「ケナの心情描写に引き込まれる」ケナは韓国が嫌いで 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
ケナの心情描写に引き込まれる
新宿武蔵野館で、チャン・ゴンジェ監督の舞台挨拶のあった上映回を鑑賞。前日にチケットを買った時は7~8割方埋まった状態でしたが、結果的に満席で中々賑やかでした。
本作の内容ですが、主人公のケナ(コ・アソン)が、題名通り母国韓国に嫌気がさしてニュージーランドに活路を見つけるために旅立つというものでした。ケナが母国に嫌気がさしたのは、男尊女卑社会であることや、ルールよりも情実を優先する社会であることなどが挙げられていました。いずれも日本にもある問題なので、そういう意味で他人事とは思えない部分があり、非常に興味深い作品でした。特に男尊女卑の問題に関しては、韓国のジェンダーギャップ指数が世界94位であるのに対して、日本は118位とさらに低位なので、両国ともに改善を要すると改めて感じたところでした。
話が内容からそれてしまいましたので元に戻すと、ニュージーランドに渡ったケナも、順風満帆とはいかず、山あり谷ありが描かれていましたが、その経験を通じて成長していく姿に力を貰った気がしました。そして嫌で飛び出した韓国の家族とテレビ電話で話して癒されるシーンなどは、アンビバレンツな人間の感情が非常に上手く描かれていて、作品世界に引き込まれて行きました。
俳優陣ですが、主役のコ・アソンが健気なケナを全力で演じており、いっぺんで虜になりました。
そんな訳で、本作の評価は★4.6とします。
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