劇場公開日 2025年6月13日

「2時間でまとめるのが難しい題材」フロントライン PASATOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 2時間でまとめるのが難しい題材

2025年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「船旅への期待に満ちたたくさんの乗客を乗せてクルーズ船は横浜を離れる。
快適なクルーズが続く中、一人の乗客がひどい肺炎にかかり香港で下船した。
その時は誰もこれがこれから起こる悲惨な戦いの幕開けだとは誰も気づかない。
それが原因不明の新型コロナであることが分かったのはまさに横浜を目前とした洋上だった。
すでに、風邪の症状を示す乗客が少なからず発生していた。」

みたいな冒頭のシーンで始まるかと思ったらそういうのは一切なかった。
この辺の経緯はみんな知ってるという前提で作られているのかも。

あの時いろんなことが起きていた中で切り取っていくとしたらココなんだろうなというまとめ方だった。
逆に言うと、違う視点での深堀したストーリーを見てみたいとも思った。
やっぱり2時間でまとめるには重すぎて、どう切り取っても総花的になってしまう。

配役は豪華で適役だった。
特にフロントクルー役の森七菜と若い医師役の池松 壮亮の素人ぽい演技がむしろリアリティを出していた。
この二人の演技はこれまでの私の中のイマイチなイメージを払拭してくれた。
一方、船長などのクルーズ船側のスタッフがほぼ出てこないのは少し違和感がある。
船側にも大きな混乱と葛藤があっただろう。

映画としては誰か一人の心象を追っているわけではないのでそういう映画が好きな人には不満かもしれない。すべてのエピソードを過剰にせず淡々と描いているのも好き嫌いが分かれそう。

実はこのダイヤモンドプリンセスの航海の数回あとのクルーズを予約していた。
当然キャンセルになってしまったので、先月リベンジで初めて乗船してきたところだった。
その経験と対比して見ることができたので興味深く鑑賞させてもらいました。

PASATO