フロントラインのレビュー・感想・評価
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一瞬の深呼吸と、顔に刻まれたマスク痕
冒頭から、すっと引き込まれる。どこまでも続く、船内の長廊下。波のせいか、小走りのクルーの視線なのか、ゆらゆらと揺れ、先が見通せない。搬送のため開かれた搭乗口で、クルーがほんのいっときマスクを外し、大きく呼吸する。暗い海、深い闇。これから始まる、長く苦しい道筋を、暗示させる幕開けだ。
国内初となったダイヤモンド・プリンセス号でのコロナ対応は、誰しもの記憶に残る強烈な出来事だ。けれども当時、私は情報の渦に巻き込まれるのが苦痛で、極力距離を置いていた。本作に触れ、知らないことだらけだったと改めて痛感した。乗客やクルーが多国籍で構成され、言葉の壁があったことも、少し想像すれば思い至ったはずなのに、当時は考えもしなかった。あれだけ騒ぎ立てられていたのにもかかわらず、そこにいた人々の顔の見えない、空虚な報道が日々繰り返されていたのだ。
言葉の壁、法の壁、そして受け入れ先の限界があっても、病気は待ってくれない。当時叫ばれていた、ウイルスを持ち込ませない、広げないという姿勢とは異なる視点から、DMATは格闘を開始する。ひとりでも多くの命を救うという、揺らがない軸。それは、当時ほぼ理解されず、広く伝わってくることもなかった。叩くだけ叩いていた外側と、激動の事態から目を逸らさずに向き合い続けていた彼らの隔たりに、今更ながら後ろめたい気持ちになった。
「これは面白い」、「いやいや、もっと面白いことになりますよ」とほくそえむマスコミ。本作では分かりやすい嫌悪の対象になりがちだが、彼らの情報に飛びつき、食い散らかすように消費していったのは、大衆という隠れみので顔を隠してきた私たちだ。本作は、涙腺狙いの美談然としたつくりをきっぱり排し、冷静な物語運びを貫いて、報道では顔が見えなかった(私たちが見ようとしていなかった)医療チームひとりひとりの顔をくっきりと見せてくれた。物語の中盤で大きな波紋となる、某専門家の警鐘動画とその顛末も、ぼやかさずに取り上げられている。マスクの着用や人物像など、エンドロール直前に示された演出上の説明書きにも、本作スタッフの誠実さを感じた。
ラスト、悶々とした日々を乗り越え、下船した親子にマイクを向けるレポーターのまなざしが、ほのかな希望を残す。また、ようやく(娘が家で教科書を広げており、2月末からの一斉休校に突入していると思われた。)帰宅した若い医師の頬には、くっきりとマスク痕が。苦しい日々の証であるが、家族との日常に戻った彼の、ささやかな笑いじわのようにも映った。彼らが思いを馳せたアフターコロナの世界に、今は追いついているだろうか。
ぜひ観て欲しい
あの時、がむしゃらに働いた医療従事者と、
そんな報道をするために報道の世界に入ったのかよと思う内容の報道しかしなかったマスコミ関係者と、
少しでも差別的発言、行動を取った全ての人に観てもらいたい映画です。
日本のDMATは素晴らしい。
世界に誇りに思ったらいい、素晴らしい集団。
感謝しかない、本当に。脱帽です。
とても誠実に作られた素晴らしい映画
世界中に混乱を招いた新型コロナ。
突然ニュースで感染者が乗っている豪華客席が横浜港に、、、
未知のウイルスに怯え、デマや差別、風評被害が広がる。
東日本大震災の原発事故とも重なる展開。
事実を基にしたストーリー展開がとても入り込みやすく、時系列であの時何が行われていたのかを知ることができた。
映像、音楽、そして演技もよかった。
恥ずかしながらDMATという医療チームを知らなかった。
そして日本に感染対策チームがいなかったなんて!
専門外でも自分達がやらなければと奮闘する人達。
それを茶化すように無責任な報道をするマスコミ。
みんな不安なのに視聴率しか見てないディレクターしんどすぎる。
船内の感染対策がずさんだ、経路が分けられていないという報道、あったな。
自分がやらなければ!という使命感、家族の犠牲や仲間の支えがあり、その人道的支援に私達は助けられている。
なんとも言えない感謝の気持ちが込み上げてきた。
東日本大震災の時、長距離避難でお年寄りがバスの中で亡くなっていた事も知らなかった。いや、きっとニュースでは聞いているのだろうが、沢山悲惨なニュースが飛び交い、記憶に蓋をしているのかも。
今回も横浜から愛知まで5時間のバス移動だったとは!
大変すぎる。
外国人の小さな兄弟。
異国の地で両親とも離れ離れで、、、
もう、お兄ちゃん、、、自分は死んでも良い、弟についていたいって、、、号泣だよ!
福島原発のドラマや映画も素晴らしかったが、
本作も丁寧に作られた良い作品だ。
あの現場にいた勇敢なヒーロー達を
私達は忘れてはならない。
フロントライン
現場には、そこにいる人でしかわからない、出来ないことがたくさんある。
それをワイドショーやニュースは視聴率のためだけに批判や思いつきを世に触れ回る。よくこの映画撮れたなあと思ってら、テレビ局がこの映画制作には関わってないみたい。木下グループの映画だった。なるほど。よく作ってくれたと思った。
『どっかで面白がっていませんか?あなた方は本当に、あの船に乗っている人達の無事を願って報道しているんですか?』が多くのマスコミの方に刺さってほしい言葉として残りました。
失政
2020年2月、新型コロナウイルスの集団感染が起こったクルーズ客船『ダイヤモンド・プリンセス号』を舞台にその対応にあたった災害派遣医療チーム『DMAT』の活動を描いた作品です。
本来、DMATは阪神淡路大震災での教訓をもとに大規模災害が発生した現場において、おおむね48時間以内に初期医療を行うことを目的とした『有志の』医師・看護師、それ以外の医療職・事務職から構成される医療チームです。
作中では様々な思惑によって集団感染は専門外の神奈川DMATがその機動性を理由に最前線のダイヤモンド・プリンセス号に乗船することになった経緯が神奈川DMATの責任者・結城(演:小栗旬)の視点で描かれていました。
時間的制約があるなかで問題解決のために乗り越えなければならない様々な課題を神奈川DMATや厚生労働省から派遣された役人・立松(演:松坂桃李)などの働きによって窮状をなんとか乗り切りますが…それは事態に国レベルでの統制が追い付いておらず、現場レベルでの献身(良心)に依存する状況であったことを示唆していて非常に危ういと感じました。
物語のターニングポイントとして、感染症専門医・六合承太郎(演:吹越満)による船舶内の感染対策の実態を動画で発信する場面が挙げられると思います。結果としてマスコミの格好の餌食となってしまい、拡散する風評被害によって神奈川DMATのスタッフやその家族は差別の標的にされてしまい、参加していたスタッフの一部は撤退せざるをえない状況に陥ってしまいます。
物語では六合をただの悪役のように描いていましたが、それは大きな誤りだと感じます。
確かに六合のスタンドプレーによって神奈川DMATは甚大な悪影響を受けました。動画による告発ではなく、衝突があったとしても神奈川DMATや厚生労働省にその知見を提供すべきだったと思います。ただ、そこには彼なりの職務に対する献身があり、そもそも当初から六合のような感染対策の専門家を適切に起用していればこの衝突は避けることができたとも感じます。
感染対策は専門外だった神奈川DMATの起用も含めて、問題の根幹は国に感染対策の即応チームが存在していなかったことだと思います。そして、問題解決にあたって現場の献身に過度に依存する国の姿勢こそが問題なことをキチンと描写すべきだったと感じました。(話は逸れますが、熊駆除の問題も似たような構図ですね)
役者さん達はとても良かったです!
現場ではこんな風に対応されていたのですね。それを知ることが出来てよかったです。役者さん達もとても良かったです。
ただ、、、、、、、、ラストがあまりにも綺麗事過ぎて、、、、、確かにあの船での出来事の映画なのですからそれでいいのかもしれませんが、この後、世界中がどれほどひどい感染になったか、、、、それに一言も触れていないのが大変残念でした。まるであれでコロナが終わったみたいなラストだと、私は感じてしまいました。せめてラストシーンの後でもいいので、コロナウィルスは現在もまだ影響し続けている、、、という解説が欲しかったです。
理想と現実
いまある前提条件、限られた時間、リソースで戦う医療従事者の苦労を映像化されていた。
しかも現場よく知らない外野からちゃちゃいれられたり、悪意のある者に外野に邪魔されながら戦う現場には頭が下がるおもいです。
理想論が実現できるのであれば誰も苦労はしない。
丁寧な演技に何度も泣きました
あの時のあの船の舞台裏を垣間見れたような気がしました。
フィクションベースの話なのでオチの驚きや派手なアクションなどはありませんが、丁寧な演出と俳優の皆さんの演技に心を揺さぶられ 何度も静かに泣きました。
まだコロナ禍の記憶が新しい中で、あの時誰しもが抱えていた不安とその裏にあった様々な方の葛藤や努力を、この作品を通して形にして後世に残してくださることは本当に意義のあることだと思います。ありがとうございました。
タイトルなし(ネタバレ)
本当の問題は、1000人乗ってる外人への差別だと思うが。
ダイヤモンドプリンセスなんて「ブルジョワのボヘミアンだろ」って僕の嫌いな司書が言っていた。
結局「島国日本」の人達は変な所に潔癖感がある。
医師に聖職意識を持ってもらうよう奉るよりも、お金を使うべきだ。
なお、動画を上げた教授は実在するし、言っている事は間違ってない。
ハンセン氏病 HIV 鳥インフルエンザ 肝炎ウィルス と言った感染症はその病気よりも差別が問題なのだ。
それが優生保護法に繋がり、想像上のプラン75がある誕生する。
つまり、殖産興業、富国強兵の経済至上主義な島国のアイデンティティなのである。
大概がそうである。
風土病とはそう言う根源である。島国根性は昔からそう言うアイデンティティなのだ。
コーカソイド系はマスクなんてしてない。
多分「何回かパンデミックにはなったろうな」と思うが別に何も気にしなかった。
あの日あの時の出来事を忘れてはいけない。
私たちが日々目にする“情報”は、実はほんの一部にすぎない――。
『フロントライン』は、ダイヤモンド・プリンセス号の裏側で何が起きていたのか、当時の混乱・葛藤・理不尽さを丸裸にするような作品だった。
当時はコロナに対する知識は乏しく、私の勤務先でも目の前の対応で精一杯だった。
クルーズ船の現場は完全な手探り状態。それでも伝令が不十分なまま「上陸させるな」「感染拡大は許さない」といったトップダウンが続き、最前線の人々は矛盾とジレンマに押し潰されそうになりながら、必死に命をつなぎ止めようとしていた。
D-MAT隊員、医師、看護師、船のクルーたち――
彼ら自身も感染リスクに晒され、家族までもが差別や風評被害に苦しめられていたのに、それでも目の前の人を救おうと立ち続ける姿は胸に迫る。
船内でコロナに感染した外国籍男性が運ばれる際。婦人は「行きたいなんて言うんじゃなかった」と漏らす場面や、医師会の突然の撤退など、現場の混乱と孤独感が容赦なく描かれる。
一方で、トラブルを“いい画”として切り取るメディア、感染症対策を最優先とする政治、船内感染率50%という衝撃。その報道を見て、当時の私は自身の家族や職場、限りなく狭いコミュニティーでしかものを見ていなかったことに恥ずかしく感じた。
この有事が、どれほど人間の意思の脆さを露わにしたか思い知らされる。
心に残ったのは、任務を終えて帰宅した医師が妻にかけた「なんかつらいことなかった?」のひと言。自分こそ極限状態を生き抜いてきたのに、それでも家族を気遣うその優しさに、思わず胸が詰まった。
混乱の裏側にあった“人の強さと弱さ”を静かに突きつける作品。温度が高いのに、どこか冷静で、観終わったあと深く考えさせられる一本でした。
エンタメ性は置いて…
DMATの存在、活躍はNHKの新プロジェクトXを見て知っており、スムーズに本作を観ることができた。派手さや無理に感動に持っていこうとする飾りが削ぎ落とされ、非常に好印象、日本では珍しい作りだと思う。ドキュメンタリー+α的な、個性溢れる俳優陣がそのαの部分を好演していた。
次代に残すべき労作
今でも忘れられないダイヤモンド・プリンセス号のコロナ禍の悲劇をDMATの当事者の視点で描いた実話ベースの再現ドラマ、DMATは3.11東北大震災でも活躍した災害医療専門の医療ボランティア的組織、感染症対策は専門外でしたが厚労省からの依頼で出動、主に患者の選別、船から病院までの搬送計画の立案、実施が主務でした。
DMATの対応を命じたのは安倍首相だったようですね、当時、日本には対応する機構が無く、次の危機に備えるべく米疾病対策センター(CDC)にならって日本版CDC、「健康危機管理研究機構」(JIHS、ジース)が2025年、4月4日に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合して発足しました。
当時の報道、家族の困惑などが蘇り辛い映画でしたが製作陣、医療関係者には感謝。歴史的教訓、記録として次代に残すべき労作でした。
〜事件はやはり現場で起こっていた〜
実話を元にした物語。かの忌々しいコロナ禍の始まりを告げた、ダイヤモンド・プリンセス号の中で起きていた出来事をリアルな緊張感と共に描く。
得体の知れない、対処方法もよく分かっていない、ましてや対処すべき体制も整っていない中で、目の前のミッションに様々な立場で向き合っていた関係者たちの苦悩や葛藤も織り交ぜられている。そこには、この緊急事態を面白可笑しく取り上げようとするマスメディアとの対立も描かれている。日常、マスメディアの偏向、恣意的とも取れる報道によって視聴者は惑わされ、更にはSNS全盛期で誰でもどこでも気軽に発信できることから、心無い声も関係者達にぶつけられる姿も描かれる。
払った犠牲は大きいが、パンデミックという100年に一度くらいの頻度でしか経験できないことに触れた現代人が、明日をどう進むか、考えるきっかけにもなる映画である。大袈裟に言うと。
タイトルなし(ネタバレ)
コロナの時こんな感じだったんだな
って思い出させてくれる映画でした。
ただ物語があまりにもだらだら
続く感じがして途中でリタイア🥺
展開があまりないので、
コロナの実話ベースのドキュメンタリーと
してみるのにはいいかもしれないです!
えっ!
船に乗り込んでたのってDMATだったの?感染症専門チームは途中で逃げる?
映画だから演出は有るだろうけど、つい最近の事で関係者は殆ど生きてるだろうから、全くない事を演出しないだろうし。
マスコミは安定のマスゴミ状態。
フランス人は「フランス語喋れるヤツは居ないのか、英語で喋るな」って・・・・言いそう。
動画出した教授も居たねぇ、マスコミはそれに飛びついてたし。
搬送した外国人の通訳を船のスタッフに頼るんか?
何処まで事実で何処から創作なんだろう。
今作を大変面白く観ました。
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっているので短く)
今作の映画『フロントライン』を面白く観ました。
個人的には、新型コロナによる死者は、(日本の人口2.7倍)アメリカが120万人以上、(日本の人口1.2倍)ロシアが40万人、(日本の人口1.0倍)メキシコが33万人、(日本の人口の55%)イギリスが23万人以上などの中で、日本が7万5千人弱しか亡くならなかったのは、日本のマスク手洗いソーシャルディスタンスや緊急事態宣言の徹底によるところも多く、その対応は良かったと思われています。
しかしながら、コロナ禍において善悪の線引きは困難で、コロナ対策で多大な経済的精神的被害を受けた人も多大であり、それぞれの一方的な見方でない、様々な観点から見て行く必要があると思われています。
その意味で今作の映画『フロントライン』もまた、ダイヤモンド・プリンセス号での医療者や乗務員や乗船客やコロナ患者を中心にした視点から描かれた物語と言えます。
ただ、当時流されていた情報とも合致し、一方で片側からの一方的な報道論調に振り回されていたダイヤモンド・プリンセス号内や対応した医療者たちの当事者の心情がリアルに描かれていて、そのリアリティだけで見事な傑作になっていると、個人的にも思われました。
しかし、関根光才 監督や脚本・プロデュースの増本淳プロデューサーが舞台挨拶等で伝えていたように、例えば大手マスコミ側の中央テレビ報道ディレクター・上野舞衣(桜井ユキさん)の描写の一方的断罪でない描き方は、この映画も一つの視点から描かれている意識はあったと感じられました。
だからこそ、多面的で現実感があり、それが作品の質と感銘の深さを今作に与えていたと思われました。
であるので、実際にモデルもいて今作で否定的に描かれていた感染症専門医・六合承太郎(吹越満さん)に対しても、今作の情報だけで断罪するのは、関根光才 監督や増本淳プロデューサーの本意ではないと思われます。
(もちろん、彼に対する批判は関根光才 監督や増本淳プロデューサーや当時の現場の人々の本音だったとしても)
今作の映画『フロントライン』は、DMAT・結城英晴役の小栗旬さんや厚労省・立松信貴役の松坂桃李さんを初めとして、全ての優れた役者陣の演技と合わせて、重厚さとリアリティある内容で、今年の日本映画を代表する傑作の1本であると、個人的にも僭越思われました。
実話ベースの手堅い作品
当時何が起こっていたか、中ではどんな人々がいてどんな人たちが動いていたか知ることができる。
ただ人を救う、だけでは終わらない。人の思い込みや話題に飛びつくマスコミやSNSとの戦いもあってある意味での人間らしさというものが味わえる。
ただコロナに向き合えばいいというだけではないのがより現実的だった。
当時コロナを含め様々なものと戦ってくれた医療関係者には頭が下がる思い。
しかし現実ベースだからこそほかの医療ものと違ってエンタメのような大きな波や派手さはない。
例えば急病患者がいてスーパードクターがお決まりの台詞と共に参上し全て解決、なんていう爽快感はない。
それと一人ひとり過去や事情などが説明されたりするところもないので登場人物たちにも強い思い入れなどが起きない。
エンタメ性はないため淡々と静かに物語が進んでいくような感じ。
故に人によっては映像作品として少々退屈してしまうかもしれない。
しかし実話ベースなので変に話を盛るよりもこちらの方がいいように思う。
観客を煽らない映画
あのときどういうことになっていたかの勉強に、長男長女と3人で鑑賞。パニックが引き起こすスリリングな展開を想定したのが間違いで、そのせいか、かなり淡々としていた印象。もっとシリアスに重く、報道に踊らされる国民の理解のなさを訴えるようにも、あるいはもっとドラマティックにしてあっちとこっちの言い分でバチバチさせて観る側がハラハラドキドキ、とできる題材のはずだが、飄飄とした作品で、何かを突きつけられる、考えさせられるのではなく、最後の窪塚の電話のように、むしろ爽快な気分にさせられる。映画でマスコミを批判することが難しいのだろうが、それにしてもキレがない、とでもいえばよいのだろうか。朗読+映像でも伝わるものは同じではないかと思う。むしろ河内大和が劇団でしているように彼が一人で全台詞のほうが見ごたえ/聞きごたえがあったのでは。あちらこちら(役所、報道メディア、医療機関、学会)への忖度が見え隠れして、あれこれ不満を抱えて映画館を出た。
そう感じたのは、誰目線で語られるか、がはっきりしないからなのかな、と思った。何かしらの立場で語ると別の何かの立場が見えなくなるので仕方がないのだが、しかしそのせいで葛藤が薄っぺらくなっている。報じるか報じないか、どのように報じるか。船にいくかいかないか。水のために離岸するかしないか。家族の辛さの解消を優先するか、患者の治療を優先するか。決まり事を守るか、逸脱するか。感染を怖れて患者の受け入れに反対する医療従事者は小栗が言うように辞めるべきなのか。世間を振り回した暴露動画は削除された、で済まされるのか。検疫官の責任転嫁、乗組員の献身と苦しみ、いいかげんな識者をもっと取り上げてほしかった。
足りない部分は想像力で補えばよいが、想像のほうが実際の映画より魅力的では仕方がない。実際に怒鳴り合い、殴り合いがなかったのかもしれない(最後、滝藤に熱量を感じて映画を観たなと思えた)が、どうにもわたしの日常のほうが盤根錯節しているのでは、と思えるほど物足りなかった。つまり、非日常の世界がそこにはなかった。
松坂の台詞が的を得ていて0.5点。曰く、この映画自体が実話を笠に着て、鑑賞者の「善意や良心につけこんで」表現者としての「責任を回避」しているように感じた。
親しみやすい邦画!
めちゃくちゃよかったです!
私たち世代に刺さる俳優さんたちがずらり!
それだけでわくわくして、お芝居も繊細でコミカルで上手いもんだから、観ていて楽しいし興奮しました!
本当の悪魔は良い人を装って、本当の話しとウソを混ぜて、善意を振りかざしてくる。
現実にも、身近なところでも、社会でも学校でも、小さなサークルでも、そういう人こわいなあ、おるなあと思いながら見てました。
そしてほとんどの人は騙されるから、たまったもんじゃない。
医者が本当に医者か?なんで医療従事者なん?と思うような発言していてびっくりしました。
現実でもそういう医者はいるんでしょうか、こわくなりました。
私もサービス業をしているため、クルーの方たちの対応と周りの人たちの温かさや対応に本当に感動したし泣けました。
当時なんて、パニックの最中だし、今より情報ないし怖かっただろうな、そんな中で医療従事者でもないのに、最高のサービスおもてなししていて、彼女たちは本物のヒーローだなぁと感動しました。
あの時の日本は、いろんな人が動いて、見放す人、見離さず諦めず、最前線で戦い続けた人たちいろんな人たちがいて、動いてくださったんだなぁと感動しました。
言葉ではないもの
コロナ流行前の日本で起こった豪華客船でのコロナウイルス発生により引き起こされる未曾有の有事。
船内船外、それぞれで引き起こされる人間模様を災害救助隊のメンバーを中心に何をし、何をしなかったのかを人間として描く。そして船内の切迫したやり取りは実際を彷彿させものを感じた。
この緊迫感と同時に、この様な活動を行う医師看護師の姿を通して人を助ける一歩を踏み出す勇気を持ちたいと、思わせてくれる作品だと思う。
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