「全体的に勿体無い」8番出口 あきらちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
全体的に勿体無い
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良かった点
演者の迫真の演技が光っていた。二宮氏をはじめリアリティがあり、題材そのものも斬新。マイルドホラーとしても程よい緊張感があり、地下道=産道や、身近な異変=ゲーム内の異変といった比喩も面白かった。
悪かった点
・主人公は異変を繰り返し体験する構成ながら、行動に矛盾が多い。引き返せないのにやたら自信満々で進んだり、明らかに異変が起きているのに反応まで妙なタイムラグがある。序盤の喘息設定も活かされず、むしろ「持病なら仕方ないか」と視聴者が思ってしまうノイズになっていた。
・おじさんパートは「失敗例」「主人公との対比」「男の子導入」という機能は理解できるが、長すぎる。特に女子高生を出すくだりは無意味で、サブキャラであるおじさんにさらにサブキャラをつける二重構造は蛇足。本編との繋がりもなく、社会風刺を挟みたいだけに見える。おじさん自身も浅はかで共感できなかった。
・男の子が喋らない演出は「主人公の成長に合わせて心を開く」という意図かもしれないが、視聴体験としては不自然。自分の解釈不足もあるのかもしれないが、だとしたら誘導や説明が足りず、それはそれで問題。
・クライマックスでは、呼吸器が弱いという設定が濁流の場面で活かされると思いきや何もなく、主人公が流されて「実は生きていた」展開も説得力に欠けた。
総評
テーマ性や比喩、演技は優れていて深みがあるのに、細部の詰めの甘さで没入感が削がれる。「惜しい作品」と感じた。
考察漏れがあったらごめんなさい。
反論も歓迎です。
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