「日本人として鑑賞する義務がある」フロントライン 映画で感性磨くMANさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人として鑑賞する義務がある
コロナウイルスが未知のウイルスと言われていた時期に、恐怖と隣り合わせの中、クルーズ船内の閉鎖空間の中で最前線で医療活動をしたDMATの姿を描いた作品。
鑑賞前はDMAT vs コロナウイルスという構成が物語の中心だと思っていたが、実際はDMAT vs メディアという構成になっていた。
どんな時も現場で頑張っている人達の揚げ足を取り、都合の良いところだけ切り取って報道するメディア。その偏った情報のせいで世論から圧力を受ける現場。
その圧力とも戦っていたDMATの姿を、内面的な部分を重要視して描いた今作を、是非とも日本人全員に鑑賞して欲しい。
外から都合良く意見を言うのは誰にでも出来るし、責任が無いからこそ好き勝手な事を言える。しかし、現場では正論だけでは片付けられない事が次から次へと起こり、それを事細かく説明、説得していたら何も進まない。コロナというまだ対処法も分からず、マニュアルも無いな中で最善の選択をして来た彼らの行動を観て、いかに我々がメディア、マスコミの手のひらで踊らされていたが良く分かるようになっていた。
俳優達の演技も素晴らしかった。実力派揃いのキャスティングで、彼らの演技が現場の壮絶感をリアルに生々しく描ききれていたと思う。
演出としても一つの事案を長々と描き過ぎずに、テンポ良く展開していくシナリオはダレること無く、常に緊迫感を得られる内容になっていた。