フロントラインのレビュー・感想・評価
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未来はわたしたちの「善意」で守れるかもしれない
2020年春。
あの日、連日ニュースで報道された「ダイヤモンド・プリンセス」の名。
見えないウイルス、未知の恐怖、混乱と情報の嵐──
その“内側”で命の最前線に立ち続けた人々がいたことを、私たちはどれだけ知っていただろうか。
映画『フロントライン』は、
日本で最初の集団感染が発生した豪華客船を舞台に、医療ボランティア組織「DMAT」の奮闘を、事実に基づきながらもオリジナル脚本で描いた、“記録”であり、“祈り”であり、“証言”のような映画です。
主演の小栗旬さんをはじめ、松坂桃李さん、池松壮亮さん、窪塚洋介さんと豪華キャストがそろい、特に久しぶりにスクリーンでしっかりと拝見した窪塚洋介さんの存在感には胸を打たれました。誰か一人が特別に立ちすぎているということもなく、それぞれの役者さんが、自分の“仕事”に誠実に取り組んでいる姿が伝わってきて、観ている私たちは物語そのものに集中できました。
正義や正解が見えない中、それでも前に進もうとする人たちの姿に、2時間という時間があっという間に感じられました。
2020年、豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」に突如持ち込まれた未知のウイルス。閉ざされた海の上で、混乱、恐怖、そして絶望が渦巻く中、最前線で立ち向かったのは、
我々と同じ、日常を持つ“普通の人々でした。
DMAT指揮官・結城(小栗旬)、厚労省の立松(松坂桃李)、現場に踏み込んだ医師の真田(池松壮亮)と仙道(窪塚洋介)、そして若き船内クルー羽鳥(森七菜)たち──
彼らに共通していたのは、
「目の前の命を救いたい」という静かで強い想いでした。どんなマニュアルにも書かれていない“人としてどうあるべきか”という問いに、それぞれの立場で、彼らは必死に答えを探し続けました。
あのパンデミックで、私たちは思い知りました。
食べること、眠ること、働くこと、学ぶこと、笑うこと──
当たり前の日常なんて、この世には存在しなかったということを。
それらすべてが、奇跡のように
誰かの働きや善意のうえに成り立っていたのだと。
医療者、食の現場、行政、報道──
あらゆる立場の“誰か”の懸命な行動が、誰かの命をつなぐ「盾」になっていたことに、改めて気づかされたのです。
はじめに立ち上がったのは、
たったひと握りの心ある人たち。
彼らの「利他の心」と「勇気ある行動」が、やがて周囲を動かし、私たちを救ってくれたのです。
希望とは、きっとヒーローなんかじゃない。希望とは、特別なスーツも、魔法もいらない。ただ「誰かのために」動くという、シンプルで力強い行動のこと。
それはいつだって、
一人ひとりの中にある「善意のかたち」をしている。
未曾有のパンデミックを体験した私たちにとって、
変わったのは、“人々の意識”であり
変わらなかったのは、“人としての本質”だと信じさせてくれる、静かで熱い作品です。
災害が多いこの国で、
日々、自分ではない“誰か”の命を最優先に考えて行動する人たちがいるということ。それはとても恵まれた事実であり、私たちが誇るべき日本の強さでもあります。
けれど、この作品はただ彼らを称えるためだけの映画ではありません。これは終わった過去の物語ではなく、日常の中の“続き”のひとコマ。
次に災害が起こったとき──
「あなたなら、どう行動する?」
そう、静かに、でも確かに問いかけてくるのです。
医者でなくても、官僚でなくても、
ただの“わたし”にも、できることがある。
たとえば、誰かを思いやる「小さな善意」
たとえば、学び、備えるという「意識」
それは、未来の私たちを守る「防護服」になるかもしれない。
「事実は小説より奇なり」──
この映画は、誰もが知っていて、誰もが体験した現実に基づいてつくられています。
だからこそ、誰の心にも静かに届く“本当の力”を持っています。
もしかしたら、
この映画を観ることこそが、
「善意の一歩」なのかもしれません。
どなたのココロにも届く
ぜひ、観ておきたい一本です🧐
私にこの真実を教えてくれてありがとう
この作品は、5年前、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した、豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」のニュースを見た全ての人々が、当事者の視点で見ることができる作品だ。
過去様々な事件や歴史の『事実に基づいた作品』を見てきたけれど、自分が当事者となって見ることができる作品を見るのは生まれて初めてだった。それだけに感じるものがとても多く、衝撃が大きかった。
TVニュースに映る横浜港の豪華客船を見ていたあの日、その内部でこんなに複雑で困難なことが繰り広げられていたなんて、当時の私は全く知らなかった。知らないのをいいことに「なんでこんなに時間がかかっているんだろう」とすら思っていたように思う。そんな無知な自分が今は恥ずかしい。
私はどこかで、こういう誰もがやりたがらないことを、誰かがやらなければならない時、行動してくれる人がいることを軽く思ってしまっていたのかもしれない。
彼らのような名もなき人々によって、私たちの日常の平和はいつも守られていることを絶対忘れてはいけないと強く思った。
今後も、コロナや東日本大震災の津波、福島の原発事故のように、誰も経験したことのない危機が突然私たちを襲うかもしれない。そんなときに、疑い合ったり責め合ったりするのではなく、信じ合い、支え合える社会を築くためにも、この作品を通して“知らなかった自分”に気づき、心を動かされる人が一人でも多く増えてほしいと思った。
実話ベースの社会派映画、日本でももっと増えるといい
本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。
まず、「実話に基づく劇映画を、事象の発生からわずか5年余りで公開までこぎつけたことも、邦画界では異例の快挙」と書き、このタイプの映画がなかなか実現しない理由を「政治家や役人や大企業に忖度しがちな日本では往々にして、事故や事件が重大であればあるほど各方面への配慮や調整で長い年月を費やしたり、そもそも関係者の了解や必要な資金が得られず企画が頓挫したり」と説明した。これに付け加えると、医師、厚労省官僚、乗員といった主要な登場人物らの大部分を苦難に立ち向かうヒーローとして肯定的に描いたことも、関係者らから了解と支持を早期に得られた一因だろう。
これまで、実話ベースで社会派の邦画を比較的タイムリーに作るのは、製作・配給を手がけるスターサンズの独壇場というイメージがあった。松坂桃李がやはり官僚役だった「新聞記者」をはじめ、相模原障害者施設殺傷事件に着想を得た小説を映画化した「月」、ドキュメンタリーでも政治の問題に切り込んだ「パンケーキを毒見する」「妖怪の孫」などが挙げられる。一方、今作「フロントライン」、そしてNetflix配信ドラマ「THE DAYS」を手がけた増本淳プロデューサー(元フジテレビ所属、現在はフリー)のラインが確立してきたようで、こうした流れがさらに広がるといい。
また、評論では「ラスト・クルーズ」と「COVID-19 2つの大国の過ち」のドキュメンタリー2本についても触れた(これらはU-NEXTで配信中)。後者によると、武漢の当局が2019年12月の時点で未知のウイルスに感染した患者が大勢出ているのを把握しながら、めでたい国家的行事である1月6日~18日の人民代表大会が終わるまでこの事実を伏せ、20日になってようやく人同士の感染が確認されたと報告したという。もし中国の当局が早期に事実を公表し、各国に警戒と協力を真摯に求めていたら、ダイヤモンド・プリンセス号が香港で乗客を無防備なまま降ろすことはなかっただろうし、クルーズ中大勢の乗客たちが交流するイベントも自粛していたかもしれず、つまりは集団感染を防げた可能性があったのだ。
いろいろ理不尽なこと、腹立たしいこともあるが、前例のない災害、とてつもなく困難な異常事態に、不屈の精神と柔軟な対応力で最前線に立つ彼ら、彼女らのような存在がいることは大いなる希望であり、大勢の心の支えにもなるだろう。
今だからこそ知っておきたい「あの時に何が起こっていたのか?」。「常識との乖離の大きさ」に面白さがある!
本作は、2020年2月に日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を舞台とした社会派実話映画です。
この事態が発生した後、まさに世界経済が大混乱に陥った新型コロナの脅威が増していきます。
連日大きなニュースになっていた日本の「あの時」を時系列を追いながら、医者、患者、マスコミ、行政など様々な視点を組み合わせて、実話に基づき分かりやすく提示しています。
誰もが未経験だった事態の中で生まれた大混乱から早くも5年が経過しました。
本作の最大の面白さは「常識との乖離の大きさ」にあるので当時のニュースをどこまで覚えているのかで満足度が異なるのかもしれません。
ただ、「あの時」を巻き戻して丁寧に描けているので、あまり当時を覚えていなくても問題ないでしょう。
次に何か大きな危機が起こった際に、私たちが冷静に考察・行動できる羅針盤のようなものが描かれているので今後にも役立ちそうな意欲作です。
素晴らしい!!!
“未知”への恐怖 ー 憎っくき...
人の温かさを感じた
観るのでさえ辛い内容。
危機管理・感染予防・自己管理(自己免疫力)の徹底。
その絶対的な必要が理解できる位置付けの作品。
もう観ている間、息苦しい、まるで首を絞められているような、痛みのような息苦しさが消えなかった。
内容は想定内だが、医療従事者・客船クルーなど縁の下の力持ちの方々に感謝しかない。
人の助けや思いで我々は生かされている。
僕は小児ぜんそくを水泳で克服したが、風邪をひきやすく花粉の季節と秋冬はマスクをすると楽に過ごせるので、
神経質にマスクをする。
本作は(エンドロールに字幕説明があったが)マスクをしていない方々を観ると、
マスクマスク!手洗い!消毒!と気が気ではなかった。
ココは日本、アメリカではない、顔が分からない、より感染予防マスク大切!である。
本作は注意喚起映画としても重要作、なのかも知れない。
俳優さん達は、この人といったらこういう役、のまんまでしたね。
マスゴミ私欲主義に光石研さん。
改心できる桜井ユキさん(そういう役ばかり?)。
困ったチャン、矢吹満さん。
イケメン達(森七菜さんも)はいいヤツ。
適材適所でした。
パンデミック映画としてトラウマになったのが『アウトブレイク』。
SARS前に香港で(アメリカ公開時期に)観た。
皮肉である。
私には無理でした
事実だからこそ
名も無きヒーロー
森七菜
未知のウィルスとの闘い
小栗旬さんと窪塚洋介さんと松坂桃李さん池松壮亮さん好演。
人命救助のため、何を一番優先すべきかを常に考え、周りがどう言おうが正義を貫く姿勢に心打たれました。
今もまだコロナが根絶されたわけではないが、日本に上陸した初期の段階では特に得体が知れない恐怖の中、勇敢に、心ある対応をされた医療従事者や客船のスタッフの方々に頭が下がる気持ちです。
実話であり当事者の方がいる以上、安易によかったという感想は言えないけれど、実際に現場で治療や介助を行った全ての方に敬意を表します。
医療従事者の方々に感謝
医療従事者の方々にあらためて心から感謝を込めて。
ダイヤモンド・プリンセス号でのコロナ集団感染から、もう5年も経ったのかと思うし、まだ5年しか経ってないのかとも思います。
その間家族が罹患したものの一度は完全隔離に成功したにもかかわらず、半年後には別のルートから私自身も罹患してしまいました。好きだった志村けんさんや岡江久美子さん、また身近な人にもコロナの犠牲となった方は出てしまいました。当時毎日都道府県ごとに感染者数が発表されたり、マスクの買い占めが起こったり、マスクどころかフェースガードまでして仕事をしていた時期もあったりして、目に見えない小さなウイルスに世界がここまで苦しめられるものかと脅威を感じると同時に腹立たしさを感じたことを思い出します。その新型コロナも2年前には2類感染症から5類に移行されましたが、いろいろな部分で世の中も大きく変わりました。
「やれることは全部やる」DMAT、未知の病気による恐怖に対してただただ命を守るために自らを賭して立ち向かう人たち、それを支える家族や役人、船内クルーの皆さん、それぞれの立場のそれぞれのひたむきさ、一生懸命さに何度も静かに涙がこみ上げました。
私も医療に一部関わる仕事に携わっている関係で、当時お得意先から勧められて劇中の六合教授のモデルとなったであろう医師の書いた著書を読みました。「安心と安全は似ているようで全然違う。安心では感染は防げない」みたいな内容が印象に残っておりそれは間違ってはいないと思っていますが、本作を観て情報や時間や人的余裕などあらゆることに制限がかかっている中で実際はそんなこと言ってられる状況でなかったこともすごく理解できました。
映画だけに脚色はあるにせよ乗客の方も本当に気の毒だったと思いますし、DMATはもちろん自分や家族も助けていただいた身としてコロナだけにかかわらず、あらためて医療従事者の皆さんに心からの感謝が湧いてくる映画です。
余談ですが、窪塚洋介さんを久々に見て、やっぱり存在感があってカッコ良い俳優さんだなと再確認しました。
勇気ある初期活動メンバー
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