フロントラインのレビュー・感想・評価
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医療従事者
どこまでが真実なのかは分からないし、綺麗事の理念だけで成し遂げたとも思えない。
が、実際あの船で感染は起こり、未知のウィルスは猛威をふるい、そのウィルスに立ち向かった人達がいるのは事実だ。
結びとしては、船の問題が片付いたになってはいるが、未曾有のパニックとしてはほんの入り口なので、ハッピーエンドになるわけもない。
僕らはその後の時代を生きている。
振り返るには早いタイミングだとは思う。
が、当時、何が正解かも有効かも、どんな脅威なのかも分からない中で、その渦中に飛び込んだ人達がいる。医療従事者の方々にはホントに頭が下がる。
自分の命どころか、家族の人生をも賭けてる。
目の前の命に向き合い、最善を尽くした人達。
そんな人達の物語だった。
皆様、熱演だった。
ただ、ホントにコレは想像なのだけれど、あんなに整然としてたのだろうかと思う。
阿鼻叫喚とまではいかないが、もっと壮絶だったんじゃなかろうかと思う。勝手にオブラートを想像してモヤモヤしてる。
人の善意はいっぱい映っていたけれど、人の悪意は限定的だったように思う。
下衆なマスコミと無責任な政治家とか。
光石さんとかハマってたなぁ。
よく出来た脚本だなぁと思えた。
立松さんは偉くなってくれたのかなぁー
…ああいう人がああいう人のまま偉くなれないから、この国の将来が不安でしかないんだがな。
気持ちは分からなくはないんだが、風評被害ってシャレになんないなぁ。
そういう誤解を解いてあげるのもマスコミだと思うのだけれど、元より信頼が失墜してるからそんな役割も今更担えんだろうなぁ。
そうなんだよな…。
なんか食い足りなかったのは混乱がそこまで描かれてなかったような気がしてて、何に立ち向かってじゃなくて、どう立ち向かったかにフォーカスされてたから「感謝」みたいな感想になったんだろうなぁ。
13名が亡くなったという事実
あの当時は新型コロナウイルスの感染者が少しずつ増え始めていたものの、後にあそこまで猛威を振るうウイルスとは知らなかった頃です。ダイヤモンドプリンセス号のニュースはよく見ていましたが、中の様子は分からなかったから、感染者を中に閉じ込めたままなのはどうなんだろうかと思っていました。本作では描かれてなかったようですが、アメリカの助言だったんですね。
確かに、患者の受け入れを拒否する医療機関が多かったから、そうするしか無かったんだなと思います。
日本ではそれまでウイルスの爆発的な感染なんて無かったから、感染症対策のシステムが構築されてなかったのも仕方ないことですが、そういう事態を予測することも無く、医療に関する国の予算もどんどん削られていましたから。
そんな中でも戦ってくれた医療従事者、関係者の皆さんには、頭が下がります。それなのにD-MATの方々が差別され、酷い言葉を浴びせられたり、その家族までが職を失ったり、同じ医療関係者からも中傷されるような目に遭っているというのは、報道番組でも新聞でも度々取り上げられていましたよ。
戦争中やもっと前からあった迷信的な偏見や村八分的な思考と何ら変わらないです。
本作は当時の緊迫した状況を伝えてくれますが、まだ描き切れていない事が多いと感じました。
クルーが頑張ってくれたこととは別に、アメリカの運航会社の対応は色々まずかったと思います。隔離が始まって食事を各部屋に運んでくれるようになっても、パンを素手で配膳しているのを不安に思ったという日本人客の証言あり(テレビより)
検疫の様子も見たかったです。
アリッサ他2名のクルーはその後どうなったんでしょうか。
感染症専門の教授が乗船し、ゾーニングが正しく出来ていない事や、役人の認識の甘さを批判していたのはテレビでも中継しました。その指摘はもっともで、なぜ教授が船を降ろされることになったのかは知りたいですね。(お役人が降ろしたんだろうと思ってます)
「面白いことになりそうですよ」と言った架空のテレビ局の記者のセリフは事実ではないですよね。でも主人公は面白がられていると感じたかもしれません。船内はまるで野戦病院のような状態だったのに、まわりはただ見ていただけでしたから。
最終的に、3711名中、感染者712名、死亡者13名、医療機関への搬送者769名、搬送先16都府県、150病院でした。ウイルス以外の原因で亡くなる事案をも含めて被害を最小に食い止めようとしてくれました。
最初に2名が亡くなった時、「でも、船の上ではない」というセリフは、D-MATを擁護する為に敢えて言わせたんでしょうか。震災の時に関連死を気に病んでいた方々が、まるで責任を押し付け合うかのようなお役所的発言をしたとは信じたくないです。
本作では、窪塚洋介さんがカッコ良かったです。池松壮亮さんも良かったです。森七菜さんが船内を走り回って奮闘する姿、ふくらはぎが生命力に溢れていて魅力的でした。
池松壮亮さんのリアル
やはり見ておくべきだと思い上映館へ。人も疎らなレイトショウで助かったが、どうしても泣けてきたのは当時の閉塞感が蘇ってきたからか、そんな事態にあっても美しい人間性が見られたことに改めて胸打たれたからか。
最も印象深かったのは池松壮亮さん。医者の仕事は単調な検証と対応とを地道に繰返し積み重ねていくことがほとんどで、地味で人の汚い部分にやむを得ず踏み込んでいく、かっこいい劇判なんてつきようもない局面が大半。それを体現されていたようで、事前に読んでいた監督・脚本の意図に最も忠実だったように思う。窪塚さんはかっこよすぎ、とは思ったけれど、こういう医者、いるいる(笑)と思った。これ程無骨で渋い役をされるのだとIWGP以来しっかり拝見することがなかった(すみません)ので驚かされた。
そして光石研さん。今回の下衆(ある意味では自分の職業に忠実なわけだけれど)なテレビマンも、他の作品での温厚な父親も、同じ顔貌と風体なのにきちんと”わかる”。改めて凄いと思った。
医療関係者の皆様、ありがとう。
ほんの5年前の出来事なのに、忘れてしまっていることが多いですね。コロナは5類になりましたが、うがい、手洗いなど手を抜く時がある自分に反省です。当初は未知のウィルスの時に、DMATや他の医療関係者の献身的な働きに頭が下がりますし、客船のクルーの人々の働きにも胸が熱くなりました。予告編では、厚労省の松坂桃李が、嫌な役をやっているように見えましたが、違ってましたね。こういう役人さんが一杯いれば、日本はもっと良くなると思います。小栗旬、窪津洋介の演技も素晴らしかったです。
当時のマスコミの報道にも一石を投じていますが、相変わらずマスコミの姿勢は変わってないですね。テレビも新聞も編集して報道するわけですから、テレビ局や新聞社の方針や意向に沿わないことは報道しないでしょう。 偏向報道があるわけです。
幸いにも私はコロナに感染しませんでしたが、可能な限り医療関係者の方にお世話にならないようにあらためて気を引き締めていきたいと思いました。医療関係者の皆様、ありがとうございます。
すべての日本人が観るべき傑作
ド派手で超大作の『国宝』の輝きに埋もれてしまいそうだが、僕はこっちのほうを(洋画も含めて)今年のNo.1に推したい。
これから年の後半にも良い作品はたくさん出てくるだろうけれど、ちょっとこれを超えるものは出そうにない気がするし、自分の生涯ベストの1つに間違いなく入る。
最初は「実話に基づいたって言ったって、『TOKYO MER』みたいな専門職TVドラマっぽいやつかなぁ?」などと高を括って観に行ったのだが、予想を完全に覆された。
脚本、演出、キャスティング、VFX等々、あらゆることを全部含めて最高でありました。
(今、いろいろ確認のために公式サイトを見に行って予告編映像やメイキング、あるいはモデルとなった人々と俳優たちの再会シーンなどを観たら、不覚にも泣けてきた・・・)
ストーリーは、船内に新型ウイルスの感染者が出たクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、2週間のあいだ乗客のために格闘したDMATの医療従事者と船のクルーたち、厚生労働省の官僚、患者受け入れを巡る医療機関という、私たちが絶対に忘れてはいけない「無名のヒーロー/ヒロイン」の格闘の物語。
そこには、何もかも前例のない中で身の危険を覚悟で船内で「今できることをする」現場と、統制する本部のあいだの葛藤、船内でも起こる葛藤と助け合いと感謝、法令と段取りに縛られる官僚とのぶつかり合い、ゴシップもどきの報道を加熱させるマスコミのいやらしさ、なぜか「自分は感染症の専門家だが、船から2時間で降ろされた。DMATは素人」と動画を投稿して結果的に世間の不安を煽りDMATの足を引っ張る異様な医師、差別にさらされ出勤できなくなったり子どもの保育園や学校から登園登校を拒否される医療従事者の家族たち・・・と、観続けるのが息苦しくなるような展開が続く。
中でも人間ドラマとして出色なのは、パニックに陥りながらもギリギリのところで耐える乗客たちやクルー、当のDMATの人びとの粘り強い「戦い」を丁寧に描いていることだ。
一方で、厚労省検疫担当、神奈川県庁、感染症学会、DMATの医師たち・看護師たちの所属する医療機関の経営陣などの責任の押し付け合いや足の引っ張り合いは、とてもフィクションとは思えない。
業界は違えど、自分が現役のサラリーマン時代に嫌と言うほど目にしたf**kingな野郎たちと光景がありありと蘇った。
また、細かな一瞬のシーンにも二度ほど驚かされた。
1つ目は、物々しい防護服で重症の外国人患者に対応する医師(演:池松壮亮)が、英語に堪能なフロント係の女性(演:森七菜)に通訳をしてもらうために客室に呼び
「(客室に)入ってくれますか?」
と言った時に
「えっ…えっ…入るんですか?」
とフロント係が躊躇しながらも、意を決したように入室したこと。
2つ目は、すべてを終え無事に帰宅した医師(演:池松壮亮)に、ずっと心配し耐えてきた妻が静かに近づいてハグしようとした時。医師は一瞬ためらうように微かに後ずさるが、すぐに思い直して妻を抱きしめたこと。
そう、そうだったのだ。わたしたちは確かに、そうして恐れていた。
何と言うリアリティ。
こうしたリアリティは、間違いなく当事者たちへの丹念な取材と脚本家の想像力の賜物だと思うのだけれど、素晴らしいのはそのバランスが舌を巻くほど良いこと。
これは、ディテール一つ一つに込められた事実(本当にあったこと)と虚構(いかにもあったかも知れないと思わせること)を極めて自然に織り上げ、どちらにも偏り過ぎずに仕上げるという芸当であって、もはや天才的でさえある。
そして何よりも、脚本家を含めた製作陣の良心を感じたのは、例えばルームサービスのフィリピン女性クルーへの優しい眼差しだ。
些か深掘りするが、以下にどうしても書き残しておきたい。
豪華客船は動く豪華ホテル。つまり彼女たちは言うなれば最下層の労働者であり、現実でもドラマでもほとんどエキストラ並みにしか扱われないのが普通だろう。
でもこの作品では、文字通り名も無い存在でありながら、恐らく実際にあっただろう彼女たちの気配りや献身、そして最後まで乗客を優先するために船底のクルー部屋に寝かされ搬送を後回しにされていたことに、敢えてきちんと目配っていた。
こういうことは脚本家や監督が当初は描きたいと思っても、プロデューサーからは上映時間の兼ね合いやキャラクター全体の軽重の価値判断で編集段階でカットされてしまうことも多いと想像する。シーンを生かすとしたら、配信やDVDでのディレクターズカット(完全ノーカット版)になることが普通だろう。
それを劇場公開時からこうしてしっかり入れてきたことに、製作陣の強い意志と人間性を感じるのだ。
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僕らは、あの5年前のヒリヒリとした得体の知れない不安や緊張感を忘れ始めている。
ある意味、東日本大震災並みに強烈な体験だったはずだが、文字通り「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ものなのか。
誰にとってもリアルだった、しかし誰にとってもまったく同じ経験は一つもなかったあのコロナ禍。
この映画の見事なところは、そんな災厄の始まりである最初の2週間を、フィクションでありながらフィクションとは到底思えない、めちゃくちゃリアリティのある人間ドラマとしてきっちりと仕上げて観せれくれたことだ。
そして、あのときの自分は何を見、何を考えていたかを振り返る。
「未知のウイルス」への言い知れぬ恐怖や「なんとなく後手に見える」対応への批判的な目。
そう、あの頃はワクチンすらなかった。
あの時、僕らは正しく事態を認識し、正しく理解していただろうか。
もちろん、当時で事態を正しく認識できた人間など居なかっただろう。何もかも未知の状態で、わかっているのは「しばらく耐え続けなければならないようだ」ということだけ。
だからこそ、個人としてできることは何か、どんな言動をとるのか、どんなメンタリティで毎日を迎えるのかが大きく問われていた気がする。
この映画は、あの日々のそんな自分を否応なく思い出させ、あの日々の感情を驚くほど喚起してきた。
こんな映画体験は初めてだ。小栗旬が精魂込めたことは間違いなく届いた。
そういう意味では、この映画は80年のあいだ戦争を経験していないわれわれにとっての、一種の「戦争映画」である。
俳優良い、面白い大作だけど
当時ダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んだ災害派遣医療チームや医療関係者、乗務員には感謝しかないことを第一に言いたい。
しかし、DMAT(知っている人)は「善」、マスコミと世間(よく知らない人)は「悪」
という映画の構図には違和感を感じる。
ただでさえ、複雑な事象を扱うのに「善悪の二項対立」を描いたので、
子ども向けの映画になってしまった。
批判と非難を混在して脚本にしてしまう安っぽい映画だと思う。
安っぽい「善悪の二項対立」が気にならないほど、面白く描いてほしい。
脆弱な日本の医療体制や想定・準備不足の体制を批判、マスコミ批判した映画を見に行くと思えば、いい映画だと思う。
未知の事態や想定外の出来事に対応する題材として、
原爆や地下鉄サリン事件、震災、福島第一原発がある。
それらを題材とした映画やドラマと比べても緊張感が弱い。
緊張感の弱さから映画に入り込めない。
船内から助けを求めるメッセージを掲げる乗客を軽くあしらうシーンや
桜井ユキ演じるテレビ記者が小栗旬演じるDMATリーダーを船から降りたところで取材を求めるするシーンは、酷すぎて見てられない。
後半、小栗旬演じるDMATリーダーが桜井ユキ演じるテレビ記者を呼び止め取材に応じるようになった時の感情の動きがよく分からない。
予習なして見に行ったが、
吹越満演じる六合承太郎のモデルと思われる岩田健太郎さんを「悪」として演出したい意図を感じたが、そこまで一方的な「悪」とは思えなかった。
普段は、あまり気にするところじゃない、細かいところが気になって頭に入ってこない。
美村里江演じる糖尿病の持病を抱え幼い息子を持つ乗客や
滝藤賢一演じる乗客の隔離を受け入れた医師、
親と離れ子どもだけで隔離された西洋系の兄弟など
これらはただただ事象を紹介するだけになり、俳優さんが可哀そうだった。
それでも、初期に夫が感染し知らない土地での出来事に混乱する妻の外国人乗客の夫婦や
後半にコロナに感染した東洋系の乗務員には心がジーンとした。
こんな映画でも窪塚洋介や池松壮亮がいるだけで、
映画の雰囲気を良くしてくれるから名優だと思った。
あくまで、DMATや乗客乗員の目線で描いた映画にしてほしかった。
安っぽい脚本・演出、「大作風」なんていらない。
続編でいい映画にしてほしい。
忘れてはならない
新型コロナウイルス感染症発生当初、横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号で感染者がいることが判明。
命を救うため懸命に戦う人々を描いた事実に基づく作品。
鑑賞しながら、あの頃の思いがまざまざと甦ってきた。あれ程暗い日々だったのにそれを忘れそうな程、日常が戻ってきた現在。しかしながら5年経っても、猛暑に於いても、未だマスク着用者が沢山いる。後遺症に苦しむ方もいる。それほど影響が大きく、勃発した頃の記憶がまだ新しいうちに、この映画が作られた意義は大きいと思う。
クルーズ船の事はニュースで聞くだけで詳細は知らなかったが、それぞれの人が、非常につらい局面で戦ったことがよくわかった。
アメリカ夫人バーバラの「旅に出なければ」という後悔に涙が出そうになり、バイ菌扱いという言葉を聞いて胸が痛んだ。
あらゆる立場の人たちが、ぶつからざるを得なかった状況が苦しかった。
何よりも、マスコミ報道とSNS での呟きのあり方。この映画中のテレビのコメンテーターなども含め、現場にいない人々の発言が空々しく感じたりもした。あなたは何ができたのか。小栗旬扮する結城の「どっかで面白がってないか?」というセリフが、本当にそのまんま現代社会を表していると思った。有事や混乱時の人間の嫌な部分がよく描かれている。
キャストは皆さん素晴らしかったが、特に、表情を変えずぶれる事なく突き進む窪塚洋介が良かった。
あの現場に関わった方たちを尊敬します
あの時、未知のウィルスで対策もわからない状況で命を最優先に動く方たちが本当にいた事を忘れません。ダイヤモンドプリンセスのクルー、DMATのドクターやナース、船外からのあらゆる支援を厚労省や自治体の方たち…本当に現場は大変だったんだろうな…と。外野がぐちゃぐちゃ言う中で色々な立場があり、その中で自分の正義や使命感で判断して動く事は本当に心を動かされました。
あのコロナ禍で従事された方を本当に尊敬します。
また女性記者がなんか改心したような描写がありましたが、それはフィクションで本当は外野から都合の良いように面白おかしく真実を報道せず編集してたんでしょうね。実際はもっとゴミだったんだろうなーって見てました。
最前線での人の道、医は仁術
通常スクリーンで鑑賞。
ノベライズは未読。
DMAT、ダイヤモンド・プリンセス号のクルー、そしてマスコミ。それぞれのパートの描き方が濃密で、1本にまとめず3作に分けても良かったのではないかと思えたほどだ。
実話に基づいているからこその重みが、ずっしりとのしかかる。謂れのない差別や誹謗中傷に曝されながらも、未知の脅威の最前線で戦った人たちに頭が下がりっぱなしだった。
本来DMATは、ウイルス災害に対応する組織ではなかったことを今回初めて知った。では尚更尊いことだと感じた。
医療従事者だけでなく、クルーズ船のクルーも、誰かがやらねばならないことだからと、各自の役目を全うしていた。
自分たちの成したことを、まるで大したことではないかのように、「仕事」をしただけだと言えるのもすごいな、と…
驚いたのは、立松のような優秀な官僚が現場をバックアップしてくれていた、と云う点だ(最初に登場した印象では、この人の言動が現場を混乱させるのかもと思ってしまった)。
マニュアルの無い未曾有の事態に直面すれば右往左往してしまうのが官僚の勝手なイメージなのだが、現場の声を受け柔軟に対応してくれる姿は、理想的な官僚を体現していた。
それぞれの場所で、簡単には想像し得ない苦悩と葛藤があったと思う。コロナ患者を受け入れたくない、受け入れるなら病院を辞めると言った医療従事者を批判する勇気は無い。
だが、結城が放った一言―「そんなことを言うなら医療の場から去るべきだ」は納得出来る。仙道の「こんな時のために俺たちは医者になったんじゃないのか」も胸を打つ。
医は仁術なり。医師の仕事とは、人命を救う博愛の道であるとする言葉だ。だが医師である以前に、彼らも人間なのだと云うことを痛感し、改めて感謝の念が湧き上がった。
[余談]
「Fukushima50」を思い出す。あの時何が起きていたのか。恐怖と戦い、職務を果たそうと奮闘した人々に敬意を表す。
内実を知らず、物事を断片的にしか捉えないで好き勝手なことを言った当時のマスコミやネット民の行為は許し難い。
メディアがコロナ差別を煽っていた
2020年ダイヤモンドプリンセス号でDMATの新型コロナ対応を映画化したもの
あの出来事はなんだったのか?
エンタメというよりも
できるだけ事実に忠実につくっているように感じた
そこまで盛り上げる映画でもない
新型コロナがどんなウイルスかよくわかっていない状況で
対応をしなければいけない医療従事者
厚労省の役人もなんとかうまくやっていこうとする
しかし、メディア(基本的にテレビ)がダイヤモンドプリンセス号の出来事について
危機感を煽り、それがコロナ差別につながっていく
コロナ差別によりDMATのメンバーが務めている病院に苦情がきて
医療行為に問題が生じたり
メディアが危機感を煽った弊害を本作ではかなり問題視しているように感じた。
最初に乗り込んですぐに降ろされた医師が
批判のための暴露動画にすぐメディアが食いつくのは
ネットのフェイクニュースとか批判できないようなと思った
偉大なことをした医療従事者が
それが知られると差別されるので他人に知られてはならない
という人がいたのは観ててとてもつらいし
これは現実にあったんだなとも考えてしまう
乗客の夫婦や兄弟、船内のスタッフなど
医療従事者以外の人も極限状態でも
とても気丈に振る舞っていたのが感動的だった
この作品を見ると自分の2020年はどんな感じだったのか考えてしまう
2回観ましたが、まだ観たいです
公開を心待ちにしていたのですが、今日やっと観れました。今日続けて2回観ました。公開初日の舞台挨拶で、窪塚洋介さんが日本中の人に観てもらいたいとおっしゃってましたが、私もそのとおりだと思います。あのクルーズ船の中で起きていたこと、乗客の命を救うためにどれだけ多くのクルーや医療従事者、行政職員、官僚たちが頑張っていたか。なのにそれを面白可笑しく報道するマスコミ、ネットの情報に踊らされ、無責任に批判する私も含めいわゆる世間の人たちがたくさんいました。あれから5年しか経っていないのに、もう遠い昔のことのようになってしまっていますが、この映画を観たことで、私も当たり前と思っている日常がとても尊いことを痛感できました。藤田医科大に乗客を搬送して落ち着いたところで、怒りを露わにしながら防護服を脱ぎ抗議する滝藤さん演じるDr.に、自分のせいではないのにひたすら頭を下げる池松さん演じるDr.の姿が印象的でした。こういう姿、普段仕事してる時の私たち、みんなやってるよなって。自分の病院で理事たちの前で謝る結城先生もそうでした。最初冷たいと思っていた立松さんも実は熱い人で、こんな官僚いたら日本の将来も大丈夫かもと思えました。とても深い映画です。ぜひ多くの人に本当に観てほしい。どの役者さんもみんなよかったのですが、森七菜ちゃんも私には久しぶりの窪塚洋介さんもとても良かったです。20何年前にドラマで音大生の役をしていた洋介さんがカッコよくて大好きでしたが、久しぶりに見たらこんなに渋くて素敵な大人になっていて驚きました。この映画の素晴らしさは書ききれないので、劇場にぜひ足を運んで観てほしいです。
私はまだ2回は観に行こうと思っています
思い出した、忘れてはいけない
映画館も間隔空けてマスク徹底だったこと思い出しました。
今日の映画館は、マスクの人はほとんどおらず、満席でしたので、しみじみと感じました。
当時何かわからずただただ恐怖だったコロナに
立ち向かった(立ち向かわざる得なかった)関係者の皆様には
本当に頭が下がります。
改めて、何のためにそれぞれの職についているのか
を考えるきっかけとなった。
医者になった方は命を救いたいと思ったはず
ただ、その中で、他に守らないといけないこともそれぞれ抱えているので
それぞれの判断も正しいのだと思う。
マスコミも何のためにあるのか、
我々一般市民も何のためにSNSで拡散するのか。
正しいことをしたい、
世の中のためになりたい、
誰もが思っているはず。
掛け違えず、惑わされず生きたいですね。
タイトルなし(ネタバレ)
2020年2月、横浜港停泊中の豪華客船から新型コロナウイルスの感染者が出た。
対応する医療チームはおらず、神奈川県災害派遣医療チーム“DMAT”が対応に当たることになった・・・
といった、コロナ禍の端緒、豪華客船での集団発生の対応をDMATの活動を中心に描く実録物。
3.11の原発事故対応を描いた『FUKUSHIMA 50』を彷彿させます。
非常事態下での普通の人びと(専門知識があるとはいえ)を描く、いわゆるエンターテイメントの王道。
(スティーヴン・キングがいうところのエンターテインメント。ただし彼が描く非常事態は架空の出来事だけれど)。
その後のコロナ禍を経験しているので、単純にエンタメとして楽しむわけにはいかないが、当事者たちの苦悩と活躍、冷静な活動、周囲の心無い対応などが巧みに描かれていました。
中心となる俳優陣は、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、森七菜、窪塚洋介。
豪華俳優陣なので、鑑賞前は「もしかしたら嘘臭い感じがするんじゃないか」と危惧しましたが、杞憂でした。
いずれも好演。
日々頑張っている医療従事者の方々に敬意を。
超高齢化社会と言われる昨今。医療は、どんどん求められるものであると同時に、医療従事者の方々の負担は増えていく一方。
そんな中、日々、患者さんのために尽力してくださっている医療従事者の方々には頭が下がります...
本作は、新型コロナウイルス対策がまだ確立されていない、未知のウイルスとして扱われていた頃、ダイヤモンド・プリンセスが舞台。
大地から隔離され、身動きのとれない海の上。感染は広がっていく。
そんなみんな不安な状態の中、立ち上がったのは、感染に対して専門知識を何ももっていない医師たちの医療チーム"DMAT"、『一人でも多くの患者を救う』医療における真髄とも言われる考え方を持った方々。船のクルー。受け入れ先の医療従事者の方々。
自分たちも怖いはずなのに、『他人のために、人のために』という善意が多くの命を救いました。
医療従事者の方々も、人です。コロナ差別、風評被害、怖いことがたくさんあったかもしれません。
そんな状況で、色々考えるより、やはり、人を動かすのは、『思いやり』かもしれません。
今、生きていることが尊いものであると、そう思わせてくれる作品だと思います。
今、同じ(同様の)ことが起こったら
まだ記憶には残っている2020年1月末に発生した、「ダイヤモンドプリンセス」での新型コロナ感染者発生に焦点を当てた映画です。
5年前のできごとの記憶を記録に残しておくべきと思っていたときに、小栗旬、窪塚洋介、松坂桃李、池松壮亮、森七菜、桜井ユキ、美村里江、吹越満、光石研、滝藤賢一などの豪華キャストで制作されています。
一般に、社会で起こるできごとは視点を変えると違って見えるので、この映画が正しい事実の記録であるとは捉えない方がよい気がします。この映画の視点は、DMAT、厚労省、横浜県庁、藤田医科大側です。とはいえ、どこかや誰かを徹底的に悪者にするということもなく、全体的にいろいろ気を使った映画になっている気がしました。
松坂桃李は、『新聞記者』や『御上先生』でもそうでしたが、しらっとして言いたいことをいう官僚が似合います。また、窪塚洋介はさすがにいい味を出していました。森七菜はここ数日のうちに観た『国宝』にも『パレード』にも出ていたので、またかという感じでしたが、やはり引っ張りだこになる理由はありますね。
人間のすばらしさが描かれているシーンがいくつもあり、涙してしまいました。
帰りがけに、この映画のテーマ、つまり、何が言いたい映画なんだろうと考えましたが、関根光才監督が言うように、TV記者(桜井ユキ)がDMAT指揮官阿南(小栗旬)に問いかけた、「今、同じ(同様の)ことが起こったら」かなと納得した次第です。
(敬称略)
キレイに描かれているけど現場はもっと大変だっただろうな
何回か涙ぐみました。
映画だからキレイに終わっているけど、実際は混乱の中大変だっただろう。
最初は危機意識もあるようでなかったとも思う。
何処でも現場は頑張っている。
現場を知らない素人は黙ってろって感じます。
しかも引っ掻き回す人達って「自分の感情」を「皆」に主語を置き換えるので厄介。
マスコミって真実を伝えてはいるけど、エンタメなんだろうなって言うのはつくづく感じてはいる。
必ず「悪」を作っていて、それは真面目に頑張っている人達に向くことが多い印象。
真面目な人達は理不尽な返しをしないから標的にしやすいんだろう。
安全な場所から不安を煽るし、努力を下げる。
そして映画はトロッコ問題みたいだなとも思った。
罹患した乗船員や客を守るのか、まだ罹患していない人達を守るのか。
正義の言葉、人道的な気持ちはわかるけど、それって自分に余裕がない、未知の怖さが先に立つと正しい事を言っていても響かない。
自分が可愛い、自分を守りたいから。
だけど、現場の人達は「助けたい」その気持ちを自分に言い聞かせながら恐怖や理不尽に立ち向かい耐えていたんだろう。
自分達にしかできない仕事だから。
YouTubeに登場した医師。
あー、いたなと思い出しました。
私は気が付かなかったけど、エンドロールに名前が載っていたらしい。
許可を得たんだろうなとの事。
詳細は不明だけど、大切なシーンである事は確か。
役人は悪く書かれることも多い中、誠実に対応してくれている人は絶対にいたはずで、そういう人達は絶対にマスコミは取り上げない。
美談は話題にならないから。
怒りの方が扇動しやすいんだろう。
新しい病院を開設したから受入体制を取ってくれた。愛知の病院の責任者が缶珈琲を飲みながらかけた言葉。
これからも受け入れる覚悟が決まったんだろうなと感じて涙しました。
コロナはなくならないし、これからも変異し続けて行くだろう。
同じ事があった時に、足を引っ張る人達が現れませんようにと願う。
実際に何千、何万人も亡くなっているのだから。
その辺りはリアルを描いていないのか、描かないと決めたのか。
自分が罹患しなかった、軽症だったからと次に罹患した時にどうなるかは分からないのだから
病気は死ぬまで後遺症に悩まされ続ける人達もいるという事は忘れないでいたい。
現場で頑張ってくれた方達に感謝を
お疲れ様でした。
「偉くなれよ」を聞いて「踊る大捜査線」を思い出しました。
きちんと物事を冷静に判断できる人が増えますように。
そのためにも敵を取り込み、味方を増やして実行して下さい。
字幕の部分はとても大切な事が書かれていますね。
歴史に残る作品
日本でのコロナのはじまりとされるダイヤモンドプリンセス号で何が起こっていたかを映画化した作品です。
非常に素晴らしい作品でした。
キャスト陣の演技力も高いですし、やはり窪塚洋介さんは存在感ありますねぇ
多少の脚色はあれどこれが真実であると認識してます
メディア、SNSに安易に踊らされる現代人
考えさせられる内容でした。
改めて医療従事者の方々へ敬意を表します
またよく他作では足を引っ張ったり、無能にされがちな厚生労働省が大活躍でした
松坂桃李さんも素晴らしい演技でした
やはり上の官僚はろくでもない描写がされてはいましたが
不覚にもあのアメリカ人の子供兄弟のシーンはウルッときましたし
その後の「私は決断から逃げた」というセリフも刺さりました
あの兄弟の話は実話なんですかね?
エンドロールで
・マスク着用してない場面も実際はちゃんとしてました
・多少の脚色や、時系列の前後あります
という表示がちゃんと出ます
これがまた現代っぽいな
と
「電子レンジに猫を入れてはいけません」の都市伝説を思い出しました
まぁ事実ベースの映画という前提なので必要な表示なのでしょうね
とにかく引き込まれる作品で
胸が熱くなりました
一人でも多くの方が鑑賞して
ないことが一番ですが、またこのような事が起きた際に医療従事者たちが苦しまない環境になればいいなと
映画内でこれだけ頑張ったのに
結局日本どころか世界中に広まったコロナって一体なんなんでしょうね?
鑑賞後はそっちの方が気になってしまいました。
後世に遺すべき映画
新型コロナウィルス発生時、とくに豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の件は今でも鮮明に覚えています。
あの日、あの時、何が起こっていたのか。
その答えを知りたくて、映画が公開されてすぐ観に行きました。
結論から言うと本当に観て良かったです。
よくぞ、あの出来事を映画にしてくれたと思います。
プロデューサーと監督の方のパワーが無ければ不可能だったことでしょう。
決して綺麗事だけで終わらない事態に、自身の命を危険に晒してまで他人の命のために最善を尽くしてくれた方々がいたことに感動しました。
森七菜さんが演じる羽鳥さんの通訳シーンもすごかった。
テーマがテーマだけに暗くなったり後味が悪くならないか心配でしたが、俳優さんの演技力で格好良さがプラスされてたので、そこも良かったです。
あと、やっぱり「国際問題に発展する」というカードは強いですねw
(観れば分かる)
日本の他国への誠実さも伝わってきました。
時間があれば、もう一度観にいきたいくらいにはお気に入りの作品です。
全59件中、1~20件目を表示
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