フロントラインのレビュー・感想・評価
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もうちょっと
この手の記録ドキュメントタッチの映画は日本は素晴らしいのだが、今回はもうちょい感あり
自分の中では、題名は忘れたが、人工衛星作成プロジェクトが一番です。
NetflixのDAYズの方が生々しい
次元が違って比べるとマズいが、架空のMERやゴードブルーの方の医療現場描写の方が生々しい
あんなに本当に現場で笑ってたの?
それと、この手の映画は誰の視点かがすごく大事で、今回だれがの視点なのかわからず、小栗旬が主役だけどそれほどでもないし、マスコミ完全悪だし、感染者の医者悪者だし、お役人さん神だし、困ったら役人へ!
医療従事者の苦悩もさらりとだし、
わかりづらくてもマスク完全防備で芝居しょうよ、マイクでひろえないなら、字幕やナレーションでもいいじゃん
いつも他人事
いつも災いは他人事と捉えがちな私たちに
反省を込めて観なさいと言われているようなノンフィクション作品。
この人たちのおかげで早い収束を迎えたのだろう。
コロナのスタート地点、ダイアモンドプリンセス号、死ぬまでに世界一周クルーズはしてみたいけど。
当時の不安感を前提として作られたことの是非は?
本作で取り上げた、ダイヤモンドプリンセス号でのコロナ発症とその後コロナ禍の出来事は、極めて政治的出来事であった。政治的とは当事者が多数いるという意味だ。患者、医者、看護師、政府(官僚)、政治家、日本国民そして世界国々と当事者は多い。本作では、船の患者、その家族、医師らを当事者として焦点を当てている。
外国人の演者が割とまともだった。邦画での外国人役は演技がアマチュア劇団レベルというのが多いのだが、今回のは割と堂に入った演技をしている。夫が発症し1人船に残された女性を演じた方は、夫を旅に誘った後悔をよく演じていた。
マスコミを「マスゴミ」として描いているが、やや類型的である。マスコミの人間も様々であり、「マスゴミ」として描くにしても背景などもっと深みが必要ではないか。人はそう単純な生き物ではないのだから。
この映画は、あの時の多くの人々が持っていた不安感をベース(前提)にしている。なにかとてつもない事が起こりつつある。得体の知れぬモノが迫っているという、ホラー映画が持つ出来事への不安感である。
そう、本作はホラー映画として作られるべき作品のはずだったと思う。
しかし人々の不安感をあまり上手く演出できたようには思えない。あの時、船の中ではこんな事が起きてましたという報告感が強い。それが制作目的だとはいえ、何か物足りない。
政府内でも相当の暗闘があったはずだが、抜けている気がする。
ほんの五年前の出来事なので、あの不安感を多くの人々は肌感覚で覚えているから描く必要はないという判断もあるかしれない。が、五十年後の人々がこの映画を観た時、どう感じるだろうか。
状況はわかるとしても、身に迫る気持ちは起きないだろう。名作と言われる作品は時代を越えるというが、それは作り手の用意周到な計算があるからだが、本作にその計算はあったのだろうか?
船が給排水のために外洋に出る場面は印象的だった。鮮やかなライトをつけながら、漆黒の闇の海を行く様は、その後の世界を暗示しているかのようだった。
窪塚さんと池松さんに味つけされた真面目でドキュメンタリーな作品
評判が良いので映画館で鑑賞。当時報じられていたダイヤモンド・プリンセス号のニュースを改めて思い起こした。
現場で抱えていた想像もしなかった実体を、本作を通して初めて知ることとなった。
当時は、感染力の高い恐ろしい未知のウイルスが国内でまん延するかも知れない水際で、治療法もワクチンも存在せず、医療現場の体制も整っていなかった。
このような緊急事態において、有志の医療関係者に「依存」するしかない極限状態だった。
本作では、結城医師をはじめ医療従事者は心を正常に保つために「人命を最優先」「人道的な正しさ」をその行動原理としていた。
自己や家族を犠牲にしながらも、世間から謂われのない批判に晒されなければならない悔しさや憤りは計り知れない。
それでも、自分たちが最前線に立たなければ、事態は立ち行かなくなるという恐怖と責任感が、彼らを突き動かしていたのだ。
このような状況の中で戦う医療従事者を「善」として、彼らの視点から当事者の覚悟や苦悩が画かれているが、そこがまさに見どころになっている。
矢面に立ち、甚大なリスクを背負いながら即断即行動を下すことの重みを目の当たりにし、医療従事者の方々への心からの感謝と敬意を抱かずにはいられない。
一方で、陽性の可能性がある者と自分の子供が接触するのを避けたいと考えるのは、至極当然な人間の感情である。
自分と自分の身近な者を守るという行為は、人間にとって最優先されるべき本能的なものであり、それが脅かされることは恐怖であり「悪」と認識される。
そうした世間の恐怖をマスコミが煽り、医療現場との対立構造を作り出すことで、医療従事者の善性を際立たせている側面も感じられた。
本作は、スター性のある小栗旬を起用しているにもかかわらず、エンタメ要素を極力排し、様々な立場の感情に配慮していると感じる。
ドキュメンタリーまではいかないものの、感情の起伏を抑制している点も、この作品の良さになっている。
窪塚扮する医師の強い覚悟と、池松扮するの医者の芯の強さが本作を際立たせていて、作品に味がついている。窪塚洋介がかなりカッコ良かった!
感動して涙が止まらない作りにはしていない。
エンタメ的ヒューマンドラマを期待されている方には向かないかも。
医療従事者
どこまでが真実なのかは分からないし、綺麗事の理念だけで成し遂げたとも思えない。
が、実際あの船で感染は起こり、未知のウィルスは猛威をふるい、そのウィルスに立ち向かった人達がいるのは事実だ。
結びとしては、船の問題が片付いたになってはいるが、未曾有のパニックとしてはほんの入り口なので、ハッピーエンドになるわけもない。
僕らはその後の時代を生きている。
振り返るには早いタイミングだとは思う。
が、当時、何が正解かも有効かも、どんな脅威なのかも分からない中で、その渦中に飛び込んだ人達がいる。医療従事者の方々にはホントに頭が下がる。
自分の命どころか、家族の人生をも賭けてる。
目の前の命に向き合い、最善を尽くした人達。
そんな人達の物語だった。
皆様、熱演だった。
ただ、ホントにコレは想像なのだけれど、あんなに整然としてたのだろうかと思う。
阿鼻叫喚とまではいかないが、もっと壮絶だったんじゃなかろうかと思う。勝手にオブラートを想像してモヤモヤしてる。
人の善意はいっぱい映っていたけれど、人の悪意は限定的だったように思う。
下衆なマスコミと無責任な政治家とか。
光石さんとかハマってたなぁ。
よく出来た脚本だなぁと思えた。
立松さんは偉くなってくれたのかなぁー
…ああいう人がああいう人のまま偉くなれないから、この国の将来が不安でしかないんだがな。
気持ちは分からなくはないんだが、風評被害ってシャレになんないなぁ。
そういう誤解を解いてあげるのもマスコミだと思うのだけれど、元より信頼が失墜してるからそんな役割も今更担えんだろうなぁ。
そうなんだよな…。
なんか食い足りなかったのは混乱がそこまで描かれてなかったような気がしてて、何に立ち向かってじゃなくて、どう立ち向かったかにフォーカスされてたから「感謝」みたいな感想になったんだろうなぁ。
13名が亡くなったという事実
あの当時は新型コロナウイルスの感染者が少しずつ増え始めていたものの、後にあそこまで猛威を振るうウイルスとは知らなかった頃です。ダイヤモンドプリンセス号のニュースはよく見ていましたが、中の様子は分からなかったから、感染者を中に閉じ込めたままなのはどうなんだろうかと思っていました。本作では描かれてなかったようですが、アメリカの助言だったんですね。
確かに、患者の受け入れを拒否する医療機関が多かったから、そうするしか無かったんだなと思います。
日本ではそれまでウイルスの爆発的な感染なんて無かったから、感染症対策のシステムが構築されてなかったのも仕方ないことですが、そういう事態を予測することも無く、医療に関する国の予算もどんどん削られていましたから。
そんな中でも戦ってくれた医療従事者、関係者の皆さんには、頭が下がります。それなのにD-MATの方々が差別され、酷い言葉を浴びせられたり、その家族までが職を失ったり、同じ医療関係者からも中傷されるような目に遭っているというのは、報道番組でも新聞でも度々取り上げられていましたよ。
戦争中やもっと前からあった迷信的な偏見や村八分的な思考と何ら変わらないです。
本作は当時の緊迫した状況を伝えてくれますが、まだ描き切れていない事が多いと感じました。
クルーが頑張ってくれたこととは別に、アメリカの運航会社の対応は色々まずかったと思います。隔離が始まって食事を各部屋に運んでくれるようになっても、パンを素手で配膳しているのを不安に思ったという日本人客の証言あり(テレビより)
検疫の様子も見たかったです。
アリッサ他2名のクルーはその後どうなったんでしょうか。
感染症専門の教授が乗船し、ゾーニングが正しく出来ていない事や、役人の認識の甘さを批判していたのはテレビでも中継しました。その指摘はもっともで、なぜ教授が船を降ろされることになったのかは知りたいですね。(お役人が降ろしたんだろうと思ってます)
「面白いことになりそうですよ」と言った架空のテレビ局の記者のセリフは事実ではないですよね。でも主人公は面白がられていると感じたかもしれません。船内はまるで野戦病院のような状態だったのに、まわりはただ見ていただけでしたから。
最終的に、3711名中、感染者712名、死亡者13名、医療機関への搬送者769名、搬送先16都府県、150病院でした。ウイルス以外の原因で亡くなる事案をも含めて被害を最小に食い止めようとしてくれました。
最初に2名が亡くなった時、「でも、船の上ではない」というセリフは、D-MATを擁護する為に敢えて言わせたんでしょうか。震災の時に関連死を気に病んでいた方々が、まるで責任を押し付け合うかのようなお役所的発言をしたとは信じたくないです。
本作では、窪塚洋介さんがカッコ良かったです。池松壮亮さんも良かったです。森七菜さんが船内を走り回って奮闘する姿、ふくらはぎが生命力に溢れていて魅力的でした。
池松壮亮さんのリアル
やはり見ておくべきだと思い上映館へ。人も疎らなレイトショウで助かったが、どうしても泣けてきたのは当時の閉塞感が蘇ってきたからか、そんな事態にあっても美しい人間性が見られたことに改めて胸打たれたからか。
最も印象深かったのは池松壮亮さん。医者の仕事は単調な検証と対応とを地道に繰返し積み重ねていくことがほとんどで、地味で人の汚い部分にやむを得ず踏み込んでいく、かっこいい劇判なんてつきようもない局面が大半。それを体現されていたようで、事前に読んでいた監督・脚本の意図に最も忠実だったように思う。窪塚さんはかっこよすぎ、とは思ったけれど、こういう医者、いるいる(笑)と思った。これ程無骨で渋い役をされるのだとIWGP以来しっかり拝見することがなかった(すみません)ので驚かされた。
そして光石研さん。今回の下衆(ある意味では自分の職業に忠実なわけだけれど)なテレビマンも、他の作品での温厚な父親も、同じ顔貌と風体なのにきちんと”わかる”。改めて凄いと思った。
医療関係者の皆様、ありがとう。
ほんの5年前の出来事なのに、忘れてしまっていることが多いですね。コロナは5類になりましたが、うがい、手洗いなど手を抜く時がある自分に反省です。当初は未知のウィルスの時に、DMATや他の医療関係者の献身的な働きに頭が下がりますし、客船のクルーの人々の働きにも胸が熱くなりました。予告編では、厚労省の松坂桃李が、嫌な役をやっているように見えましたが、違ってましたね。こういう役人さんが一杯いれば、日本はもっと良くなると思います。小栗旬、窪津洋介の演技も素晴らしかったです。
当時のマスコミの報道にも一石を投じていますが、相変わらずマスコミの姿勢は変わってないですね。テレビも新聞も編集して報道するわけですから、テレビ局や新聞社の方針や意向に沿わないことは報道しないでしょう。 偏向報道があるわけです。
幸いにも私はコロナに感染しませんでしたが、可能な限り医療関係者の方にお世話にならないようにあらためて気を引き締めていきたいと思いました。医療関係者の皆様、ありがとうございます。
すべての日本人が観るべき傑作
ド派手で超大作の『国宝』の輝きに埋もれてしまいそうだが、僕はこっちのほうを(洋画も含めて)今年のNo.1に推したい。
これから年の後半にも良い作品はたくさん出てくるだろうけれど、ちょっとこれを超えるものは出そうにない気がするし、自分の生涯ベストの1つに間違いなく入る。
最初は「実話に基づいたって言ったって、『TOKYO MER』みたいな専門職TVドラマっぽいやつかなぁ?」などと高を括って観に行ったのだが、予想を完全に覆された。
脚本、演出、キャスティング、VFX等々、あらゆることを全部含めて最高でありました。
(今、いろいろ確認のために公式サイトを見に行って予告編映像やメイキング、あるいはモデルとなった人々と俳優たちの再会シーンなどを観たら、不覚にも泣けてきた・・・)
ストーリーは、船内に新型ウイルスの感染者が出たクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、2週間のあいだ乗客のために格闘したDMATの医療従事者と船のクルーたち、厚生労働省の官僚、患者受け入れを巡る医療機関という、私たちが絶対に忘れてはいけない「無名のヒーロー/ヒロイン」の格闘の物語。
そこには、何もかも前例のない中で身の危険を覚悟で船内で「今できることをする」現場と、統制する本部のあいだの葛藤、船内でも起こる葛藤と助け合いと感謝、法令と段取りに縛られる官僚とのぶつかり合い、ゴシップもどきの報道を加熱させるマスコミのいやらしさ、なぜか「自分は感染症の専門家だが、船から2時間で降ろされた。DMATは素人」と動画を投稿して結果的に世間の不安を煽りDMATの足を引っ張る異様な医師、差別にさらされ出勤できなくなったり子どもの保育園や学校から登園登校を拒否される医療従事者の家族たち・・・と、観続けるのが息苦しくなるような展開が続く。
中でも人間ドラマとして出色なのは、パニックに陥りながらもギリギリのところで耐える乗客たちやクルー、当のDMATの人びとの粘り強い「戦い」を丁寧に描いていることだ。
一方で、厚労省検疫担当、神奈川県庁、感染症学会、DMATの医師たち・看護師たちの所属する医療機関の経営陣などの責任の押し付け合いや足の引っ張り合いは、とてもフィクションとは思えない。
業界は違えど、自分が現役のサラリーマン時代に嫌と言うほど目にしたf**kingな野郎たちと光景がありありと蘇った。
また、細かな一瞬のシーンにも二度ほど驚かされた。
1つ目は、物々しい防護服で重症の外国人患者に対応する医師(演:池松壮亮)が、英語に堪能なフロント係の女性(演:森七菜)に通訳をしてもらうために客室に呼び
「(客室に)入ってくれますか?」
と言った時に
「えっ…えっ…入るんですか?」
とフロント係が躊躇しながらも、意を決したように入室したこと。
2つ目は、すべてを終え無事に帰宅した医師(演:池松壮亮)に、ずっと心配し耐えてきた妻が静かに近づいてハグしようとした時。医師は一瞬ためらうように微かに後ずさるが、すぐに思い直して妻を抱きしめたこと。
そう、そうだったのだ。わたしたちは確かに、そうして恐れていた。
何と言うリアリティ。
こうしたリアリティは、間違いなく当事者たちへの丹念な取材と脚本家の想像力の賜物だと思うのだけれど、素晴らしいのはそのバランスが舌を巻くほど良いこと。
これは、ディテール一つ一つに込められた事実(本当にあったこと)と虚構(いかにもあったかも知れないと思わせること)を極めて自然に織り上げ、どちらにも偏り過ぎずに仕上げるという芸当であって、もはや天才的でさえある。
そして何よりも、脚本家を含めた製作陣の良心を感じたのは、例えばルームサービスのフィリピン女性クルーへの優しい眼差しだ。
些か深掘りするが、以下にどうしても書き残しておきたい。
豪華客船は動く豪華ホテル。つまり彼女たちは言うなれば最下層の労働者であり、現実でもドラマでもほとんどエキストラ並みにしか扱われないのが普通だろう。
でもこの作品では、文字通り名も無い存在でありながら、恐らく実際にあっただろう彼女たちの気配りや献身、そして最後まで乗客を優先するために船底のクルー部屋に寝かされ搬送を後回しにされていたことに、敢えてきちんと目配っていた。
こういうことは脚本家や監督が当初は描きたいと思っても、プロデューサーからは上映時間の兼ね合いやキャラクター全体の軽重の価値判断で編集段階でカットされてしまうことも多いと想像する。シーンを生かすとしたら、配信やDVDでのディレクターズカット(完全ノーカット版)になることが普通だろう。
それを劇場公開時からこうしてしっかり入れてきたことに、製作陣の強い意志と人間性を感じるのだ。
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僕らは、あの5年前のヒリヒリとした得体の知れない不安や緊張感を忘れ始めている。
ある意味、東日本大震災並みに強烈な体験だったはずだが、文字通り「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ものなのか。
誰にとってもリアルだった、しかし誰にとってもまったく同じ経験は一つもなかったあのコロナ禍。
この映画の見事なところは、そんな災厄の始まりである最初の2週間を、フィクションでありながらフィクションとは到底思えない、めちゃくちゃリアリティのある人間ドラマとしてきっちりと仕上げて観せれくれたことだ。
そして、あのときの自分は何を見、何を考えていたかを振り返る。
「未知のウイルス」への言い知れぬ恐怖や「なんとなく後手に見える」対応への批判的な目。
そう、あの頃はワクチンすらなかった。
あの時、僕らは正しく事態を認識し、正しく理解していただろうか。
もちろん、当時で事態を正しく認識できた人間など居なかっただろう。何もかも未知の状態で、わかっているのは「しばらく耐え続けなければならないようだ」ということだけ。
だからこそ、個人としてできることは何か、どんな言動をとるのか、どんなメンタリティで毎日を迎えるのかが大きく問われていた気がする。
この映画は、あの日々のそんな自分を否応なく思い出させ、あの日々の感情を驚くほど喚起してきた。
こんな映画体験は初めてだ。小栗旬が精魂込めたことは間違いなく届いた。
そういう意味では、この映画は80年のあいだ戦争を経験していないわれわれにとっての、一種の「戦争映画」である。
俳優良い、面白い大作だけど
当時ダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んだ災害派遣医療チームや医療関係者、乗務員には感謝しかないことを第一に言いたい。
しかし、DMAT(知っている人)は「善」、マスコミと世間(よく知らない人)は「悪」
という映画の構図には違和感を感じる。
ただでさえ、複雑な事象を扱うのに「善悪の二項対立」を描いたので、
子ども向けの映画になってしまった。
批判と非難を混在して脚本にしてしまう安っぽい映画だと思う。
安っぽい「善悪の二項対立」が気にならないほど、面白く描いてほしい。
脆弱な日本の医療体制や想定・準備不足の体制を批判、マスコミ批判した映画を見に行くと思えば、いい映画だと思う。
未知の事態や想定外の出来事に対応する題材として、
原爆や地下鉄サリン事件、震災、福島第一原発がある。
それらを題材とした映画やドラマと比べても緊張感が弱い。
緊張感の弱さから映画に入り込めない。
船内から助けを求めるメッセージを掲げる乗客を軽くあしらうシーンや
桜井ユキ演じるテレビ記者が小栗旬演じるDMATリーダーを船から降りたところで取材を求めるするシーンは、酷すぎて見てられない。
後半、小栗旬演じるDMATリーダーが桜井ユキ演じるテレビ記者を呼び止め取材に応じるようになった時の感情の動きがよく分からない。
予習なして見に行ったが、
吹越満演じる六合承太郎のモデルと思われる岩田健太郎さんを「悪」として演出したい意図を感じたが、そこまで一方的な「悪」とは思えなかった。
普段は、あまり気にするところじゃない、細かいところが気になって頭に入ってこない。
美村里江演じる糖尿病の持病を抱え幼い息子を持つ乗客や
滝藤賢一演じる乗客の隔離を受け入れた医師、
親と離れ子どもだけで隔離された西洋系の兄弟など
これらはただただ事象を紹介するだけになり、俳優さんが可哀そうだった。
それでも、初期に夫が感染し知らない土地での出来事に混乱する妻の外国人乗客の夫婦や
後半にコロナに感染した東洋系の乗務員には心がジーンとした。
こんな映画でも窪塚洋介や池松壮亮がいるだけで、
映画の雰囲気を良くしてくれるから名優だと思った。
あくまで、DMATや乗客乗員の目線で描いた映画にしてほしかった。
安っぽい脚本・演出、「大作風」なんていらない。
続編でいい映画にしてほしい。
あの現場に関わった方たちを尊敬します
あの時、未知のウィルスで対策もわからない状況で命を最優先に動く方たちが本当にいた事を忘れません。ダイヤモンドプリンセスのクルー、DMATのドクターやナース、船外からのあらゆる支援を厚労省や自治体の方たち…本当に現場は大変だったんだろうな…と。外野がぐちゃぐちゃ言う中で色々な立場があり、その中で自分の正義や使命感で判断して動く事は本当に心を動かされました。
あのコロナ禍で従事された方を本当に尊敬します。
また女性記者がなんか改心したような描写がありましたが、それはフィクションで本当は外野から都合の良いように面白おかしく真実を報道せず編集してたんでしょうね。実際はもっとゴミだったんだろうなーって見てました。
最前線での人の道、医は仁術
通常スクリーンで鑑賞。
ノベライズは未読。
DMATのメンバー、ダイヤモンド・プリンセス号のクルー、そしてマスコミ。それぞれのパートの描き方が濃密だった。1本にまとめず、3作に分けても良かったのではないかと思えたほどだ。
実話に基づいているからこその重みが、ずっしりとのしかかって来る。謂れのない差別や誹謗中傷に曝されながらも、未知の脅威の最前線で戦った人々に頭が下がりっぱなしの2時間だった。
本来DMATは、ウイルス災害に対応する組織ではなかったことを今回初めて知った。では、尚更尊いことではないかと感じた。医療従事者だけではなく、クルーズ船のクルーも誰かがやらねばならないことだからと各自の役目を全うしていた。自分たちの成したことを、まるで大したことではないかのように「仕事」をしただけだと言えるのもすごい。
驚いたのは、立松のような優秀な官僚が現場をバックアップしてくれていた、と云う点だ(最初に登場した印象では、この人の言動が現場を混乱させるのかもと思ってしまった)。
マニュアルの無い未曾有の事態に直面した時に、右往左往してしまうのが官僚の勝手なイメージなのだが、現場の声を受け柔軟に対応してくれる姿は理想的な官僚像を体現していた。
それぞれの場所で、容易には想像し得ない苦悩と葛藤があったと思う。コロナ患者を受け入れたくない、受け入れるなら病院を辞めると言った医療従事者を真っ向から批判する勇気は無い。
だが、結城の放った「そんなことを言うなら金輪際医療から去るべきだ」と云う意味合いの発言には納得がいく。仙道の「こんな時のために俺たちは医者になったんじゃないのか」にも胸を打たれた。
医は仁術なり。医師の仕事とは、人命を救う博愛の道であるとする言葉である。コロナ禍の真っ只中では、その使命感に縋るしかない状況だったわけだが、彼らも医師である以前に人間なのだと云うことを痛感し、改めて感謝の念が湧いた。
「フクシマフィフティ」を思い出す。あの時、現場ではいったい何が起きていたのかを、エンターテインメントと云う形ではあれ、知ることが出来て本当に良かったと思う。感染の恐怖と戦い、職務を果たそうと奮闘した人々に心からの敬意を⋯
内実を知らず、物事を断片的にしか捉えないで好き勝手なことを言った当時のマスコミやネット民の行為は許し難い。そして、報道やSNSに踊らされていた当時の自分にも腹が立つ。物事は多面的に見ないといけないと云う教訓である。
留意すべきは、当時のマスコミを非難する目的でこの描写を行ったわけではない点だと思う。桜井ユキ演じるテレビ局の記者は、上司の命令と現場の事実の間で葛藤しながら取材していた。つまり彼女も「仕事」をしていたわけだ。患者を愛知へ移送する際、車列を追跡しないと決断した彼女の想いに「マスゴミ」の一言では括れないものを感じた。
コロナ禍を経て、日常とは決して当たり前のものではないことを知った。その日常を守ってくれている人がいることを知った。気づけて良かった。本作はそんな名もなき人々の戦いの記録である。
[鑑賞記録]
2025/06/21:TOHOシネマズ西宮OS
2025/11/16:Amazon Prime Video
*修正(2025/11/16)
メディアがコロナ差別を煽っていた
2020年ダイヤモンドプリンセス号でDMATの新型コロナ対応を映画化したもの
あの出来事はなんだったのか?
エンタメというよりも
できるだけ事実に忠実につくっているように感じた
そこまで盛り上げる映画でもない
新型コロナがどんなウイルスかよくわかっていない状況で
対応をしなければいけない医療従事者
厚労省の役人もなんとかうまくやっていこうとする
しかし、メディア(基本的にテレビ)がダイヤモンドプリンセス号の出来事について
危機感を煽り、それがコロナ差別につながっていく
コロナ差別によりDMATのメンバーが務めている病院に苦情がきて
医療行為に問題が生じたり
メディアが危機感を煽った弊害を本作ではかなり問題視しているように感じた。
最初に乗り込んですぐに降ろされた医師が
批判のための暴露動画にすぐメディアが食いつくのは
ネットのフェイクニュースとか批判できないようなと思った
偉大なことをした医療従事者が
それが知られると差別されるので他人に知られてはならない
という人がいたのは観ててとてもつらいし
これは現実にあったんだなとも考えてしまう
乗客の夫婦や兄弟、船内のスタッフなど
医療従事者以外の人も極限状態でも
とても気丈に振る舞っていたのが感動的だった
この作品を見ると自分の2020年はどんな感じだったのか考えてしまう
2回観ましたが、まだ観たいです
公開を心待ちにしていたのですが、今日やっと観れました。今日続けて2回観ました。公開初日の舞台挨拶で、窪塚洋介さんが日本中の人に観てもらいたいとおっしゃってましたが、私もそのとおりだと思います。あのクルーズ船の中で起きていたこと、乗客の命を救うためにどれだけ多くのクルーや医療従事者、行政職員、官僚たちが頑張っていたか。なのにそれを面白可笑しく報道するマスコミ、ネットの情報に踊らされ、無責任に批判する私も含めいわゆる世間の人たちがたくさんいました。あれから5年しか経っていないのに、もう遠い昔のことのようになってしまっていますが、この映画を観たことで、私も当たり前と思っている日常がとても尊いことを痛感できました。藤田医科大に乗客を搬送して落ち着いたところで、怒りを露わにしながら防護服を脱ぎ抗議する滝藤さん演じるDr.に、自分のせいではないのにひたすら頭を下げる池松さん演じるDr.の姿が印象的でした。こういう姿、普段仕事してる時の私たち、みんなやってるよなって。自分の病院で理事たちの前で謝る結城先生もそうでした。最初冷たいと思っていた立松さんも実は熱い人で、こんな官僚いたら日本の将来も大丈夫かもと思えました。とても深い映画です。ぜひ多くの人に本当に観てほしい。どの役者さんもみんなよかったのですが、森七菜ちゃんも私には久しぶりの窪塚洋介さんもとても良かったです。20何年前にドラマで音大生の役をしていた洋介さんがカッコよくて大好きでしたが、久しぶりに見たらこんなに渋くて素敵な大人になっていて驚きました。この映画の素晴らしさは書ききれないので、劇場にぜひ足を運んで観てほしいです。
私はまだ2回は観に行こうと思っています
思い出した、忘れてはいけない
映画館も間隔空けてマスク徹底だったこと思い出しました。
今日の映画館は、マスクの人はほとんどおらず、満席でしたので、しみじみと感じました。
当時何かわからずただただ恐怖だったコロナに
立ち向かった(立ち向かわざる得なかった)関係者の皆様には
本当に頭が下がります。
改めて、何のためにそれぞれの職についているのか
を考えるきっかけとなった。
医者になった方は命を救いたいと思ったはず
ただ、その中で、他に守らないといけないこともそれぞれ抱えているので
それぞれの判断も正しいのだと思う。
マスコミも何のためにあるのか、
我々一般市民も何のためにSNSで拡散するのか。
正しいことをしたい、
世の中のためになりたい、
誰もが思っているはず。
掛け違えず、惑わされず生きたいですね。
タイトルなし(ネタバレ)
2020年2月、横浜港停泊中の豪華客船から新型コロナウイルスの感染者が出た。
対応する医療チームはおらず、神奈川県災害派遣医療チーム“DMAT”が対応に当たることになった・・・
といった、コロナ禍の端緒、豪華客船での集団発生の対応をDMATの活動を中心に描く実録物。
3.11の原発事故対応を描いた『FUKUSHIMA 50』を彷彿させます。
非常事態下での普通の人びと(専門知識があるとはいえ)を描く、いわゆるエンターテイメントの王道。
(スティーヴン・キングがいうところのエンターテインメント。ただし彼が描く非常事態は架空の出来事だけれど)。
その後のコロナ禍を経験しているので、単純にエンタメとして楽しむわけにはいかないが、当事者たちの苦悩と活躍、冷静な活動、周囲の心無い対応などが巧みに描かれていました。
中心となる俳優陣は、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、森七菜、窪塚洋介。
豪華俳優陣なので、鑑賞前は「もしかしたら嘘臭い感じがするんじゃないか」と危惧しましたが、杞憂でした。
いずれも好演。
損得でなく善悪で行動した人たちの物語
2020年、Diamond Princess号のCOVID封じ込めに関わったDMATのメンバー、英雄達の話。構成上は勧善懲悪的なヒーローストーリー
主人公目線で描かれたヒーロー物語なので、彼ら(DMATとサポートした厚生省、協力した医療機関の人々)にとっての善(正義)と、それに対する悪(障害、邪魔する人たち)が衝突する出来事が描かれることは当然。この映画の場合、これは正解。起きた出来事を時系列で追いかけ、視聴者が彼らの体験を追体験するようにストーリーは進行します
我々(視聴者の多く)は、このとき世界中で起きたことや、その後船の外の世界でおきた出来事を概ね知っています。複雑なサイドストーリーや凝ったプロットはないので、自らの記憶を思い出しながら物語に没入することができます
基本はボランティアで活動する医師・看護師集団で救急医療が専門分野あるDMATは、半ば厚労省に押し切られる形で専門外の感染症対策のフロントラインを任されます。一方、メンバーは危険で過酷な過重労働を強いられ、その家族たちは無知な一般市民のバッシングや、(必ずしも無知ではないが、確信犯的にそれを煽る)マスコミによって苦境に立たされる展開
一方で、劇同時に目の前で彼らに接する人達からの感謝や賞賛の声もしっかり描かれます
これ(バッシング)が当時DMATの身に降りかかったとは知りませんでしたが、この後、世界中の医療関係者の身に同じことが起きたのは周知の事実
描かれたのは、次々と現れる未知の状況に対して、それぞれのプロが何を考え、どう行動したか、のプロセス。100%の正解がない中で、何かを正しいと判断し行動しながらも、同時にその判断が本当に正しいかを常に疑い続ける姿。これはすべての大人に常に求められること
印象深いセリフがいくつかある
(ボランティアのDMATが対応せざるを得ない状況に対して)
「日本にはアメリカのCDCに当たる(感染症対策を専門に独立して管轄する)専門機関はない」
「なぜかと問われれば、それが人道的に正しいと思ったからです」
(『うちの病院がこれ以上感染者を受け入れるなら辞める、というスタッフが何人もいるんだよ』と言う経営者に対して)
「そんなのはやめればいい。この病院だけじゃなく、すべての医療現場から去るべきだ」
「みんな、こういう時のために医者とか看護師になったんでしょう」
この映画のメッセージは、
DMATの皆さんよくがんばったね、スゴイ!!
ではない
大人の皆さん、いつもの自分で考えて判断し行動してますか?
いつも、その判断が正しかったかどうか、反芻しながら生きていますか?
だと思います
ストーリーを追いかけながらも、頭の隅でそのようなことを自分事として考えながらの鑑賞となり、思っていた以上に濃密な2時間強となりました
P.S. (長くてすいません)
劇中、SNSで船内の検疫活動を「素人だ」と批判し、DMATへの誹謗中傷を助長する結果となった感染症の専門家や、それにやはりSNS上から異を唱えて世論を動かした専門家が描かれます
両者には、モデルとなった実在の医師が存在します
興味深いのは、両者がその後もそれぞれ現場の医師として、公に意見を表明していて、対談の動画なども公開されていること。互いの意見は平行線の部分はありながらも、それぞれが医療現場で働くプロとして、自身の考えや行政のあるべき姿を正々堂々と述べている
例えば前者は、当時の発言がDMATの活動にNegativeに影響したので、劇中では明らかに「悪者」として描かれています。しかし、主張は疫学的な(科学的な)視点からの、本来こうあるべきだ、の正論。言っていることは正しくても、その場の解決策としてベストかどうかは別の話ということ。なので、当時の救急医療の現場の背中を押す事はできなかったが、ではその主張は無意味かと言えばそうとは限らない
この映画は「火事場のクソ力」で緊急事態を乗り切った英雄達の話。しかし、映画は同時に、本来、医療現場は「クソ力」に頼るべきではない、というメッセージも発信しているように思える
今でも、国内だけでコロナ感染で年間2万人以上の人が亡くなっていて、これは(年度による変動はあると思いますが)インフルの10倍以上になるそうです
映画の出来事から5年以上経ったいま、
日本という国はコロナパンデミックの経験から何を学んでどう変わったのか、
「日本にはアメリカのCDCに当たる専門機関はない」の現実はどう変わったのか(変わるのか)
時間があれば、ネット上の医療関係者による発信や動画アーカイブを振り返ってみるのもオススメです。この映画の描いた現実を違う視点から考えてみる機会になります
日々頑張っている医療従事者の方々に敬意を。
超高齢化社会と言われる昨今。医療は、どんどん求められるものであると同時に、医療従事者の方々の負担は増えていく一方。
そんな中、日々、患者さんのために尽力してくださっている医療従事者の方々には頭が下がります...
本作は、新型コロナウイルス対策がまだ確立されていない、未知のウイルスとして扱われていた頃、ダイヤモンド・プリンセスが舞台。
大地から隔離され、身動きのとれない海の上。感染は広がっていく。
そんなみんな不安な状態の中、立ち上がったのは、感染に対して専門知識を何ももっていない医師たちの医療チーム"DMAT"、『一人でも多くの患者を救う』医療における真髄とも言われる考え方を持った方々。船のクルー。受け入れ先の医療従事者の方々。
自分たちも怖いはずなのに、『他人のために、人のために』という善意が多くの命を救いました。
医療従事者の方々も、人です。コロナ差別、風評被害、怖いことがたくさんあったかもしれません。
そんな状況で、色々考えるより、やはり、人を動かすのは、『思いやり』かもしれません。
今、生きていることが尊いものであると、そう思わせてくれる作品だと思います。
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