「「異変を見かけたら引き返せ」というテーマの矛盾」8番出口 夜遊びスタンバイさんの映画レビュー(感想・評価)
「異変を見かけたら引き返せ」というテーマの矛盾
まず、ぶっちゃけてしまうと、出演者が好きな人なら観て良いと思います。ですがそれらを考えずに映画として批評するなら、観ることをお勧めしないレベルの作品と捉えています。
正直、全般を通して息苦しさが酷いです
不安を煽るような赤ちゃんの泣き声
奇形の生物
照明の点滅や不快な爆音
人によっては津波の描写も気になるところでしょう
それらマイナスファクターを取り除けるほどの内容かと言われたら、決してそうではありません
------ここから先は人によっては推しや作品やジェンダー感を強く否定する言葉に見えてしまうかもしれません。感情が昂ったり怒りが湧いてきたと思ったら、申し訳ないですが、一度引き返してください-----
映画に含まれたメッセージはわかります
でも、そのメッセージだからこそ、この作品に使ってはいけないと感じました
人生の迷いを乗り越えていくメタファーとして繰り返される地下通路を進んでいく物語ですが、
その基準が「異変を感じなかったら進む」「異変を感じたら戻る」です
この時の異変とは、自分自身に危害が及ぶものでは無い、普段とほんの少しだけ違う事も「異変」になります
人生の中でイベントは付きものです
それは良いものも悪いものも、どちらか判断がつかないものもあります
今回の件でいえば、繰り返される日常の中で発生した、
「元パートナーの妊娠」はとてつもないレベルの「異変」なんです
(繰り返しますが、この作品における「異変」は良いや悪いという概念ではありません、日常と違う出来事が発生したら、それはすべからく「異変」です。
「元パートナーの妊娠」を望まれない事や不幸のようなマイナスファクターであると伝えたいわけでは無い事はご理解下さい。)
この地下道のルールを当てはめるなら、立ち向かうや受け入れるでは無くなります
「引き返す」
これが答えになってしまうんです
でもそれはメッセージとして伝えたい内容では無い
そうなると、【伝えたいテーマと世界のルールが合ってない】
という事になってしまい、結果としてメッセージ性が希薄になる
というか、この映画の設計自体が基盤から間違えてるとすら言えてしまう
これが自分がこの作品を評価しない最も大きなポイントです
役者さんは本当に良い演技をされてますし、
舞台も非常にしっかりと作り込まれている
その点は間違いなく星4から5はあります
でもやはり、その世界観とメッセージ性のミスマッチによって起きる消化不良が納得しきる事が出来ず、
星2とさせて頂きました
(ミスマッチで作品としては星1、役者さんと舞台のクオリティでプラス1させて頂いての星2です)
確かに「引き返す」はネガティブに聞こえますもんね
自分はそこまで考えずに「何かを感じたら動きを変える」のような感じに捉えるようにしてました
選択肢が前後ではなく左右だったらとも思いましたが、それだとループ感が減りますしね…
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