「8番出口というループ体験」8番出口 ほりんごさんの映画レビュー(感想・評価)
8番出口というループ体験
一躍話題となったホラーゲーム「8番出口」を映画化した今作。自分はこのゲームをプレイしたことがないですが、実況を見ていたので大まかな展開は知っていました。予告の段階から思っていたのですが、ゲームの再現度がかなり高く、上品質な映画に仕上がっている。特に、おじさんのクオリティは群を抜いた出来。異変の多彩さや、ニノの演技もめちゃくちゃ良かった。過去の深掘りに対しても、あまり説明せずにサラッと流しているところには好感を持てました。
ただ全体的に見ると、賛より否の方が大きいというのが個人的な意見。そもそもゲーム自体が映画向きじゃないと言ってしまえばそれまでなんですけど、気になるところが多かった。
まず、ワンカット長回しの多さ。ゲーム視点で入るオープニングのシーンや、ニノが絶望するシーンは良かったのですが、それ以外はあまり意味がなかったし安っぽく感じた。また、途中で少年とともに脱出を目指す展開は、人間ドラマを強引に作り込もうとした結果の果てのように思えて、ゲームの持つ孤独感や不条理さを損なってしまっているように思いました。ホラー映画の新しい挑戦という面でも、やや乏しい作品。
そして、重要な怖がらせ方の部分。今作は異変によってもたらされる恐怖がほとんどだと思うのですが、そこの怖さがイマイチでした。おじさんが背後に立っているくだりで3度も振り返ったり、暗転からのネズミの襲撃でその場に立ち止まっていたりと、やや気になる部分がありました。おじさんの視点に切り替わるところも面白くて良かったのですが、そうすると今度は怖くなくなるんですよね...。喋らない不気味な感じが個人的には好きだった。
とりあえず短編にして、バックボーンを入れずに、脱出劇を描く。そして、脱出したあとに、あの空間は何だったの的な終わりにすれば、自分の好きな作風に仕上がっていた気がする🤔
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