「観る人の人生経験に応じてジャンルが変わる」8番出口 amoさんの映画レビュー(感想・評価)
観る人の人生経験に応じてジャンルが変わる
最初は公開初日、興味を持った双子男子(小2)を連れて行った。孫たちは「怖かった」と言ってた。それから2回目は知的障害を持つ息子と。
私は息子と月に最低8回は映画館で映画を観る。
彼は映画館は心安く寝る所だと思っている。その彼も珍しく「怖い」と観た後に感想を言った。因みに彼はほとんど喋れない。
3回目は二宮君の舞台挨拶付だった。
私はこの映画はヒューマンドキュメンタリーだと思っている。川村監督は過去の作品『電車男』の映画版で、冴えないオタクの男が『2ちゃんねる』の応援を背に『エルメス』を落とすような男に成長させる。
『8番出口』と共通するコンセプトを私は『独断と偏見』ですが感じています。
別れた女からの電話に出たくないような、生きる事、愛すること、未来に夢のない派遣の『迷う男』。これはむさ苦しいビジュアルの電車男と同じである。この『迷う男』は生命の息吹の連絡を受け、持病の喘息が激しくなる。私も喘息持ちなのでわかるがストレスが多くなると咳は出やすい。電車の中で咳をしてなかった『迷う男』は元カノからの電話の後、喘息の発作が出てくる。そして、出口の数字が『0』になる度喘息が酷くなる。
『迷う男』が父性に目覚め命の大切さに気付きヒーローになった時、喘息はピタリと止まる。
そして『少年』と『迷う男』が親子であるのは想像に難たくないが私は『少年』はダブルミーニングで『迷う男』の少年時であるのではないかと思っている。津波のあとの(コホン)とした『少年』の咳で感じた。そうすると『歩く男』通称『おじさん』は『迷う男』の父親。そして、顔も覚えていない程幼いうちに『迷う男』を捨てた人物。
『歩く男(おじさん)』のターンで『少年』が異変に気付いているのに引き返さないで『少年』を置いて8番出口から出て行き、永遠に歩き続けなければならなくなった。これが『迷う男』を少年時に捨ててしまったと連想する理由。
子供の頃悪い事をすると地獄に落ちると言われた。この映画は教育的一面も兼ね備えてる。
子供を蔑ろにしたら∞ループ地獄に落ちるのだ。
赤ちゃんの泣き声に怒る男を無視する私達も川村監督曰くの「罪悪感の累積ポイント」なんだよ。コロナ時に喘息でゴホゴホいってる人をばい菌を見るように離れる人もおんなじ。かくいう私はレストランで、咳をしてたら隣の席の客に別の場所に移して下さい。と言われて悲しかった。喘息持ちは外食するなと言うのか?
赤ちゃん連れは外出するなってか!
8番出口の∞ループは今死ぬかも知れない胎児の起こした走馬灯劇場だったのかも…。
だから、戻るところは8番出口から出る地上では無く、あの場所で良かったのだ。
ラストシーンのあの『カズナリさん⤴』の表情を観たくて、あと『MX4D』版と『IMAX』版に足を運ぼうと思ってる。
分かる者だけ分かればよし。
カンヌがそうであったように成熟した大人が観たらその人なりの考察·感動がある。
『8番出口』は作り手側のコスパは最高でしょうね。二宮和也氏は脚本協力しているが、それに対価するお金はもらって無い。
一生懸命宣伝に力を入れる。
ワンシチュエーション映画だし、コケたら東宝出禁覚悟してたという二宮氏。
お金と時間をかければ良い映画が出来るのは当たり前。
でも今はコロナがあり戦争もあり物価高…とそういう時代じゃない。時代の身の丈にあった映画を創る転機になる作品だと思う。
短時間の映画、YouTube shortや、TikTokなど、スマホ時代で面白くなかったら指でチャッチャとスワイプしてしまう時代。
ドラマなどでも皆がXで考察する時代。
電車の中で皆がスマホを観ている時代。
そんな時代にピッタリあったこの映画はこれからの映画作りのターニングポイントになるのではないかと思う。
二宮君は『徳』を積むようにしたと以前テレビで言ってた。
人の事を恨んだり、悪く言ったりすると、運気が下がると思う(意訳)とも…。
私が思うにこの映画の撮影後に二宮君は変わったのだと思う。
私も少しだけもっと人に優しく、命を大切にする勇気を持ちたいと考えるように変わって来てる…。最近の私の異変。
TikTokの時代に時代遅れの長文失礼しました。
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