劇場公開日 2025年5月9日

「抜群の安定感 老若男女問わず楽しめるパディントン•シリーズはいろいろと考察してみてもけっこう楽しい」パディントン 消えた黄金郷の秘密 Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5抜群の安定感 老若男女問わず楽しめるパディントン•シリーズはいろいろと考察してみてもけっこう楽しい

2025年5月28日
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鑑賞方法:映画館

ご存知ペルー出身、ロンドンでブラウン家の皆さんとともに暮らすクマ パディントンのシリーズ第三弾。今回は英国に溶け込んで英国民としてパスポートまで取得したパディントンが自分のルーツであるペルーにブラウン家の皆とともに旅行するという胸アツ展開になっております。

思えばパディントン君、第一弾『パディントン』を思い起こせば、ペルーからイギリスへの貨物船(たぶん)に密航してクマ暦で数年前(たぶん)に英国に入国していますので「不法移民者」ということになります。その際にひょっとしたら彼の罪状(?)にマーマレードの密輸も加わる可能性もあったのですが、当該品が旅程ですべて消費されたので未遂に終わっています。彼の名前「パディントン」は本名が英語での発音が難しいのでロンドンに実在する駅の名前からとったようですが、このあたりのことから、パディントンは入国してそのまま英国に溶け込んでいった移民の皆さんのメタファーではないかと言われてるようですね。まあ彼の本名は英語だけでなく人類すべての言語において発音が難しそうではありますが。これ、日本の市民権を獲得するときにも駅名を名乗るというのはなかなかいいアイデアだと思います。品川さん、大崎さん、五反田さん…… あたりはいいとして、高田馬場さん、高輪ゲートウェイさんは長過ぎるかな。

今回はそんなパディントン君がいよいよ英国パスポートを手にします。申請用の写真を街角のセルフの3分間写真コーナーみたいなところで撮るのですが、それだけで笑わせてくれます。脚本がうまいなあと思うのはそんな笑わせシーンと同様のことが後の場面でも出てくるところ。全篇に渡ってかなりよく練られた脚本だと思いました。で、パディントン君、正式にパスポートを受け取るわけですが、「不法移民」から始まった彼のロンドン生活がここまでこれたのも彼の真面目な性格と日頃の努力、地域の皆さんとの絶え間ない交流、何よりもブラウン家の皆さんの協力の賜物です。ご近所の皆さんから、英国紳士のシンボル 傘をプレゼントされて誇らしげなパディントン君でした。

以下、雑感と考察を少々。

いったいいつ頃の話?: 今回もスマートフォン等の最新のIT機器は登場しませんでした(たぶん)。ということで、セルフの写真コーナーにもバーコード決済など存在するはずもなく、コイン式でそれがなんとも言えない味を出すわけです。なんか日本で言うところの昭和の末期みたいな感じ。まあ映画内ではクマ暦で時間が流れてるみたいですから、それでよしとしましょう。

電気機器、通信機器等の器具が旧式?: 上の話とも絡むのですが、出てくる電気器具等が旧式でデジタルではなくアナログといった感じです。で、長い電源コードや通信ケーブルが絡まったり、パディントン君に巻きついたりしてひと騒動になります。ワイヤレスではこの感じは出せません。あと、シリーズ通してメカニカルなものが好きで、例えば、時計ならゼンマイに歯車の方式で間違ってもクォーツのほうには行きません。写真はアルバムに貼ってあるような状態で出てきますが、デジカメではなく、フィルムカメラで撮ったものなのでしょうか?

キャストにスペイン人のアントニオ•バンデラスを配した意味: 今回はペルーが舞台ですが、かつてはインカ帝国が栄えたところで(そこから黄金伝説みたいなのが出てくるわけですが)、それを16世紀に滅亡させたのはコンキスタドールと呼ばれたスペイン人たちでした。で、アントニオ•バンデラスがコンキスタドールの末裔の遊覧船の船長の役をやるわけですが、面白いのはご先祖さんたちの霊もときおり出てきて全部の霊を彼が演じるわけです。一人五役か六役だったと思います。

吹替で観るか、字幕で観るか: 私はずっと字幕で観てきました。パディントン役のベン・ウィショーさんの落ち着いた話し方がけっこう好きなので。映画を通して英語を勉強したいと思っている方がいたら、このシリーズはけっこうお薦め。パディントン君、品のいい英語を程よいスピードで話してくれますので日本人学習者向けだと思います。同じくクマが出てくる『テッド』が4文字ワード連発でおよそ教育的でないのとは対照的です。

リスク管理が行き届いている本シリーズのスタッフ陣: ブラウン家のお父さんは保険関係のお仕事でリスク分析を担当されているようですが、このシリーズのスタッフ陣は上手にリスク管理されている感じがします。前二作でブラウン家のお母さん役だったサリー•ホーキンスさんが降板して(最初からそういう契約だったみたい)、今回はエミリー•モーティマーさんが演じているのですが、あまり違和感を感じず、ずっと彼女が演じてきたみたいに錯覚してしまいました。というか、『パディントン2』の脚本ならサリーさん向きだけど、今回の内容だとエミリーさん向きみたいな感もあり、達者なスタッフ陣だなと感心しました。また、前二作で監督をされていたポール•キングさんは製作総指揮•原案の担当となり、ドゥーガル•ウィルソン監督になっています。スタッフを厚くして長期シリーズを狙っているのでしょうか。本作で一巡したような感もあるので、ここまでが初期三部作と呼ばれるようになるか、それとも…… ということで第四弾を気長に待つとしますか。

他にも、インディ•ジョーンズこすりの話とかオリビア•コールマンのサウンド•オブ•ミュージック話とかいろいろあるでしょうけど、際限がなくなるのでこのへんで。

Freddie3v
りかさんのコメント
2025年6月18日

共感ありがとうございます。
バンデラスさんか、そのスペインの末裔ということ、一人難役かをこなしてられること勉強になりました。

100%とは言えませんが、第4弾構想中か製作し始めからしいです。ラストのヒューさん登場はご本人が企画して出演されて、やる気満々と、
お見受けしております。

りか
ゆーきちさんのコメント
2025年6月6日

情報、早いですね!前作から結構時間経つほど時間かかる作品だと思っていたので、すごいペースですwww
もちろん、観ますよ!すっかりドル箱作品ですね!w

ゆーきち
ゆーきちさんのコメント
2025年5月29日

共感ありがとうございました。

細かいところまでこだわっているから、続編までまた時間かかりそうですw

ゆーきち
琥珀糖さんのコメント
2025年5月29日

こんばんは
共感ありがとうございます。
とてもとても楽しく読ませて頂きました。
最初の1作目からをキチンと把握した上で、
今作の楽しい所、特徴などなど書かれていて
ほっこりしました。
私は2を映画館でみた時はもう松坂桃李の吹き替えが
主流でしたが、桃李くんもすっごく好みです。
可愛い声でいじらしいんです。
もう目に入れても痛くないほどメロメロです。
続編待ちたいですね。

琥珀糖