「隣人間の実に人間クサいわだかまり」スーパーマン N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
隣人間の実に人間クサいわだかまり
「グレートアメリカ、アゲイン」
トレーラーを見る限りどうしてもだぶってしまい、困ったなーと思っていたら、
信頼できるスジから良い映画だぞ、と入ったため偏見を解くべく鑑賞。
アメコミモノは初期のスパイダーマンを見ただけで、界隈のノリをよく知らないが、ヒーローにも普通の生活がある、という描かれ方が面白かった。
そういえば「スーパーマン」ってそういう設定だった、を思い出させてくれるエピソードもきっちり入っていて脚本に感心。
日本でいうなら大人の視聴にも耐える戦隊モノ的な解像度か。
しかし徹頭徹尾のエンタメではなく、今ある問題に、地に足ついた物語で、楽しさの中に過る切実さが絶妙だった。
ヨソから来て過ぎるほど清く働く者と、その姿に脅威を感じる地の者の妬み。善悪ではなく、巨悪でもなく、隣人間の実に人間クサいわだかまりを、おそらく米国にはびこる問題を、スーパーマンという世界に落とし込んだ。果てに導き出された結末は、悪が倒されることはなく、最後、己の不憫に震えて涙するなどと、あれだけボコスカ戦ったのになんて平和的幕切れなのか。
優しすぎるメッセージを、願いを、ストレートなほどに作品からかっ食らう。
僻地の紛争も、なにもかも、作中のようにあれ。
観に行って偏見が解けた。
良かった。
ガジェットやキャラがいちいち作り込まれていて、これっきりはどれももったいない。
犬のザツさ加減がツボった。でも伏線回収はお見事。
スーパーマンが純朴な青年という描かれ方で印象と違ったけれど、好印象。
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