「東新宿駅で降りるのが怖くなる」8番出口 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
東新宿駅で降りるのが怖くなる
予告編を盛大にやっていた本作「8番出口」。地下鉄の改札口から地上出口に中々出られない”恐怖”を描いた作品らしく、特に地下通路の向こうから歩いてくるおじさん(河内大和)が印象的だったので、期待して観に行って来ました。
物語は”迷う男”(二宮和也)が満員電車に乗っているシーンから始まり、ラヴェルのボレロをイヤホンで聞いている。ふとイヤホンを外すと、母親に抱かれた赤ん坊が大声で泣きだしており、目の前に立っていたサラリーマン風の男が母親に「うるさい!」と怒鳴っている。でも”迷う男”を含め、誰も男をなだめたり、母親を庇わない。そんな地獄のような風景を見せられた後、”迷う男”は電車を降りて改札に向かう。よくよく見ると副都心線の東新宿駅だ。たまに使う駅なので親近感。長い階段を登る最中に、最近別れたらしい彼女である”ある女”(小松菜奈)から電話。「赤ちゃんが出来た」という衝撃の告白。動揺しながらも改札を出る”迷う男”は、いよいよ無限ループの地下通路に迷い込み、本筋がスタートしました。
舞台は地下通路が大半で、それもループしているので同じ光景ばかり。でも”異変”を探さないとループから抜け出せないため、”迷う男”だけでなく、観客も一緒になって地下通路の隅々に注目し、一体となって”異変”を探すところが本作の面白さでした。また、河内大和扮する”歩く男”も期待通りの不気味さで、本作最大の見所と言っても良い活躍でした。花瀬琴音扮する女子高生の不気味さも中々のもので、地下鉄に乗るのが怖くなるくらいでした(大袈裟)。主人公の”迷う男”を演じた二宮和也も、憔悴しきった表情や咳き込み方も迫真の演技を披露していました。
結局8番出口から脱出することに成功し、さらには自分の子供が出来た件にも一定の決心をした”迷う男”。その決意の表れとして、ラストで冒頭の満員電車のシーンに戻り、赤ん坊を抱える母親に怒鳴るおっさんに立ち向かっていく”迷う男”という展開で、起承転結もキッチリとした折り目正しい作品でありながら、そもそも地下迷宮に何故迷い込んでしまったのかという謎は明かされないままに終わったところも評価アップでした。
そんな訳で、本作の評価は★4.0とします。
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