「今作を大変面白く観ました。」フロントライン komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
今作を大変面白く観ました。
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっているので短く)
今作の映画『フロントライン』を面白く観ました。
個人的には、新型コロナによる死者は、(日本の人口2.7倍)アメリカが120万人以上、(日本の人口1.2倍)ロシアが40万人、(日本の人口1.0倍)メキシコが33万人、(日本の人口の55%)イギリスが23万人以上などの中で、日本が7万5千人弱しか亡くならなかったのは、日本のマスク手洗いソーシャルディスタンスや緊急事態宣言の徹底によるところも多く、その対応は良かったと思われています。
しかしながら、コロナ禍において善悪の線引きは困難で、コロナ対策で多大な経済的精神的被害を受けた人も多大であり、それぞれの一方的な見方でない、様々な観点から見て行く必要があると思われています。
その意味で今作の映画『フロントライン』もまた、ダイヤモンド・プリンセス号での医療者や乗務員や乗船客やコロナ患者を中心にした視点から描かれた物語と言えます。
ただ、当時流されていた情報とも合致し、一方で片側からの一方的な報道論調に振り回されていたダイヤモンド・プリンセス号内や対応した医療者たちの当事者の心情がリアルに描かれていて、そのリアリティだけで見事な傑作になっていると、個人的にも思われました。
しかし、関根光才 監督や脚本・プロデュースの増本淳プロデューサーが舞台挨拶等で伝えていたように、例えば大手マスコミ側の中央テレビ報道ディレクター・上野舞衣(桜井ユキさん)の描写の一方的断罪でない描き方は、この映画も一つの視点から描かれている意識はあったと感じられました。
だからこそ、多面的で現実感があり、それが作品の質と感銘の深さを今作に与えていたと思われました。
であるので、実際にモデルもいて今作で否定的に描かれていた感染症専門医・六合承太郎(吹越満さん)に対しても、今作の情報だけで断罪するのは、関根光才 監督や増本淳プロデューサーの本意ではないと思われます。
(もちろん、彼に対する批判は関根光才 監督や増本淳プロデューサーや当時の現場の人々の本音だったとしても)
今作の映画『フロントライン』は、DMAT・結城英晴役の小栗旬さんや厚労省・立松信貴役の松坂桃李さんを初めとして、全ての優れた役者陣の演技と合わせて、重厚さとリアリティある内容で、今年の日本映画を代表する傑作の1本であると、個人的にも僭越思われました。
