劇場公開日 2025年6月13日

「世界は常に不完全」フロントライン N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0世界は常に不完全

2025年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

誰も正解を知らず、だから完璧な準備などない修羅場。
だが大人が大人たるゆえんは、それら曖昧で混沌とした渦中においても手探りで自ら判断し、より良い選択を行なえるところにあり、
今思えばあの日、あの時、疑心暗鬼の中で船の中も外も、見守る誰もがコロナという未知の存在を相手に、大人力を試されていたんだと振り返る。

喉もと過ぎればなんとやらとはこのこと。
観るうちに思い出されるあれこれを、過ぎた時間の分だけあんなこんなを、客観的に見ることができ、当時の気持ちと作品で描かれている登場人物らの心情を重ね合わせ、反省することしきりだった。
そう、世の中は常に不完全で、皆の努力と創意工夫があって平穏無事と回っている。だのにそこで潔癖な正論をぶつけられても役に立つかと言えば、どうだろうと思わずにおれない。しかし正解を、いかにも前例を知った顔の正論にうなずき、振りかざしたくなってしまう哀れ。
大人でい続けることは悩ましく、実に困難な道だ。

その五里霧中の曖昧かつ混沌の中で、正しかろうと間違っていようと、自ら判断し実際に働いた。その姿をつぶさと観る作品と受け取る。誰を正当化するだとか、どこが諸悪の根源だとか、振り分けるためのモノじゃあない。

「FUKUSHIMA 50」と似たジャンンルになると思うが、こちらの方が当事者感が強い分、肩入れしてみてしまった。
最後、滝藤さんらのシーンがすこぶるよかった。医療従事者も溜飲をさげてくれるのではなかろうか。
そのうち池松さんがベビわるよろしく、みんな協力して治療しようよ! とかキレて叫びながら、バカスカ人を殺し始めるのではなかろうか、とドキドキしながら見てしまったw
またヨソの地域では感染した、感染者が出たと言えば同情される風潮のある場所もあるとのこと。日本のように責められる、嫌われる対象になることはないらしい。合わせて興味深く観る。

N.river
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。