「アイデアと見せ方の勝利」8番出口 Tenjinさんの映画レビュー(感想・評価)
アイデアと見せ方の勝利
ゲームの映画化というのはダメなことも多いですが、意外とこれはよかった。
元のゲームにストーリーはないので、キャラクターなどをどう作っていくかが問題ですが、主人公の30代っぽい派遣社員に二宮さんはちょうどいい感じにはまってますね。あまりイケメン過ぎるのも逆に不細工なのも、話の緊張感というか流れを削ぐし、いかにもその辺にいるお兄さんみたいな雰囲気がこの作品には合っていると思います。
「おじさん」こと歩いてくる男はゲームにもいますが、よりインパクトのある見た目になっていてこれまたナイスキャスティングでした。尖った頭に鋭い眼光、体格の良さで歩いているだけで存在感があります。中盤ではこの人の視点の話が始まるのも、ダレそうなところで変化をつける効果があっていいですね。
上記の二人以外は子供と女子高生という非常に少ない登場人物しかいないので、ループ世界に閉じ込められた恐怖や閉塞感に集中できる作りになっています。通路にロッカーや証明写真機がある部分は映画オリジナルですが、追加されたのはそれくらいだし、異変もだいたいゲームと同じものが出てきます。それできちんと1時間半もたせたのはよかった。
あと、ピントをぼかしたり人物でカメラを遮ったりして見たいものをなかなか見せない演出が不安感をあおっていていいと思いました。最初は主観視点なのも同様の効果があるかもしれません。
元のゲームのシンプルさを生かしながら程々にストーリーの肉付けをしてあり、一本の映画として見られるものになっています。実は積んでいたゲームをプレイする気になったくらいには面白かったですね。
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