フロントラインのレビュー・感想・評価
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身につまされる思い
いい映画だった。
見ている間ずっと当時のことを考えてしまった。
この事案が起きたころはまだ日本人のコロナに対する意識は低かった。
当時はまだ新型コロナ自体の性質が分かっていなかったため検査や治療体制が確立していなかった。関係国の責任の所在もあいまいで乗客が船内に長期間隔離される事態となった。
海外では多数の死者が出始めていると聞いていたが、日本人(の一般人)の多くは本格的な危機感をまだ持っていなかった。
それまではPCR検査、コロナ陽性、濃厚接触者なんていう聞きなれない言葉に踊らされ知識もないのに怖がったりしているだけだった。
「感染すると致死率50%」「コロナは熱に弱いらしい」「紫外線に弱いらしい」「夏になったら消える」 根拠の薄い情報に一喜一憂する日々だった。
クルーズ船の事案についても映画でもあったように連日報道されるマスコミの情報は政府や対応に当たっている関係者に対する批判的、揶揄するものが多く、そしてそれを見ていた私も「何をトロトロやってるのかねえ」と呆れていた。今思うと本当に恥ずかしい。謝りたいです。
もちろんこれは映画であり事実に基づくと言っても多少の脚色はあるだろう。
でも現場で事に当たっていた方々は未知のウィルスに命を懸けて戦っていたのは確かなのだ。今更ながら感謝したいと思います。
まだコロナの記憶も新しいこの時期にすべての国民にこの映画を見てもらいたい、そしてこういうことがあったことを思いだしてもらいたい。
そして今後また新しい危機が訪れたときに我々がどういう行動をすればいいか自分なりに考えてくれることを望みます。
映画自体の評論を全くしてないことに気付きました笑
いや今回はいいでしょう。ケチをつける気になりません。
キャストの皆さんみんな良かったです。
恐怖の新型ウィルスの拡大は、このクルーズ船から始まった。 そしてそれに挑んだ医療チームとその指揮をとった4人の男たち。
コロナ禍のプロローグ
人道的に正しいこと
まだ記憶に新しい出来事(実話)が題材だから、行かなきゃなぁという気分で劇場に向かった者です。
想像の10倍見ごたえがありました。最初から最後まで緊迫感が続きました。
本来の専門職ではないのに、危険なウィルスと闘う最前線に立つことになったチームが、無責任なマスコミやネットの誹謗中傷にさらされながらも「人道的に正しいと信じること」のために体を張る姿に胸を打たれました。
思えば2020年にダイヤモンドプリンセス号の報道をテレビ他でみていた頃、私は日本に映画「アウトブレイク」に出てくるような感染症の専門チーム(システム?)がないことがショックでした。日本って一流国じゃないんだ…と、とっても残念だったような記憶があります。客船の状況も、ちゃんとした対処ができてるようなできてないような、よくわからない報道で、「なにやってんねん」「さっさと隔離して治療したらいいのに」と、書き込みはしなくても家族で話したりしていました。こんなにがんばっている人達のことも想像できず、ひどい言いぐさだったなと、自分が情けないです。
こうしてまだ当時の記憶があるうちに、この映画が公開されて良かったです。安全圏で気楽に文句を言うだけでなく、危機的状況の現場で闘う人達を、辛くてしんどくて投げ出したいのをこらえて人道的に正しいことをやろうとがんばる人達を、思いやって応援できる人間になりたいなと思いました。
只々、頭が下がる作品。災害時のリーダーは、人間力が問われるというメッセージ
想像していた以上に、優秀なリーダーが集まって、知恵を使って
最大の災害を乗り越えていったのだな、と思える作品でした。
DMATは、災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームで
ありますが、ウィルス対策については、対象外でした。
つまり本来業務ではないのに、災害の現場に放り込まれた人たち(チーム)です。
人は、本来業務ではないのであれば、その仕事を忌避しますし、モチベーションも
保てません。
しかし、このリーダー達は、人間本来としてどうすべきか、と原点に返って
一つ一つの仕事を吟味して、対応していきます。
しかも、その一つ一つの仕事の難易度は、非常に高く、また、その判断に対して
強い反対がでてくる内容です。
それなのに、その場にいて、業務を全うする。そこに、頭が下がります。
指揮するリーダーも、現場のリーダーも、厚労省のリーダーも、同じベクトルに向かって
やれることを最大限に実施していきます。
そんな中、際立つのが、マスコミの悪さです。このDMATの足を最大限に引っ張っていきます。今回の作品は、事実に基づいた作品とのことですので、実際の現場でも、マスコミは
相当足を引っ張っていったのだなと、強く思いました。
災害時を何とか切り抜けようとするDMATと、それを最大限に知恵を使って
妨害していくマスコミ、本当にこんなにマスコミって悪かったのですかね。
優秀なリーダーとスタッフ、DMATって本当にすごいですね。
未知の脅威
知らなくてはいけない事実
振り返り、考えさせられた
ダイヤモンドプリンセス号のコロナ罹患患者の治療、支援にあたったDMATについて描いた映画。
当時の騒ぎを思い出しながら鑑賞した。池松氏が演じるDMAT隊員や看護師、現場の医療職にリアリティがあり良かった。医療現場では、目の前の患者さんの人命救助が第一であること。正義を振りかざし、正義を実行することを一義とする専門家やそれに影響される人々など、そうそう、そうだったよね、と大いに共感した。
現場では、名もなき大勢の人たちが、自分の持ち場で責任感を持って役割を果たしてくれているからこそ、物事がスムーズに進む。スムーズにいかない時に、できないことを責めるが、大切なのは、現場を守ってくださっている人がいることを想像し、感謝できる心もちではないだろうか。
もちろん、より良い現場にするための批判や議論は必要だけれど。
と、色々と考えさせられます。
観ることで、立ち止まり、考える契機を与えてくれる映画でした。
まさかこのような形で反論するとは
SNSでの評判が良かったので鑑賞。「よくぞここまで描いてくれた」に尽きます。
まず、本来は出動する必要が無いDMAT隊員たちの覚悟と現場の熾烈さがきちんと描かれており、船内という閉ざされた空間で、できる限りのことを行っていたことがよくわかります。
対して、マスコミは煽り、専門家は茶々を入れ、病院は受け入れを拒否し、市井の人は差別をしました。まさかこのような形で反論するとは、現実の複線回収なら凄すぎます。なお、某YouTuberにはよほど頭きたのでしょう笑
(エンドロールで、出典として実名出ちゃいました笑)
人間、大人になると「あの時は申し訳ございませんでした」の一言が言えなくなってしまうのですね。「あの時はしかたがなかった」なんて言い訳は聞きたくないです。
「これが真実」と言われると、安易に信じて熱狂する観客たち
同じコロナ禍のダイヤモンド・プリンセス号を舞台にした話なのに、HBOのドキュメンタリー『ラスト・クルーズ』とはかなり印象が異なった。
率直に言って、本作の内容が真実とは思えなかった。
本作は関係者への取材に基づき、「DMATの人々がひどく報道されているのが許せないから、本当の姿を知ってもらいたい」という動機から制作されたようだ。
この話を聞いて兵庫県知事選を思い出した。
「通訳」や「自死しようとする外国人女性」といった描写には「本当なのだろうか?」と疑問が拭えない。
仮に「自死しようとする外国人女性」が真実だったとしても、それを物語に組み込むのは品位に欠けるように感じた。
『ラスト・クルーズ』で描かれていた「外国人労働者に対して適切な感染対策がなされていなかった件」が本作では割愛されていたのも不信感を抱く要因。
この映画ではマスコミの製作陣が極悪に描かれているが、マスコミの中にも「医療従事者を差別するのはやめよう」と訴えていた人がいたように思う。
そういった視点を描かないのは、それこそ「切り取り」ではないか。
この映画の内容が真実かどうかはおいておいても、個人的には人間が多面的に描かれている作品を好むため、「DMATは正義、マスコミは悪」といった単純な構図も、この映画を好きになれない理由。
たしかにコロナ対応にあたった医療関係者を差別するのはひどいことだと思うが、中国以外では初めて集団感染を引き起こしてしまったのは事実である。
差別問題とは別に反省すべき点はあるはずなのに、問題点を指摘した感染症対策専門の教授を鼻で笑うような場面は不快だった。
愛ある仕事をするカッコ良さに痺れました!
過酷な現場の話だからこの第一声はどうかと思うけど‥とにかく、自分の仕事をする男たちがカッコいい!!カッコ良すぎる!
事態がよくわからず我が身の不安や疑念が先行する周囲とも戦いながら、現場のプロフェッショナルたちが、大事にするべきこと、優先すべきことに真摯に向かい合っていたんだなと、感動しました ドラマ的だと、厚労省の人間なんかはフロントラインでさえ医者や乗船客をないがしろにしてお役所的な立場に立ちそうだけど、松坂桃李は、本当の意味で自分の職務を全うしようとする人で、仕事に人に愛があった
小栗旬と松坂桃李の関係性、あの立場の違いで信頼し合えているかんじ、そこがとても嬉しくて胸熱でした
そして窪塚洋介のかっこいいこと!
逆に、現場で戦ってる人の日常、家族が、心なく冷たい仕打ちに脅かされるのに憤りをかんじて、なんだか非常時の人間の両極端を見せられた気がしました
いろいろ感動したけど、しつこいですけど愛ある仕事をする人たちのカッコ良さに痺れました!
真実は現場にある、でも
冒頭、誰もいない長い長い廊下を進むと、客室からストレッチャーで運び出される乗客の姿。
同行する乗員の女性が操作すると大きなハッチが開き、夜の海で巡視船が接近しているのがわかる。
彼女は着けていたマスクを顎にズラし、束の間の外気を大きく吸い込む。
そしてカメラは彼女の横をすり抜け、ハッチから外に出て、高度を上げながら徐々にその巨大な客船の全容を映し出す。
まずこのワンカットの映像でワクワクが止まらない。
はい、もう最高。
ただ、物語はそんなに単純なものではなかった。
この当時私自身、新型のウィルスというものに興味も危機感もほとんど持っていなかった。
もちろんこの映画にはこの映画を作品として成立させるための解釈や演出が施されていて、あの事件において、マスコミが常に悪であり、「DMAT」がすべて正しかったと信じるのはまた危険なことだということを自覚した上で、私のあの事件についての認識は、作中でまさにあのTV局が報じた情報によるものがほぼすべてだった。
当時の私は、朝のワイドショーを仕事の支度がてら横目で見ながら「寄せ集めの医療チームがパニックになって後手後手踏んでるんだろうな」くらいに思っていたことを思うと、ここで登場するテレビマンたちの放送する先にはまさに私という視聴者がいる。
乗客の引き受け先を善意で申し出た藤田医科大は、私のかつて勤めた地区にあり、仕事柄馴染みの深い場所でもあるのに、この経緯をほぼ私は覚えていなかった。
それなのに、あのすぐに船を下ろされたという医療従事者の上げたYouTubeの動画のことはよく覚えている。
そう。
マスコミが煽るニュースのみを娯楽混じりになんとなく咀嚼していた自分。
私が作中に「自分」を自覚されられたことが、この映画における最大のリアルだった。
いろいろな映画作品を観る中で、私は「圧倒的不利な状況、半ば敗北がほぼ確定している環境において、それでも自分の仕事・役目をまっとうしようとする人々の姿」というヤツに滅法弱い。
この作品はまさに私のそのツボに刺さりまくったおかげで、上映時間の1/3はずっとウルウルしてたと思う。
そして最後。船内での対応が終わり、池松壮亮演ずる隊員がようやく家に帰って奥さんにかけた言葉。
これだけ危険で十分な報酬もないような理不尽な仕事に、自らの生命の危険を晒したら、おそらく私の帰宅第一声は、その愚痴か「大変だったよ」だろう。家庭に戻った時くらい、感謝や労いの言葉が欲しいのは当たり前の感情だ。
しかし、彼自身が船内で未知のウィルス、そして社会を取り巻く偏見や誤解という大きな敵と闘っている間、その家族もまた、周りからの差別と闘っていた。
それを察した彼が発した第一声。
「何か辛いことはなかった?」
思わず涙がこぼれるのを止められなかった。
登場する人物たちも、決してスーパーヒーローではなく、毅然と現実に向き合い最善の策を講じながら、それでも悩み苦しみ、もがいている。
エンドロールで、取材した事実と作中の演出には改編があることを但し書きとして表しているのも作り手の誠実さとして伝わった。
印象的なシーンは本当に数多い。
船内の乗客が、対応する医療チームや客船の搭乗クルーに対して感謝のメッセージを貼り出しているシーン。
重篤になった夫を下ろしたことで、残された家族の不安を取り除くために医療チームに掛け合う乗員。
言葉の壁を取り除くために、この一件においては医療従事者だけでなく、船の乗員たちが最後まで協力していたことも描かれている。
繰り返しになるが、この映画を成立させるためのバイアスは必ずある。
マスコミを対立軸に置いた分、この作品にTV局の協賛はない(TVやラジオでも、これだけ有名俳優を並べた作品なのにその紹介はあまり見かけない)。
逆に言えば、今回制作や取材に協力してくれた人々や組織を作中でむやみに悪く描くことはできないということ。
我々視聴者は、いろいろな側面から情報を得て、考えることをしなければ、核心には近付くことはできない。
この作品だけを見て「やっぱりTVは『マスゴミ』だ」と評するのは間違っている。
そういう短絡的な思い込みは、まさに今、都議選や参院選を前にマスコミとSNSの対立でさらに激化している現実も見誤ることになりかねない。
マスコミ各社の報道が、制作者やスポンサー、視聴率という偏向されやすいごく少数の意向によって構成されている一方で、SNSには大量の間違いやデマや利益誘導が紛れ込んでいる。
この作品が、現場で献身的に働く人々を称賛し心から感謝を伝えるための映画であることに加えて、我々には「正しく見るための目と耳と考える頭」が必要なんだ。
試された対応
この映画は観るか観まいか悩んでいた
それはこれらの緊急事態に対応できるかは自分自身も心許なく、先ず自分自身が咀嚼出来ていない状況を追体験することをおっくうに感じたからに他ならない
映画は真摯にクルーズ船の状況を追いかける形で、感情移入出来る余地は極力排除してある
唯一例外はアメリカ人夫婦のエピソードであるし、両親が感染し兄弟のみが船に残り助け合うエピソード位なのかな?
これに反して硬直化した制度や縄張り意識に対しての考察は、この現場にしてかなり比重をさいて盛り込まれていてポイントは高い
制度も医療も人を助けるという原点から、乗り越えようという気概がテーマだし、これから生きていくためへの羅針盤になるべき映画だった
よい映画を上映して下さってありがとうございました。
5年間を振り返りながらも泣ける
窪塚かっけ〜!
見えるもの聞こえてくることの裏側にあること
彼らの使命感にただただ感動した
2020年から始まったコロナ禍。日本での始まりはダイヤモンド・プリンセス号だった。今から5年前の物語。すでにそこそこ過去のようにも感じるが、まだ5年前とも感じる。
医療ボランティア組織のDMATを中心に描かれた脚本がいい。どこも引き受けてくれないからDMATに依頼が来たという流れ。彼らは業務で来ているわけではない。あくまで医療関係者として必要だと思う行動をとっただけだ。しかも役人たちが持ち込むルールと法律に制限されることになる。それでも彼らはブレない。行動原理が確かだから。
メインビジュアルに使われている4人の俳優がとにかく素晴らしい。特に現場で指揮を執る仙道を演じる窪塚洋介がよかった。ちょっとふざけたような態度なのに使命感がめちゃめちゃ強い。小栗旬演じる結城との関係性もいい。そこに松坂桃李演じる厚労省の立松が絡んでくる。役人らしからぬ柔軟性と押しの強さ、そして仕事が早いところにシビレた。
実はちょっとチープな話になっているんじゃないかと観ることを迷っていた。観ることになったのもスケジュール的にちょうどよかったから。でも、こんな熱い思いを抱えた彼らの奮闘に感動しないわけがなかった。いや、ここで泣かせます!みたいなシーンがあるわけではない(泣かせるシーンがあったと感じた人もいるかもしれないが)。ちょっとした彼らの言葉にいつの間にか頬を濡らしてしまった。DMAT隊員が受けた風評被害的なものは、その後日本全土の医療関係者が受けることになる。そんな理不尽さを思い出しながら、彼らを含めた医療従事者へのリスペクトを強く持たないとなと改めて思う。
最優先は患者の命を救うこと
2020年、ダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナ集団感染は、今もなお記憶に新しく、わざわざ映画で見る程でもないかもと思っていたが、鑑賞後は本当に見て良かったと思う。
感染症の専門ではないDMATが対応にあたったこと、切迫した状況でも隊員やクルーは逃げずに一人でも多くの命を救おうとしたこと、コロナによる差別やマスコミによる偏見報道など、この映画を見なければ知らなかったことがたくさんあった。
当時最前線で対応したDMATの方々に最大限の敬意を払うと共に、今後未知のウイルスが国内に来たとき、今回のような偏見や差別が起きないよう、さまざまな情報を鵜呑みにせず、自分で調べることも重要だなと感じた。
あと余談ですが、滝藤賢一さんの役どころが「見える子ちゃん」に引き続き泣かされました。
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