劇場公開日 2025年7月11日

「新しいスーパーマン像を受け入れたい」スーパーマン kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 新しいスーパーマン像を受け入れたい

2025年7月14日
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鑑賞方法:映画館

クリストファー・リーヴが演じた「スーパーマン」が、初めて自分から観たいと思った洋画だったかもしれない。小学校の時にワクワクしながら劇場に足を運んだことを覚えている。本作はジェームズ・ガンが監督したこともありどんなアレンジが加えられるのか期待していた。
まずスーパーマンが負けた後から描くという斬新な始まり方。予告編で使われていたあのシーンは最初だったのか。スーパードッグのクリプトが登場し、SNSでスーパーマンが叩かれる。時代を感じる作りだ。そして昔ながらの、電話ボックスや回転扉等で変身するシーンはなくなっていた。それでいて、1人の人を救うスーパーマンの姿は相変わらず強調される。それがスーパーマンらしいさではあるが、リス一匹を救うのは明らかにやりすぎだ。ヒューマン・ファーストでいてほしい。時代に合わせたスーパーマン像を作ろうと挑んだ感じは伝わってきた。クラーク・ケントがメガネをとっただけで、スーパーマンになっていることを誰も気づかないという謎の設定について、科学的?な説明がされたことはありがたかったけど。
映像はさすが。迫力があって、スピード感があって、臨場感があった。IMAXで鑑賞したこともあって、スクリーンの中の世界に没入できた。特によかったのが飛行シーン。あのスピード感はなかなかよかった。「トップガン マーヴェリック」でも感じたが、空気抵抗でスクリーンが少し揺れて見えるくらいの方がリアルに感じるんだな。今後もこの流れは続くのだろう。
脚本に関しては、ヒーローものの作り方が難しくなっているんだなと感じざるを得ない。スーパーマンが救助した際の被害額が算出されたり、他国の戦争を止めたら外交問題になったり、ヒーローチーム(しかもグリーンランタン!)が登場してアヴェンジャーズみたいになったり。ヒーローの苦悩を描かないと成り立たなくなっているのだろう。異星人という血統と、アメリカで育った環境や家族とで悩む姿は自分のアイデンティティを模索する新しいスーパーマン像として受け入れたいと思う。
ジャスティスリーグが再編成されるのか、それとも別のチームができるのか、それともヒーローチームとスーパーマンという構図のまま続編が作られるのか。いずれにしても、スーパーマンの新しいシリーズが(個人的感想だが)成功したことを喜び、次作を楽しみに待ちたい。

kenshuchu
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