劇場公開日 2025年10月10日

「スタイリッシュに蘇るデジタル世界」トロン:アレス Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 スタイリッシュに蘇るデジタル世界

2025年10月11日
iPhoneアプリから投稿

オリジナル版が1982年で、(E.T.と同級生)それからこの年に3作目なんて…と思い、監督もそこまでインパクトのある作品を残せていないので、期待半分不安半分で鑑賞したが、しっかりと楽しめる事が出来た。
冒頭である程度世界観を説明してくれているが、やはり前2作の復習は必要そうである。全く知らない世代もいる中で、急にデジタル世界が描かれ、"ポータルからの脱出"というシリーズ共通のシーンを見せられたとて全く意味が分からないだろう。

だが昨今は"AI"が身近に感じられる様になり、SFの話がSFでは無くなってきている。ちょっとしたボタンのかけ違いで、これに近い事が現実に起こっても不思議ではない世界だ。あくまでも映画の為、誇張して描く物だが、気安く取り扱ってはいけない物だと痛感させられる。
テーマとしては、"創造者"あるいは"支配者"であるはずの人間に不信感を抱き、プログラムである自らと、同胞であるはずの"ユーザー"こと人間が同じ様に使い捨てにされているという理不尽さに気付き、命令に背いて巻き込んでしまった人間を助けるべく奮闘する物語となっている。テーマとしては正直ありきたりであり、非凡なイメージだったが、命令に忠実であるが故のAIらによる暴走だったり、非力ながらも奮闘する人間をバランス良く描き、普通にエンターテイメント作品として楽しめる。また、映像革命というだけあって映像を楽しむという鑑賞の仕方も全く間違っていないだろう。前作、「トロン:レガシー」では、エンコム社のデジタル世界は青っぽい色彩だったのに対し、本作は赤に黒という、いかにもな悪っぽさで良い味を出している。まぁ、エンコム社のライバル企業であり、尚且つ悪どい生業をしている為もろにそれを表したのだろうが…
後半には主人公アレスが、オリジナルの「トロン」の世界に入る展開が用意されており、お馴染みのキャラクターがまるで古のジェダイの如く現れる。これもオリジナルを観ていないと感動出来ないが、やはりファンならばこれらのシーンは嬉しいはずである。いかにもディズニーがやりそうな事ではあるものの、今後どの様に展開していくかによって色々転びそうだが、新シリーズとするならばまずまずの出だしでは無いだろうか。

クラ