劇場公開日 2025年6月13日

「自分の在り方を考えさせる」フロントライン alvoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自分の在り方を考えさせる

2025年6月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ほぼドキュメンタリー、涙、涙でした。
当時無責任に外から叩かれていた、クルーズ船の中の人たちの視点で描かれた、闘いと反論の物語。

当時の異常に緊迫した状況と、情報がなく報道に踊らされていたことを思い出す。船内で何が起こってるのか分からず、なぜ批判されてるのに反論しないのだろうとすら思っていた気がする。面白がってるメディアに反論なんてしてる暇ない、自分たちの仕事は命を救うこと。そんなギリギリの攻防であった内情を5年経ってようやく知る。そして、信念を持って闘っている人たちを見て、自分を省みる。これは、他人事にせず、一人ひとりが噛み締めるべきストーリーだと思う。理解が得られるかはともかく、全世界に見てほしい。。

人の作ったルールに縛られてないか?
自分が正しいと思うことが何か考え抜いているか?
正しいと思うことを、ルールを破り周りからバッシングされてでも貫けるのか?
人に責任を押し付けてないか?

命以上に大切なものはない、医療の現場では分かりやすい共通目標がある。ビジネスや人間関係にはそういった、たった一つの真実、優先順位はない、から余計にややこしい。皆違う価値観があって当たり前。そんな中で自分は何を考えるのか。

実際はもっと悩み、逡巡があったのかもしれない。でも危機的状況で、あのように臨機応変に動けるか?嘘をついてまで目的を完遂できるか?と考えると自分の芯のなさに恥ずかしくなる。

遠い異国の地で身内が感染し、最期を看取ることができないかもしれない不安。それで自殺までしようとした人にどう歩み寄るのか?感染が怖くなった医療従事者も責められない、けどそれが医療の本質、できないなら医療から離れた方が良いという結城医師の言葉もきっと真実。感染症の経験があまりない日本でそこまで覚悟を持っていた人たちはどれだけいたのか。それを乗り越えたすべての人たちに感服。

ルールと現場で闘う政府、検疫、専門家。
世間の評判や差別と闘う医師、受入施設、メディア。

映画なのではじめは分かりやすくみんな自分の都合で動く嫌味な人たち、から互いに目標を共有して歩み寄る方に変わっていく。松坂桃李の最初の態度はちょっとやりすぎな気も。。?吹越さんと光石さんだけは最後まで悪役風味。

参考になったであろう特定人物の許可を得ていないらしい、とSNSではまた外野が盛り上がっている。ネットが悪い感情のはけ口となっているのは何も変わらない。もっと人に優しくあろう。。と皆が思うにはどうしたらよいのだろう。

余談: コロナ禍題材でいつも気になるマスクしてない問題で、初めて最後に「実際はずっと着用してました」とお断りがあって、スッキリした。映画だから俳優だからと分かっていながらその一言で気が済むんだなと我ながら不思議。

あと窪塚洋介良かった!池松くんも!

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