「後半になって印象一転。」ケナは韓国が嫌いで 春さんの映画レビュー(感想・評価)
後半になって印象一転。
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ここでは無い何処かへ逃げ出したい女性の自分探しの物語でした。こことは国であり会社であり家族であり友人であり恋人であり、そんな人間としての普遍的で漠然とした居心地の悪さ焦燥なのでしょう。
物語の前半から中盤にかけては意外とアッサリとしていて、共感出来ない訳では無いけれど心に強い印象を与える程では無かったかな。
でも後半になり、ケナの周りで死んでしまう人が続くと映画の印象が一変します。末期ガンの急変による死、精神が壊れてしまった男による一家無理心中(ケナが脱出したニュージーランド在住の韓国人一家ってのが皮肉)、そして自殺。
死因は様々でケナに近しい人もTVで眺めていただけの人もいますが、それらの死はケナに強い影響を与えます。またその死達はケナだけでなくケナの物語を観ている私にも強く影響しました。ケナが物語前半から中盤にかけて感じていた焦燥が急に物語を遡って強く私の心をざわつかせました。この監督さんやっぱり凄い!傑作です、観て良かった。
自分がいつか必ず死ぬと分かっている人間と言うものの幸せとは何なのでしょう?答えは出ないままケナは母国から旅立ちます。同じく答えの出ないまま生活を続ける私達と違いはありません、死を傍らに何かを求めて最後の時まで泳ぎ続けます。
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