「根底にあるのは家族に対するメッセージ」8番出口 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
根底にあるのは家族に対するメッセージ
「8番出口」から脱出したら、人生の不幸のループからも抜け出すことができたという脚色の勝利。ラストの「8番出口」が末広がりのハッピーエンドに見えた。
「ボレロ」は同じフレーズをループするためオーケストラの難曲という。安易なタイアップ曲ではなく、本作のテーマに合ったこの曲を採用したことに映画人としての心意気を感じる。
根底にあるのは家族に対するメッセージ。
派遣で働く主人公が、別れる予定だった恋人から妊娠を告げられる。
劇中、主人公は父親がいない家庭で育ったことが語られ、おそらくは理想の父親像が描けず、父親になることが怖いことがわかる。この主人公の父性に対するコンプレックスが原因で、恋人との仲もうまくいかなかったことが想像できる。
結婚し家庭を持つという人生の決断から逃げていた主人公は、「8番出口」という予測不能の障害を乗り越える中で、自分の人生からも逃げずに立ち向かう覚悟をする。
生まれ育った環境のせいで、本人が気付かないところで、負のループに陥っていた主人公。「8番出口」のゲームクリアは、まさに人生や生き方の「出口」探しだった。
単純なゲーム性の原作に対して、ここまでのメッセージを込めた映画に仕上げた才能に尊敬しかない。まさに2次創作のお手本のような映画。今回と全然違う裏テーマ、主人公でシリーズ化した作品も観てみたいと思う。
ヒットしてるようなので、この呼び方は相応しくないかもだけど、今年の邦画で「見える子ちゃん」に匹敵するダークホースだ。
みなさんは人生の「8番出口」を見つけましたか?
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