合い異変に気付くことで最終的に同じ列車に戻ることになります。
最後に主人公がキレているサラリーマンがいるであろう方向に進み出したとこで、やっと自分に向き合うことができました。
子供が生まれるかもしれない、その時に自分は立派な父親になれるのかという不安。そんな日常に起こる異変を受け入れた主人公はきっと映画中盤に描かれた海岸で幸せそうな家庭を築いているのだと思います。
この感想には都合良く解釈し過ぎなところがあるのも重々承知です。所々に分かりづらいシーンやカットがあり不完全燃焼な気持ちになるのも分かります。
しかし、それを踏まえた上でも僕の中では大切な作品となりました。
意外と楽しい異変の数々
低予算ホラー的な設定ですが(だからこそ?)飽きずに楽しめる構成。
ループ設定は今時ありがちとはいえ、ニノの逡巡・葛藤とシンクロしているところも好評価!
ちなみに東京メトロで8番出口の謎解きをやっています。映画鑑賞後に「謎解き慣れしたメンバーだし、2時間もかからないよ〜」とナメた調子で行ったら、かなりボリューミーて5時間かかりました。
…お近くの方はぜひ!
原案ゲームとしては良かった
電車を降りて地下通路を歩きながら出口を探すも、気付くと同じ場所をループしている。奇妙な「ご案内」に従いながら出口を求める、というシンプルなあらすじ。
原作は単純なゲームなので、これをどう映画に?と興味を持った。
本筋はゲームと変わらないが、"そもそも主人公がなぜ迷い込んだのか?"というところから描かれる。
仕事へ向かう途中、別れを決めた彼女から電話で妊娠を告げられる。自分に父親がいないという事、不安定な派遣の仕事という事、それ以外にも理由はあるのだろうが、心の迷いのまま気付けば地下通路を彷徨っていた。
地下通路のルールに気付き8番出口に近付いていくが、そんな時に彼女からまた電話が。
彼女の声に安堵しながら、子どもを喜べない主人公の心の迷いへ後押しした電車でのある出来事。本音を明かしながらも彼女の言葉を信じた結果、また異変のループへ引戻され絶望を味わう。
そこで話は"歩く男"へと変わる。
ゲームを知っている人なら、この人の裏側が!とテンションが上がると思う。NPCだと思っていた人も人間だった。ここで闇を感じます。"歩く男"も別の"歩く女"を見ていたので、どんどん引きづり込まれているのかもしれません。
そして後半のキーとなる、"少年"の存在。
顔の傷が付いたときに(あ、時空が歪んでいるのか)と思いましたが、その後の【お守り】含めて1からよくこの話を作ったなと。
冒頭から"迷う男"の登場までは、主人公目線なので、苦手な人は酔うと思うが、没入しやすい作り。
ゲーム同様、最初2回は異変なしで進んでから、初めて客観的視点に切替り、自分も無意識に異変を探していた。
なるほどと思ったのは、
異変の一部は、主人公が見てたスマホ(Xらしきスクロールの中)にちらほら登場してたので、異変ももしかして"迷う男"の心理的にどこかに眠っていた記憶から影響しているのかもしれない。
地下通路で見ていた広告も全て、8番出口後の駅構内に掲出されていたので、もしかしたら前半に写っていたのかな?と。
最後、出口は外に通じていると思い込んでたので、下に降りるときは、8番のりばに繋がるのかとヒヤッとしました。
・トータル
ゲーム知ってる人には、まぁ満足できるのではないかと。ゲームのミソも押さえつつ➕αな異変もあり、"歩く男"の裏側など。(異変が出てもなかなか引き返さない所は、個人的にイライラした。)
ゲーム知らない人には、まぁ普通かな。95分なのでエンタメとしてコスパは良し。
最後まで分からなかったのは、
主人公の喘息持ち設定。沈黙と爆音がある作品だったので、ぜぇぜぇ言う音が違和感だった。
子どもと一緒にいてからは、喘息が全く出てなかったが、あの時は未来にいて治っている...のか...?
あと冒頭のヒカキンはちょっとげんなりしましたが、
モブキャラだったので流しましょう。
ほぼ満足、強いて言えば…
他の方もレビューされているように原作に物語性を加えて見事にひとつの作品にしている。映画ならではの表現で作品全体の不安感、嫌悪感がしっかり伝わるため是非映画館で観ることをおすすめしたい!
おおむね満足だが一つ気になったのは、二宮くんが角を曲がったときに鳴る「ファーン」という効果音。あれは正直いらなかったかなと個人的には感じている。ややくどいような気がする。ただラストシーンの電車で怒鳴る人の存在が社会における「異変」であること、そしてその異変に気づいた二宮くんが見事無限のループから抜け出したということが伝わりやすくなっているため人によっては必要だと思うかもしれない。
私の8番出口
主人公は派遣の仕事をしており、今日も地下鉄で勤務地へ向かっていた。到着した駅で8番出口から出ようとしたが、なかなか出られない。何度も同じ道を繰り返し進んでいることに気付いた主人公はある注意書きを目にする。そこには、異変があったら引き返すこと。異変がなかったら引き返さないこと。と書かれていた。突如として訪れたこの不可解な状況から主人公は脱出することができるのか。
私は、レビューを書くときによく考えることがある。それは、もし自分がこのテーマの映画を製作してほしいと頼まれた場合にどのような作品にするか、ということである。本作を鑑賞した帰り道でこのことをずっと考えたが、考えれば考えるほど本作の作りが最適解のような気がしてきた。
本作は、コタケクリエイトが製作したゲームが元ネタとなっている。私も動画サイトなどで8番出口の実況動画をみたことがあった。シンプルな設定や異変を見つける楽しさ、ホラー要素などヒットした要素はたくさん見つけることができた。本作は、そのゲームの世界観を忠実に再現している。映像の質感や、細かいディティールまでもがそのまま採用されている。これは、ゲームファンにとって嬉しい点である。
そして、問題のストーリー。この8番出口というゲームは設定がシンプルなのは良いことなのだが、映画にするとなると間違いなく展開に困ってしまうのである。約2時間異変探しに没頭するだけで終わってしまう可能性がある。
そこで、本作はこの8番出口を胎内での出来事に置き換えたのである。天井からドロッと流れる血液や突如流れる濁流、ロッカーから聞こえる赤子の声、身体の一部と胎児が合体したような生物の登場は明らかにそれを表している。このテーマにより、出口から出ることの真の意味が付加されたのである。
そして、もう1点優れている点として、出口へ向かう角を曲がった際に必ず登場する“歩く男”を主観として描いたところである。彼は社会に疲れたサラリーマンである。すれ違う女子高生の「現実社会と繰り返す8番出口は同じようなものだ」という言葉に心を動かされてしまう。焦った彼は、子供の正しい異変の指摘に耳を貸さずに脱出に失敗してしまう。社会では地位の高そうな身なりの良いサラリーマンである彼が子供と向き合うことに失敗し、社会では地位の低いフリーターで身なりの良くない主人公が子供の言葉を受け入れることで脱出に成功する。本作は“歩く男”を主人公と対比の存在として描いたのである。
その他にもシンメトリー的に描かれているシーンが多い。冒頭の満員電車で始まり満員電車で終わるシーンや主人公と少年の脱出の理由もそのひとつである。そもそも8という数字自体が線対称でもある。これらは、完成度の高い、推敲を重ねた構成である映画に顕著にみられる仕様である。
ゲームを知っている者はそのままの設定にワクワクするし、知らない者もシンプルな設定から入り込みやすい。なにより異変を探すという行為を知らない間に観客もやっている。8番出口のゲームの特性を存分に活かしながら、その行為に意味を持たせることにも成功した。私だったらこうしたのにといつもだったら一つか二つ思い浮かぶのだが、帰り道ではそれが浮かばず悔しかった。
良かった!
私はこのゲームをYouTubeで見ていたため、途中からこの繰り返しのゲームで尺がもつのか、、?と心配に。
しかし、なるほどそうくるのね。と思わせる展開。
ただ繰り返しにはなるのとある程度どんなことが起こるか予想がついてしまっていたため、知らないで見た方が評価は高いかもしれない。
ゲームを知っていても知らなくても主人公と一緒に、ドア、通気口、ドアは多くの人がやっていたであろう。
わたしもやった。
飽きるかなと思ったけど、最後まで楽しめた。
二宮さんはほんとに具合が悪そうだった。
小松菜奈さんはほんとに可愛かった。
おじさんの立ち姿が素敵だった。
女子高生に少し心えぐられた。
整合性を持たせようとすると感じる矛盾
まず、しっかり怖いところは怖かった、しっかり緊張感ある弛みのない映画でした、というのが前提です。
川村元気監督はカメラを据えて動きを待てる監督ですね。
その待つ1秒、2秒、コンマ何秒がこの映画をスペシャルなものにしていると思いました。
ストーリーがノイズになるであろう映画をしっかりノイズ入りの映画にした、という感想でした。
もともと不条理の設定なのだからもっと不条理に、不気味にの方向に舵を切る映画を私が求めていた、それと外れたから少し低い評価になった、と思います。
不気味さや怖さがある映画なので、もっと行けたのでは、もっと名作になったのでは、と思いましたが、仕方ないかー、とも。
ただ、あの歩くおじさんが意思を持って歩き始めたときは、このストーリー意味不明!面白くなってきた!とめちゃくちゃテンション爆上がりした、と記録しておきたいです。
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