「エンタメ好きな人には合わないかな」8番出口 くろすけさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメ好きな人には合わないかな
なので自分も好きかと言われればどうかなって感じ
そもそもこれは考察させることを前提にした映画だと思います
なので、お粗末ながら自分なりの考えを
超長い上に文才ないので読みにくいですが
まず8番出口とはなんなのか?なぜ同じ場所が繰り返されるのか?
これは主人公というか現代人の人生そのものなのかなと
同じ風景、同じ繰り返し、前に進んでるのか戻ってるのかもわからない
隣を歩く人にも無関心
本当は異変は起きてるけど、気付かないくらい小さな変化
実際に人生なんて明日明後日に大きな変化とかないですよね?
小さなことをコツコツと続ける
そうやって少しずつ進むしかない
なのに皆それを面倒くさがっておろそかにする
そして気付かない内に振り出しに戻る
なんというか迷い込んだ人間の精神状態が異界に反映してるんではないかなと
おそらく主人公は喘息持ちでしょっちゅう発作が起きてしまうんだと思います
そして、定職にもつけないでいる
たぶん観てた人は何度も喘息のシーン見て
イライラしてた人もいると思います
なぜなら映画の流れが切れるので先に進まないから、
これは主人公の職場の人達の気持ちを表してるんだと思います
もしくはきっとそう思われているに違いないと主人公自身が思い込んでるのかも
そんな自分への劣等感が主人公のベースにあるのが迷い込んだきっかけかなと
最初に電車でリーマンに絡まれてるお母さんを見て見ぬフリして、自己嫌悪してるところに元カノからの妊娠の電話
どうしよう?産むべきか?降ろすべきか?
そもそも自分に父親なんかつとまるのか?
定職にもついてない、身体も弱い、困ってる人を見捨てるような自分に···
もともと弱い自分に劣等感を感じてるところにさらに責任というプレッシャーがかかり、不安定になった精神が異界とリンクして迷い込んだんだと思います
もしくは、もうどこにも着きたくないという主人公の願望が異界という形で現れたのかも
異変のあちこちに赤ちゃんを思わせるものがあるのもそのためだと
ロッカーからバンと叩かれたのはお腹を蹴ること
隣に毛布があるのは、産まれた赤ちゃんを包むため、証明写真が近くにあるのはエコー写真
途中、人の身体の一部がくっついたネズミが大量に出てきて、暗闇の中バラバラに逃げてるのは堕胎を暗示してるんではないかな
赤ちゃんは産まれるまで暗闇の中にいますし、換気口が突き破られたのは体外からの干渉を表してるのではないかと
主人公は言葉にこそしてませんが、堕胎することも考えていたんだと思います
そして途中に出会う男の子が主人公の子供なのはみんなわかってると思いますが、何故異界に迷い込んだのか
おそらくあの男の子は主人公がいない、異界から戻れなかった、もしくは主人公が妊娠から逃げた世界線の息子なんでしょう
自分に父親がいないのは何故だろう?何故会いに来てくれないのだろう?自分のことが嫌いだからだろうか?ではお母さんは?
父親がいない漠然とした寂しさと母親への愛情と、もしかしたら自分がいないほうが母親は幸せなんじゃないか?
そんな気持ちが異界を呼び寄せたんではないでしょうか?
あとはおじさんですが
このおじさんは主人公がこうなってたかもしれないという、ひとつの例というか結末を体現してますね
同じ異界に迷い込んだ2人ですが、性格というかタイプが違います
特に表れたのが子供への接し方です
おじさんは一見人当たりの良さそうな態度で接してましたが、決して子供の目線には立たず異変を見逃したり
なかなか心を開かない男の子に時折、当たりが強かったです
おそらくこのおじさんはバツイチで子供がおり、奥さんが子供を育ててるって状態なんでしょうね
急いで帰らないといけないのも数少ない子供と会える日だったからだと思います
でも途中で癇癪も起こしてたので、自分の子供や奥さんにも当たり散らしてた、いわゆるDV夫だったんではないでしょうか
おまけにすれ違ってた女子高生に誘惑されるような感じのことも言われてたので、浮気もしたのかもしれません
まぁ上部だけの男だったんでしょう
それを見透かされたのか男の子は最後まで警戒してまともに会話をしませんでした
最後は男の子を見捨てて異界の罠に取り込まれてしまいました
主人公も中途半端な状態でただ責任とるよって感じで父親になってたら、おじさんのようになってしまってたかもしれない、というのを暗示してたんじゃないでしょうか
主人公は最初は戸惑って上手く接することが出来ないけど、探り探りでも距離を縮めていって、男の子の目線に立つことで異変に気付いたり言葉を交わすようになります
子供の助言で異変に気付いて、助けられるのも人生って感じがしますよね
最後は身を挺して男の子を助けようとしました。
3人が3人とも迷い苦しみながら、それでも止まるわけにはいかない、時は待ってくれない
そうやって限られた時間のなかで主人公が父親になるための覚悟を持つ、成長するストーリーなのかなって思います
最後元カノに産もうとも降ろそうとも言わずに
「今から行くよ」
としか言わなかったのも成長ですかね
今までは自分だけで物事を背負い込んで、自分の中だけで答えを出そうとばかりしてたけど
まずはお互いに面と向かって話し合って決めようという考え方に変わったってことですね
そしてラストに冒頭と同じ電車の中でリーマンのほうに進み出すところで物語が終わります
抜け出せたのか抜け出せなかったのか
どっちなんでしょう?
どっちとも見れる終わり方ですね
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