「1人の男が変わるために必要だった無限ループ」8番出口 bexさんの映画レビュー(感想・評価)
1人の男が変わるために必要だった無限ループ
まず、二宮和也ってあんな爽やかさもオーラもない男も演じられるんだ、という驚きがあった。
言われるまで気づかなかったよ、言われても二宮和也に見えないよ。
時系列もなにもかもごちゃごちゃの展開。
頭が混乱するが、ゲームでいうところの進むと引き返すの直線的世界に映画らしい奥行きが足されたようで、作中にあったエッシャーの絵のような面白さを感じた。
特に「迷う男」が津波から「少年」を助けるくだり。
「迷う男」があそこで逃げずにガッツを見せられたのも、波から連想した、まだ産まれていないはずの自分の子供が遊ぶ姿を眺めながら妻と交わした会話の記憶とかいうめちゃくちゃな経験によるものだろう。
それでも「迷う男」が父になるにはそれが必要不可欠だった。
他に印象深い点。
これまで一部の歪みもなく歩く怪異だった「歩く男」が人間になった瞬間震えた。
これは映画ならではのアナザーストーリー。
彼もまた無限ループにイライラしたり子供に気を遣ったりする普通の人間だった。
ということは彼にも時間をかけても受け入れなければならなかった何かがあったのだろう。
それは達成される事はなかったけれど。
「迷う男」が受け入れなければならなかったのは父親になる選択と覚悟だよな。
ずっと赤ん坊の泣き声が恐ろしい異変として表れていたし、本当は責任取るのも嫌で逃げたくてたまらなかったんだろう。
本当に泣き声怖い。音が強調されてうるさいし。
「少年」も変なループの仕方してるよなぁ。
「迷う男」が「おじさんは人間じゃない」と言った直後から「歩く男」と行動を共にし、彼が階段を上がっていったので戻って「迷う男」と出会った。
それとも「歩く男」との出来事は完全に過去なのか?
「ある女」の異変直後の「少年」が言うには父親に会ったことがない、らしいが。
まさかラストで「迷う男」が電車で怒鳴り散らしてるリーマンに注意しに行って逆上されて襲われてそのまま死……みたいな嫌な想像してしまった。
でも家族で行った海で拾った貝殻のお守りは持っているのよね。
「迷う男」がループを抜け出した事で「少年」の過去が変わる?
何か考察的なものがあるか調べてみよう。
「迷う男」に始終突きつけられていた問い、「お前はどうするの?変われるの?」の答え、ラスト横顔で終わったのが最高だった。
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