「求めていた内容ではなかったが見所はあった」8番出口 ぱらそるさんの映画レビュー(感想・評価)
求めていた内容ではなかったが見所はあった
最初のBGMで「あれ、これデ●モンの映画だっけ?」と思ったのは私だけじゃないはず…冗談はさておき…。
原作ゲームの内容は既に知っていて、「アレをどうやって映画化するんだ?」と興味が湧いたので見に行きました。
原作ゲームは見慣れた地下鉄通路で行われる怪奇アドベンチャーで、妙にリアリティのある地下鉄通路の景色とそこで起きる異変の不気味さやシュールさが印象的で奇妙な面白さを感じる作品でした。
だから映画になる場合も不思議でシュールな異変の数々を割と軽いノリで淡々と進んでいき、最後に「やったー出れたー!」くらいの感じになるんかなー?って思っていたのですが、この予想は大きく外れました。
以下個人的に悪かった点と良かった点を挙げさせていただきます。
【■悪かった点】
・主人公の抱えてる問題やホラー要素が強調されすぎてて8番出口の魅力が薄れてる。これ8番出口でやる必要ある?
・要所である生理的不快要素(嘔吐や不快爆音)。
・主人公の葛藤とか家族とか赤ちゃんのこととかどうでもよくて「異変」をもっと出してほしかった。
・主人公の喘息設定。正直咳混んでる場面を長々見せられてもうるさいし不快…かとおもえば後半全くそういう様子がなくなる。
【■良かった点】
・個人的には人間の内面描写にテーマを置いたことは否定派ですが、それを加味した上で見返すと上記の悪かった点に上げた要素も意味があり、主人公たちの抱える問題と異変がリンクしている点はうまいなと感じました。
・おじさんの掘り下げ。原作ゲームでは一切が謎の存在であるおじさんでしたが、映画での味付けは嫌いじゃなかったす!
・異変を見せる際のカメラワークが良く(特に前半)てゲームを知ってるとニヤリとできる場面が多かったてす。
・原作にない異変ポイントがありワクワクしました。
・異変の中でスマホや置いていった荷物がどういう扱いになるかなどちょっとした気になるポイントを見れてよかったです。
・俳優さんたちの演技はいずれも迫真で素晴らしいです。
個人的な総評としては「8番出口としても人間ドラマとしてもホラーとしても中途半端な作品」といった感じでした。
映画にする以上何かしら惹きつけるテーマを決めて作らねばならないのは承知ですが、私が求めていた8番出口はコレジャナイ。もっとシュールな作品なのかと思いきや中身は終始シリアスで息苦しく前提条件から合っていなかったんだと思います。
ただ、異変と人間の内面を織り交ぜた脚本は挑戦的でよくできており、雰囲気や俳優さんの演技などは申し分ないので作品としてはそこまで悪くないと思います。
私のようにゲーム版のイメージを強く抱いている人よりも完全初見の人のほうが楽しめるかもしれません。
最後に一つ書きますが、最終的に主人公は8番出口のルールを一つできていないんですよね…その意味ははたして?
