「原作再現度は満点。ストーリーは普通。」8番出口 ナガレさんの映画レビュー(感想・評価)
原作再現度は満点。ストーリーは普通。
クリックして本文を読む
まず、再現度が高すぎて感動しました。冒頭の主観シーンから見慣れた通路のテカテカした光沢感と内装を目にしたときには思わず息を呑むほどでした。
一方でこの奇妙な現象に実際に巻き込まれた人間がどうなるのかについての演技表現も良質で、喘息持ちの主人公がパニックになる様子や、二章で主人公となるおじさんが同行者となった少年を前に大人としての態度と平静を取り繕いきれずに感情を爆発させる様子は見応えがありました。
おじさん、ポスター、ドア、ドア……ゲームプレイヤーもやっていたような間違い探しのルーチンにはシュールな面白さもありました
主人公の不安を的確に抉ろうするような、何者かの悪意を感じる恐怖演出や、現実に帰れずに8番出口の一部になってしまったおじさんの末路については、個人的に好きになれませんでした。というのも私にとって、8番出口はあくまで奇妙な現象であって、獲物を取り込もうとするホラー的な怪異のような印象が無かったからです。
また、劇中で度々強調される主人公が抱える諸問題と、それが絡んだ恐怖演出(コインロッカーの赤子や、非常口の闇の中で主人公が見せつけられた冒頭シーンなど)についても、舞台のほうに気を取られていた私には少々余計に感じられてしまう程度のもので、もっと原作8番出口のシーンを観たかったな、と思ってしまいました。
しかし、これはあくまで私の勝手な押し付けであり、ストーリーの無い原作を映画化するにあたって必要な要素だったと納得できるものでもありました。
期待しすぎると肩透かしをくらうことになるかもしれませんが、良作です。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。