劇場公開日 2025年11月7日

「〇〇ファーストVS多様性」プレデター バッドランド おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 〇〇ファーストVS多様性

2025年11月12日
iPhoneアプリから投稿

『プレデター』の知識がほぼない状態で鑑賞。

最初に映る光景が「『デューン 砂の惑星』の続編か?」と思うようなビジュアルで、個人的にこの手の映画は苦手なので、最初は不安を感じた。

数秒で展開される食物連鎖の描写にマンネリを感じつつ、その横を荒野を駆け抜けるバイクが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のオープニングを想起。

プレデターの兄弟が冒頭で決闘する場面で、赤く光る剣を使った立ち回りは『スター・ウォーズ』っぽい。

父親に酷い仕打ちを受けた後、その父親に認められるために課せられた生存者ゼロのミッションに挑もうとする展開が、個人的に意味不明だった。
例えるなら、女性が彼氏に酷い振られ方をされて、見返すために美しくなって、振ったことを後悔させたいために頑張るようなもの?

主人公のプレデター・デクが凶悪な生命体だらけの星「バッドランド」に宇宙船で乗り込もうとしたところ、宇宙船が大気圏突入に耐えきれず大破。
宇宙船の耐久性の低さに衝撃を受けつつ、広大な大空を操縦席だけで落下しながら新たな大地に突入していく画は、これから始まる未知の世界への突入感をよく表現しており、正直ワクワクした。

バッドランドの生命体の多くが新鮮なアイデアに溢れており、世界を探索する場面は観ていてずっと楽しかった。
人類が初めてジャングルを探検した時の感覚はこんな感じだったのだろうと思った。

エル・ファニングは上半身だけなのに、印象に残る熱演だった。
役者って凄いと思った。
上半身だけを持ち運んで冒険するというのも新鮮。

後に、エル・ファニングが一人二役だったことで、予告がミスリードだったことに気付く。

デクが寡黙なのに対し、エル・ファニング演じるアンドロイドのティアがおしゃべりで無駄口が多いのが、良い対比になっていて面白い。
基本的に環境音しかない世界の中で、ティアのおしゃべり設定がこの世界を説明する役割を担っており、映画を理解しやすくしていると感じた。
ただ、セリフがなくても物語は進められそうな感じもあったので、セリフ無しバージョンでも面白そうとも思った。

後半はまるで『メタルギアソリッド』。

バッドランドの生命体の性質を利用して、敵に対峙する展開のアイデアには痺れた。

上半身と下半身に分かれて戦うのも新鮮。
下半身だけなのに知性を感じられるのが面白い。

ちょいちょい入るコメディ演出も好き。
銀行のクレジットカードが古すぎてたまにうまく認証されず、読み取り部分を擦って強引に読み取らせている人間としては、網膜認証の場面で爆笑してしまった。

この映画を通して描かれるものがとても現代的だと感じた。
家族でも酷い奴はいるし、血が繋がっていなくても心を分かち合うことはできる。
同種族間のしきたりを守ることよりも、種を超えて協力し合う方が大きな力を生み出せることが、魅力的に描かれている。
「〇〇ファースト」といった排他的な考え方より、多様性を重視した方が世界は良くなるというメッセージをこの映画から受け取った。

最後は新たな脅威の予感を感じさせつつ終わるが、その正体にニヤリとさせられた。

おきらく
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