「映画【吹替】シャッフル・フライデーを観ました」シャッフル・フライデー 井田隆志さんの映画レビュー(感想・評価)
映画【吹替】シャッフル・フライデーを観ました
ディズニー映画と聞くと、私はどうしても「観る人に勇気や希望を与える作品」というイメージを抱きます。けれど実際は、当たり外れもあるのが正直なところです。
今回観た『シャッフル・フライデー』も、予告編を見た段階ではあまり心を動かされず、正直、期待はしていませんでした。
ところが物語が進むにつれ、その印象は大きく覆されていきました。一人親同士が出会うところから始まり、家族同士の衝突や心の葛藤が描かれていきます。
言い争いやすれ違いの場面は、見ていて居心地の悪ささえ覚えるほど。しかしそれは決して無駄ではなく、むしろラストに向けて感情を深く揺さぶるための布石でした。
特に胸を打たれたのは、残り15分ほどの場面。娘のハーパーを紹介するくだりに、家族という絆の力を強く感じました。
そして叔母が「これこそが私が求めていた家族」と口にする瞬間、心の奥がじんわり温かくなる。
そこには「血縁だけが家族ではない」「本当に求めていたのは互いを認め合う存在」というメッセージが込められているように思えたのです。
ディズニー映画らしく、最後はしっかりと物語がまとまり、観る者に安心と共感を与えてくれます。序盤からの混乱や衝突があったからこそ、終盤の和解とつながりがいっそう際立つ。
この“起承転結の確かさ”こそが、ディズニー作品の醍醐味なのだと改めて感じました。
『シャッフル・フライデー』は、決して派手な作品ではありません。しかし、家族とは何か、人と人が一緒に生きるとはどういうことかを静かに問いかけてきます。
見終えたあと、「また観たい」と思わせるのは、単なるハッピーエンド以上に、そこに普遍的な人間の物語が宿っているからなのでしょう。
「家族の姿は人の数だけあっていいのだ」と、静かに背中を押された気がして、改めて家族との関わり方を見直してみるきっかけになる映画かもしれません。