「ボクの好きだったスーパーマンはもういない。そしてこれからも」スーパーマン ヤマモトさんの映画レビュー(感想・評価)
ボクの好きだったスーパーマンはもういない。そしてこれからも
いきなりボコボコにされてるスーパーマン。
血ヘド吐いてるスーパーマン。
犬に引きずられていくスーパーマン・・・
もうこの時点で嫌な予感しかしませんでした。
私の好きだったスーパーマンは、クリストファー・リーヴが演じた、あの不敵な笑顔の男です。
ピンチなんてあっという間に吹き飛ばし、悪党を軽くあしらう。
そして、すべてを解決した後に見せる、あの清々しい笑顔。そして飛び去って行く。
スーパーマンとは、揺るぎない正義と圧倒的な強さの象徴だったはずです。
今作のスーパーマンに、その輝きはありません。メンタル的にもフィジカル的にも、弱々しいのです。
血を吐き、苦しみ、ボコボコにされ、犬にまで痛めつけられ。
守っているはずの人々に非難され物を投げつけられ。
苦悩するスーパーマン。
・・・そんなのがそんなに見たいのか!!??違うんじゃないか!!??
そもそも、同レベルの強さを持つキャラクターが多すぎるため、彼の「スーパーパワー」が埋没しています。
多くのヒーローを登場させ、物語を複雑化させる中で、スーパーマンというキャラクターの「絶対的な強さ」が薄れてしまっているのです。
科学の力で超人を超えようとするレックス・ルーサー(イケメンハゲ)の存在は、その象徴です。
これは、DCユニバースという潮流が生んだ悲劇でしょう。
結果として、私が観たかった『スーパーマン』の物語はそこにはありませんでした。
透視能力、凍結ブレス。些細なことかもしれませんが、これらの描写が削ぎ落とされたことにも、キャラクターの弱体化を感じざるを得ません。
これが今後のDCユニバースとやらの方針なのでしょう。実に悲しい。
私の好きなストーリーは二度と生まれないのではないかと思います。私の好きな方向性で面白い作品はもう作れないのかも知れません。
監督などが悪い訳では無く、世の中の流れ的にそうなっているのかも知れません。
ボクの好きだったスーパーマンはこの映画にはいませんでした。
そしてこれからも出てこないのでしょう。
実に残念です。
でもおそらく続編も観るのでしょう。それにまた文句を書いている未来が見えます・・・