劇場公開日 2025年6月13日

「記録物としては意義がある。エンターテイメントとしてはもっとできたのではないか。」フロントライン ycoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 記録物としては意義がある。エンターテイメントとしてはもっとできたのではないか。

2025年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

まず、キャストが豪華すぎてたまげた。
こんなに主役級ばかり集めて、逆に個性がぶつかったりあるいは抑え合ったりしてしまわないだろうかとも危惧した。
が、さすがの若き名優たち。そんなことは全くなく、それぞれが存在感をしっかり放しつつも全員で「一つの物語」を作り上げていた。ぶつかったり抑えるどころか「やりやすかった」であろうことがうかがえた。安心してやりたい通りの芝居をしていると感じた。

作品と全体としてはフィクションとはいえ事実に基づいたものであり、「実際にあった出来事を伝えなければ」という使命感が感じられる。「事実を極力色眼鏡無しで伝えたい」という方針であったのだろう。故に、常に新しい危機的状況に直面するようなシチュエーションでありながら派手な演出はなく淡々と物語は進んでいく。まるでドキュメンタリーのよう…

だが、正直ドキュメンタリーほど臨場感は感じられず、フィクションとしての物語性は弱いように感じた。
限られた時間とキャストの中で、実際におこったありとあらゆる出来事を、「伝えなければ」の一心で詰め込んだがゆえにダイジェストのようになってしまい、見終わったときの感慨が浅くなってしまった。感傷的にはしたくなかったのかもしれないが、この俳優陣をもってしてこれでは物足りない。もっと様々な表情を見せることができたはずだ。群像劇の一つ一つをもう少し深堀りするか、核となる物語を絞ったほうがよかったと感じる。「タイタニック」まではいかなくとももっと「面白味」がほしかった。面白いとは軽薄さではなく、「心に響かせるもの」がほしかったということだ。結局のところそれがないと記憶に残らないし、その感動を他の人に伝えたいとも思えないからだ。

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yco
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