「みんな最初は8番出口をさがしてた、けど……」8番出口 ぉゅさんの映画レビュー(感想・評価)
みんな最初は8番出口をさがしてた、けど……
見る度に解釈が変わりそうですが、とりあえず、見たての今思ったことを綴ります。
心に凝りが残る重たい映画でした。
とても重たくて電車に乗りながら悶々と考えてました。
途中でリタイアするもの達は、見て見ぬふり、他人のフリ、自分のことでいっぱいいっぱいの人達なのかなとおもいました。本当の出口を見つけたところでどうせ地獄なのは変わらない。電車にすし詰め、うだつの上がらない毎日。
だったらもう、異変に目を瞑って、偽りの出口を「本物の出口」に仕立てあげてしまおう。泣いた赤ちゃんを抱き抱える泣きそうな母親。排除しようと激昂するサラリーマン。それらにすべて蓋をする。
イヤホンをはめたり、咳払いをしたり。視線をななめ45度下に固定したり。
「俺は悪くない」の繰り返し。
主人公の男が、従業員専用の扉から自分を俯瞰し出口を探すことに疑問と葛藤を抱くシーンと、濁流の後目覚めた男の子を囲っている「かつては役に立ってたものやきれいだったもの」の残骸が、酷でした。
きっと8番出口の異変たちは、閉じ込められた人達が目を逸らし続けてきたものたちだったのだろうなと。
最後に本当の8番出口を見つけ出し、ふたたび電車に乗り、イヤホンをはめた主人公が、エンディング前に目をうるませながら右を向くシーン。
その時の顔は、赤ちゃんが入ったコインロッカーの扉を再び閉めた時とは違っていた気がして、少しだけ救われました。
男の子のお守りが導いてくれたのだなと。
耳を劈くような音響、一人称のカメラワーク(ちょっと酔いそうだったのでここだけマイナス0.5でした、修行します)鮮やかすぎるイエローの看板や海の蒼さがストーリーの泥濘さを際立たせているのも印象的でした。
きっと見逃してる異変もあると思うので、もう一度観て解釈を深掘りしたいです。
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