「日常の「異変」から目を逸らさないこと」8番出口 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
日常の「異変」から目を逸らさないこと
IMAXレーザーで鑑賞。
原作ゲームは未プレイ。小説版は読了済み。
IMAXで観て正解だった。大きなスクリーンに地下道の無限ループ…新しい視覚体験だ。音圧も凄まじく、終始不穏で心がざわついていた。ワンカットに見える編集も上手い。
ソリッドシチュエーション・スリラーとしての面白さも申し分無い。同じような画面ばかりで退屈が頭をもたげて来たタイミングでガツンと恐怖描写を入れて来るのが巧みである。
一部にスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」のオマージュが取り入れられているのではないかと思う。劇伴の使い方にはクリストファー・ノーラン監督味があった。
二宮和也の演技すごい。普段はイケメンな佇まいなのに、人生にくたびれた男感の醸し出しが巧みで素晴らしいのだ。
顔のアップ・カットが時折あるが、顔の皺や唇の色の無さがはっきり分かる。メイクの効果も相まっての演技だろう。
ストーリーが進むにつれて顔つきが凛々しくなっていくような気がした。人間的成長を表現する演技が見事であった。
小説には登場人物の背景説明や主人公たちの身に降りかかるものがなんなのかの解釈に関する記述があったが、映画ではそのような描写は一切無く、全て観客に委ねられている。
これは「映画」の文脈として正しいのではないだろうか。川村監督は「映画とは何か」を知っている。監督ならではの映画技法が「百花」よりもレベルアップしていたように思う。
よって、映画としての満足度がかなり高かった。原作ゲームをこのようなストーリーに発展させる発想も素晴らしい。日常の「異変」から目を逸らさないようにせねばと思った。
おつろくさん
こちらこそありがとうございます。
小説は、映画の補完をしてくれる内容になっているのでオススメです。文字で表現されている場面は映像だとこうなるのかという驚きもあり楽しいですよ。
>音の良さ、大きさ、方向が成功のカギを握る…
仰るとおりだと思います。不安を煽るような重低音だとか音圧が、やはりIMAXだと普通のスクリーンより強調されるので、IMAXで観て良かったなと思いました。
共感ありがとうございます!
ゲーム版はプレイ済みなんですが、小説版は未読なんですよ。映像とマッチしていましたか?
自分はIMAXではなかったのですが、地下鉄の通路という狭い空間のみの演出なんで、音の良さ、大きさ、方向が成功のカギを握る作品ですよね。
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