「メタバース・ストーリー」8番出口 HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
メタバース・ストーリー
本作はゲームの映画化という事ですが、ゲーム自体にストーリー性が無いため、どうやって映画化するのかが注目されていたと思います。
鑑賞を終えた後の感想としては表題に記しましたように、日常の他愛のない瞬間に時空の歪みが介入し、同時に主人公の考察が活発に働き現実と絡みあい人として成長する様を、メタバース(ネット上の仮想空間)において「物語化」した作品だったと思いました。
そもそも「8番出口」自体がネット上のゲームですし。
導入の「スマホ」に視点を集中させた映像は、ゲームの世界に紛れ込んでいく分かりやすい展開を演出していると感じました。
流れとしては無理矢理感が否めませんが、8番出口への「参加」と「考察」を楽しむことに引き込まれたので気にはなりませんでした。
そこに心理物語を絡めて観せていき、最終的に現実(重大な分岐点)に主人公は戻り、物語がフィナーレを迎える。
この展開において「メタバース」を絡めた物語である事が強く印象に残りました。
導入と終焉は、良かったです。
が、
私個人としては映画の半分以上が退屈であり、しかも苛立ちを感じてしまいました。
その理由が、
①異空間に不意に紛れ込んでおきながら、アッサリとその世界の「ルール」を理解した事。
→でもこれは良しと理解出来る範囲でした。
②そのルールを理解しておきながら、「異変」に気が付いたのに、恐る恐る進む行為。
→これがイライラしました。
引き返すルールを早々に理解してるんだから、すぐ戻れよ!……と。
他のシーンで、すぐに戻る行動してるんだし。
恐らく「物語性」を映画化するためにワザと「見せ場」を創られたと思いますが、導入で主人公は「ルール」を理解しているんだから、立ち止まったり確認に行かないで、すぐ戻れよと「突っ込みたくなる」映像の見せ方が、「極端なタイミング」で残念だなぁと。
くどいですが、導入で主人公は「ルール」を理解してるんだから、じわじわと「異変」や「恐怖」が近づいてくる見せ方を披露するタイミングが、失敗ではと感じてしまいました。
例えばですが、トム・クルーズさん主演の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のように、ループが激しく何回も繰り返す「スピード感」のある映像が、前半では続いた方が良かったのではと思いました。
「あー!やっちまった!」「なんでだ!」「ぎゃぁぁ!」「なんなんだよ……」……という展開の背景(前置き)の描写が、ある程度多く有った後なら、何回もループして身も心も疲れ果てている主人公を感じることができ、「異変」に引き込まれてしまう描写も違和感なかったかもしれません。
ところが早い段階から「異変」にイチイチ首を突っ込む展開が妙に「間延び」している映像に見え、申し訳ないが物凄くストレスを感じ、中盤では私の態勢が「グデェ~」と斜めになってしまいました。
もう、いいから引き返せよと(笑)。
※そういう意味では「歩く男」の視点チャプター時の「歩く男」の反応は、長時間さまよっていた感が見てとれたので、違和感は無かったと思います。
ジャンプスケアも中途半端で怖さより不快感が勝ってしまった。
そんな映像が上映時間の前半~中盤続いたので、「恐怖」を感じるよりもイライラを感じる方が上回ってしまいました。
……ですが、物語としての部分、
①妊娠・家族・子供
②無感情・無神経を装う事のジレンマ
③歩く男と子供の深層心理状態の考察
④ほんの少しの変化が「優しい世界に変える」という事
⑤誰でも、すぐに「有神経」になれるという現実へのメッセージ性
⑥主題曲「ボレロ」はとても良く融合していた。
……などは本作の良かったポイントかなと思いました。
ラストの終わり方は、私は好きです。
あそこまで露骨な「嫌な人間」と「無視する人間」は中々いないと思いますが、基本「我関せず」は大多数。
無論、私もその傾向。
主人公も、家族や子供(赤ちゃん)に対して「面倒くさい」「関わりたくない」というような感情が有ったのに、異空間において見つめ直し、その「意味」が最後のカットに強く表れていると感じ、主人公「迷う男」と「少年」「ある女」の未来が明るくなる希望の描写として素敵に思えました。
ただ、「歩く男」と「歩く女」は可哀そう且つ不明な印象。
ずっと仮想空間の「モブキャラ」として囚われてしまったのだろうか……。
本作、ドラマ性はよく表れているので、テレビで観たらまた違った印象で面白いかも、とも思えた作品です。
が、(笑)やはり映画館では「グデェ~」となってしまったので、星2.5です。
YOUさん。
コメントありがとうございます。
そうですよねー。
ドラマとしてのストーリー展開を意識したのか、状況を楽しませようとして逆に奇妙な「間」みたいになったのかもしれませんね(^-^;
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