「親になる恐怖…毎"出口"核心に迫る己との対峙!そして父になる8番出口」8番出口 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
親になる恐怖…毎"出口"核心に迫る己との対峙!そして父になる8番出口
※観客が主体的に"異変を見つける"=間違い探しをするタイプの映画ではない!
…だから、原作のゲームファンにとっては好き嫌い分かれそうではあるけど、抑揚のない一本調子・単調なものから膨らませて、映画とはそういうもので感情移入や共感ができる媒体だから。おまけにジャンプスケアとグロ!
分かっちゃいたけど内向きで精神的なものを扱った、己と対峙するタイプの作品だった。毎"出口"試練があって、自分の恐れる・怯えるものの(『インセプション』の夢の階層を下るように?)核心・深層心理へ潜り込んでいく。そのテーマの出し方がうるさいというかクドいというか、解り易いを越えて前面に打ち出されているけど、それでもやっぱり最後はちゃんと胸をすくものがあった。その思いを観客一人ひとりがしっかりと持って帰れるし、持って帰ってほしいなと思った。自分も日頃から思っていることだから。
まさしく八の字ぐるぐる堂々巡り!現代社会のメタファーとしてのこの上なくわかりやすい。けど、出口ありすぎ地下通路に迷い込むのはあるあるで、そこに満員電車にすし詰めになって代わり映えのしない仕事の日々を送るサラリーマンの姿を象徴的に重ねる(というか見たまんま)。そして、生命を司る母なる海と『シャイニング』オマージュ!日夜理解を超えた残酷な事件が報じられたり、環境は目まぐるしく壊れたり、SNS・ネット社会には心無い書き込みや扇情的な文句が踊る温床となったり、そして僕らはそれを流し見ては有限な時間を浪費したり…、そんなこのイカれ狂った世の中で親になるということを、自ら選び取れるのか?
最初に浮かび上がる単語こそ主題だ!
The Lost Man(test)
The Walking Man(hell)
The Boy(he)
ゲームっぽさを演出するPOVによる冒頭に、長回し(白タイルパンのタイミングとかいくらでも繋げそうなので擬似もあるだろうけど)、そしてまさかの群像劇方式の採用(そりゃそれくらいしないと尺がもたない?)。何より単調な画が続きかねないワンシチュエーションな舞台設定(柱)でも画がペラペラじゃないから観ていられる、引き締める今村圭佑の撮影!
あと、ゲーム的な演出という意味では、HPに関わる喘息設定。だけど途中から身一つになって、それすら捨てるのは、もう中継(セーブ)ポイントも回復も無しってこと?水を早々に飲み切るのも。そんな"迷う男"が少年を見つけられないまま平然と進むことに違和感を覚えたけど、『名探偵コナン/ベイカー街の亡霊』ヒロキくん的お助けキャラかな(=つまり役目を終えたから退場)?B'z流れるかな?あと、階段上ってくる人たくさんいるのに寄らないで真ん中を下りていく。
【余談】
大ヒットゲーム原作に、ヒット作・話題作をプロデューサーとして手がけてきた川村元気(個人的には苦手)脚本監督作品✕ニノ主演✕小松菜奈という鳴り物入り・スタジオの威信をかけた戦略的コンテンツ&一大プロジェクトで、さぞ戦略的に世界的なプロモーションも為されているのだろう。実際、カンヌ国際映画祭でのミッドナイト・スクリーニング部門出品などの話題に前評判の高さがなければ、恐らく(いや、絶対に)観に行っていないだろう。
最近はそうやって如何に戦略的かつ魅力的に発信し、世界のマーケットを狙うか?…というのが日本映画界でも、かなり見られる考えになっている(日本マーケットは先細りだから?)。ゴジラでも鬼滅でも、それはやはり偏に『パラサイト』アカデミー賞受賞などの影響もあるだろう。例えば、ワンピースやヒロアカ筆頭にジャンプコンテンツはその辺りが上手い気がするが、一方で日本国内ではそれらを超えるくらい一大国民行事と化しているコナン映画は世界的認知が低いだろう。
いかにマスと映画ファンどちらも取り込めるか?どちらにも、あらゆる層に観てもらえる作品にするか・できるか?
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