「期待を越えてきた作品」8番出口 白石黒井さんの映画レビュー(感想・評価)
期待を越えてきた作品
面白かったー!えええ、ちょえええ、☆3評価?!えマジで、何で?
いや、そりゃA級の作品ではないけど、芸術的なカメラワークで、脚本も独創的かつ丁寧で納得できる素晴らしい展開だったんだけど⋯。
成る程。低評価のレビューを見てみると、受け手にとっては物足りなかったり意味不明だったりで満足しなかった人が多くて賛否が分かれる映画だったんだなと気付きました。
それに、8番出口というゲームが人口に膾炙していた為、普段映画を観賞する習慣のない人々が劇場へと足を運んだので、もっと分かりやすいエンディングの方が受けが良くなっていたのかなとも思いました。映画館に子供も多かったですし。
まさか、8番出口というワンアイデアのゲームから、「生きている上で必ず直面する“異変”に貴方はどういった決断をするか」といった観客に対して、人生への投げ掛けを抽出してくるとは脱帽でした。
そこから必要最低限のピースを集めてキッチリ一つの映画として完成度も高く作ったのは監督の力量によるものだなと感じました。
ただ多くのレビューでも散見されたマイナス意見で、最初の電車内での赤ちゃんに怒るサラリーマンの展開。最初の大事な掴みなのに、あの演技普通に酷くないですかね?違和感ありまくりでしたし、あの無理のあるブチ切れ方と下手な演技がこの映画での一番の“異変”でした。日本特有のよく見るクッサイ演技を嗅ぎ取って、あそこで気持ちが冷めちゃった人もいるのかなと思いました。他の登場人物、軒並み演技力が高かっただけに⋯比べると本当酷いしもっと工夫出来ただろうにそこは本当に残念でしたね。
だとしても、この作品はジグソーパズルみたいに要らない展開や無駄な会話が一切なく練り上げられた脚本でとても心に響きました。
特に、子供が海辺で父親に大切な宝物を渡すシーン。決断の先にある運命と、親で在るという責任と重圧、そして育んだ親子の大切な絆と幸福を感じられて思わず涙ぐんでしまいました。
これはオススメの映画⋯。今更ですが、これ誰かにオススメはし辛いなと感じますね。脚本も映像も大衆受けし辛いアーティスティックな画風ですし、8番出口というゲームがあるという前提知識があった方がより楽しめますし⋯。ガチガチのホラーかと言われればそうでも無いし、ループものでもないし、かといって面白くないわけではない。やっぱ結構特殊な映画ですね。この映画に興味がある人に対して、そこまで期待せずに観たほうが良いんじゃないかなーと、言うぐらいが最適かもしれないですね。
まる
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