配信開始日 2025年1月16日

「暴力による征服欲から逃れられない男。子どもと自分の為に知力で戦う女」カレンダー・キラー talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0暴力による征服欲から逃れられない男。子どもと自分の為に知力で戦う女

2025年1月19日
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鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

凄い!時間、空間共に緻密によくできている。ベストセラー小説が原作だがよく映像化できたと思う。季節はアドベント、舞台はベルリン。家族親戚が集まるクリスマスを心待ちにする待降節の時期に、家族によって引き起こされる暴力と心の傷という負の連鎖の犯罪が起きる。

主人公のクララは「愛していた」夫のマルティンから日常的に暴力を振るわれ人目に晒される性的暴行まで受ける。反抗するとまた入院させると脅される。優秀な弁護士であったクララはすでに何年も母親・主婦で居ることを強制させられ自分の交友関係も夫に絶たれている。それでも最後までクララが耐えて持ちこたえられたのは彼女の冷静と賢さと娘への愛だった。クララに寄り添い支えているように見えた男の的外れの復讐も同時に明らかになる。

エンド・クレジット前に書かれていた:ドイツでは1/4の女性が人生の中で少なくとも一度は身体的・性的暴力をパートナーから受けている。被害者の女性はすべての社会階層にいる。

スティーグ・ラーソンの、そして彼の死後も書き続けられた『ミレニアム』1~6(第1巻が「ドラゴン・タトゥーの女」)を強く思い出した。この著書では部構成ごとに寸言のように統計が書かれている。第一部:スウェーデンでは女性の十八パーセントが男に脅迫された経験を持つ、第二部:スウェーデンでは女性の四十六パーセントが男性に暴力をふるわれた経験を持つ、第三部:スウェーデンでは女性の十三パーセントが、性的パートナー以外の人物から深刻な性的暴行を受けた経験を有する、第四部:スウェーデンでは、性的暴行を受けた女性のうち九十二パーセントが、警察に被害届を出していない。この著書の原題は「女を憎む男たち」。女性に対する偏見、軽蔑、暴力が全編を貫くテーマの一つだ。世界中でいまだなくなることがない。

talisman
KEIさんのコメント
2025年1月22日

コメント有難うございます。調べたら日本も配偶者から女性は4人に1人、男性は5人に1人が被害を受けているそうです。発覚してるのがその数字なので、実際はもっと多いのでしょうね。

KEI
kossyさんのコメント
2025年1月22日

talismanさん、コメントありがとうございます!
俺もわからない部分があったんだけど、結局移動するシーンがカットされてたりしたからかな?
2人とも娘がいるという点がいい味付けでしたよね。

kossy